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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科71巻2号

2017年03月発行

雑誌目次

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

胎児手術における麻酔

著者: 大橋夕樹

ページ範囲:P.253 - P.258

●胎児手術を受ける胎児は痛みを感じる経路が完成しており,手術の際には無動とともに鎮痛が必要である.

●胎児手術はさまざまな侵襲度のものがあり,侵襲度に応じた胎児と母体に対する麻酔方法を概説した.

●重篤な疾患の胎児を手術することが多く,胎児蘇生薬の準備が必要となることが多い.

一次診療施設での流産手術の麻酔における留意点

著者: 平松惠三

ページ範囲:P.260 - P.267

●自施設の麻酔管理能力を考慮し,ハイリスク患者(>ASAリスク分類Ⅲ)は高次施設に紹介する.

●パンフレットを用いた説明(手術・麻酔の合併症を含む)と同意を取り,術前絶食の順守は麻酔前に再確認する.

●麻酔法の種類に関係なく術中の血圧,ECG,SpO2モニターは必須である.

●術者以外に,術中・術後モニターなどの異常を早期発見できるスタッフをベッドサイドに常駐させる.

無痛分娩

知っておきたい無痛分娩の基本

著者: 照井克生

ページ範囲:P.184 - P.189

●硬膜外無痛分娩は,産痛緩和効果が高く児への影響が少ない,すぐれた方法である.

●抗凝固療法中の産婦での可否はガイドラインに準じる.痛みで半狂乱となった産婦は硬膜外無痛分娩のよい適応である.

●低濃度局所麻酔薬とオピオイドを併用し,麻酔範囲をデルマトームで評価しながら,薬物投与は少量分割注入に徹することで,安全で効果的な無痛分娩を提供できる.

─無痛分娩の麻酔開始時期と麻酔法の選択①─安全性と快適性を意図する麻酔

著者: 中畑克俊 ,   角千里 ,   玉井幹

ページ範囲:P.190 - P.195

●無痛分娩の開始時期は帝王切開術施行率に影響しないので,産婦の要望に応じて麻酔を開始すべきである.

●娩出直前に麻酔を開始することは,硬膜外穿刺に伴う合併症や胎児徐脈の危険性から好ましいとはいえない.

●快適で安全性の高い無痛分娩を提供するために,各施設の事情に合った無痛分娩を選択すべきである.

─無痛分娩の麻酔開始時期と麻酔法の選択②─産科学と麻酔科学が合体するとき

著者: 林雅子

ページ範囲:P.196 - P.200

●無痛分娩の開始時期は,「患者が無痛分娩開始を希望したとき」かつ「産科医師と麻酔科医師が無痛分娩開始に適切な時期であると判断したとき」である.

●われわれの施設では,無痛分娩の麻酔方法は,9割以上の症例で硬膜外鎮痛法(単独)を行っている.

器械分娩の麻酔

著者: 大瀧千代

ページ範囲:P.202 - P.205

●無痛分娩中と無痛分娩を行っていない症例で麻酔のアプローチは異なる.

●低位鉗子分娩もしくは吸引分娩にはTh10レベル,中位鉗子分娩ではTh6の麻酔高が必要である.

●低位鉗子分娩もしくは吸引分娩には陰部神経ブロックでも対応できる.

●常に帝王切開になる可能性を想定して麻酔を行わなければならない.

心疾患合併妊娠における無痛分娩

著者: 堀内縁 ,   吉松淳

ページ範囲:P.206 - P.212

●妊娠出産に伴う母体循環変化を知ることが合併症の予防や早期診断につながる.

●分娩時の麻酔は痛みを和らげるとともに心拍数・血圧上昇を抑える.また,酸素消費量,分時換気量を減少させる.

●心疾患合併妊娠には有利な作用が働くが,禁忌疾患もあり注意する.

帝王切開手術の麻酔

帝王切開時の区域麻酔の手技と留意点

著者: 松田祐典

ページ範囲:P.213 - P.220

●区域麻酔では手術と同等の清潔操作を心がける必要があるが,消毒液自体に神経毒性があるので,誤注入しないよう最大限の注意を払う.

●脊髄クモ膜下麻酔も硬膜外麻酔も穿刺針を進める際に,貫いている組織の抵抗を指先に感じるよう努めることで,熟練した手技を身につけることができる.

●脊髄クモ膜下麻酔では高率に母体低血圧をきたすため,輸液負荷や子宮左方転位など十分な低血圧対策を行わないと胎児アシドーシスとなりうる.

帝王切開時の全身麻酔の手技と留意点

著者: 萩平哲

ページ範囲:P.222 - P.227

●妊婦の麻酔導入では誤嚥を防止するため迅速導入(rapid sequence induction : RSI)を行うが,一方で気道確保困難にも注意が必要である.

