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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科71巻12号

2017年12月発行

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

生殖医療にかかわる法的問題

代理懐胎

著者: 久具宏司1

所属機関: 1東京都立墨東病院産婦人科

ページ範囲:P.1165 - P.1173

文献概要

●現在の日本では,代理懐胎を含む第三者がかかわる生殖医療に関して法のない状況であるが,日本産科婦人科学会は会員への見解として,代理懐胎の施行を禁止している.

●1962年および2007年の最高裁の判例により,母子関係の確定は,子を懐胎し出産した女性を母とするよう運用されており,海外で行われた代理懐胎についても準用される.その後に子と依頼夫婦との間に特別養子縁組を結ぶことは容認されている.

●2007年の最高裁判決で,代理懐胎とその結果生じる親子関係について法による速やかな対応が望まれ,2008年の学術会議対外報告で代理懐胎の法による原則禁止と試行的実施の考慮が提言されているものの,議論は進んでいない.

参考文献

1)Steptoe PC, et al : Birth after the reimplantation of a human embryo. Lancet 2 : 366, 1978
2)厚生労働省厚生科学審議会生殖補助医療部会 : 精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書.平成15年4月28日
3)代理懐胎に関する見解.日産婦会誌69 : 1653─1654, 2017
4)日本学術会議生殖補助医療の在り方検討委員会 : 〔対外報告〕代理懐胎を中心とする生殖補助医療の課題─社会的合意に向けて.平成20年4月8日
5)林かおり : 海外における生殖補助医療法の現状─死後生殖,代理懐胎,子どもの出自を知る権利をめぐって.国立国会図書館調査および立法考査局.外国の立法243 : 99─136, 2010
6)大野和基 : 代理出産─生殖ビジネスと命の尊厳.集英社新書,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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