●現代の麻酔はバランス麻酔でありオピオイドの併用は基本だが,管理の主体が母体か胎児か(両方か)を考慮して,胎児娩出までの麻酔薬の選択や投与量を考慮する.

●妊産婦も非妊産婦と同等の麻酔薬濃度が必要であること,揮発性麻酔薬とプロポフォールが同等の子宮筋弛緩作用をもつことを念頭に,胎児娩出後の管理を行う.

超緊急帝王切開時の麻酔

著者: 野口翔平 ,   入駒慎吾

ページ範囲:P.228 - P.233

●超緊急帝王切開の適応

●超緊急帝王切開の麻酔方法

●プロトコル作成

─帝王切開の術後鎮痛①─オピオイドの脊髄クモ膜下投与

著者: 高橋英督

ページ範囲:P.235 - P.240

●帝王切開術を実施する際,術後痛対策が必要である.

●オピオイドの脊髄クモ膜下投与は有効な術後鎮痛法の1つである.

●副作用の懸念はあるものの,適切な管理によりオピオイドの脊髄クモ膜下投与は安全に実施できる.

─帝王切開の術後鎮痛②─IV-PCA

著者: 井上莊一郎

ページ範囲:P.241 - P.246

●IV-PCAは有用な鎮痛法であるが,帝王切開術後の鎮痛法として用いられることは少なく,今後,その機会はさらに減っていくであろう.

●IV-PCAを成功させるポイントは,まず,ローディングかタイトレーションによってオピオイドを投与して,痛みがない・少ない状態から開始することである.

●IV-PCAを成功させるもう一つのポイントは,痛みが強くなってからPCAを用いるのではなく,PCAを用いて鎮痛状態を維持するようにすることである.

死戦期帝王切開に備えよう!

著者: 角倉弘行

ページ範囲:P.247 - P.252

●死戦期帝王切開とは,妊産婦が心肺停止となった場合に,母体および胎児あるいはそのどちらかを救命するために行う帝王切開のことである.

●死戦期帝王切開における麻酔科医の役割は,蘇生に成功した後の患者の麻酔管理をすることだけではなく,一連の蘇生処置においてコマンダーとして現場を指揮することである.

●分娩を扱う施設では死戦期帝王切開だけにこだわらず,妊産婦の心肺停止が発生した場合にどのように対応するかを普段から協議しておくことが重要である.

連載 FOCUS

産婦人科領域における再生医学・再生医療の現状

著者: 丸山哲夫

ページ範囲:P.268 - P.272

 近年,さまざまな分野で再生医学・再生医療が目覚ましい発展を遂げている.再生医療とは,構造あるいは機能の障害・不全に陥った生体組織・臓器に対して,主に「細胞」を利用して,その構造あるいは機能の再生を図る医療である.その際に用いられる「細胞」としては,自己複製能と多分化能を有する「幹細胞」が最有力候補になる.したがって,幹細胞学と再生医学・再生医療は,さまざまな分野で密接に連動しながらこれまで進展してきた.産婦人科領域においても同様であり,子宮や卵管などの雌性生殖管に加えて,生殖巣での精子や卵子といった生殖細胞の幹細胞学・再生医学・再生医療が劇的に進展している.本稿では,雌性生殖管,特に子宮の幹細胞学および再生医学・再生医療の現状を概説する.

Estrogen Series・159

hot flashes

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.273 - P.273

 のぼせは,体に暖かい感覚とともに突然始まり,女性の身体を暖かく包むような感覚を残して,去る.ときには,その暖かい,暑い身体感覚により,全身が汗まみれになるほどである.いままで長いあいだ,のぼせは更年期を定義づけるような特徴的な症状だと考えられてきた.しかし,のぼせについて知ることは,中年女性の健康にとって大切なことである,と研究者は述べている.

 米国NIHは過去22年間にわたり,3,302名の女性を対象に,のぼせについてのデータを集積し,更年期女性ののぼせには,4種類のタイプがあることを発表している.それぞれのタイプに属する女性の数は,ほぼ均等に分割される.

教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

閉経後出血の原因が不明とされたホルモン産生卵巣腫瘍の1例

著者: 高木靖

ページ範囲:P.274 - P.279

症例
▶患者 55歳,5経妊2経産,閉経48歳.
▶主訴 長期の不正性器出血.
▶既往歴

 40歳で慢性腎炎となり,51歳から血液透析治療中(毎回ヘパリン3,000 IU投与).

Obstetric News

帝王切開後の経腟試験分娩中の子宮破裂

著者: 武久徹

ページ範囲:P.280 - P.281

 帝王切開(帝切)後の経腟試験分娩(trial of labor after cesarean delivery : TOLAC)には論争の歴史がある.転帰に対するデータが累積され,よくあることではないものの合併症が壊滅的だという慎重な意見が持ち上がった.その結果,TOLACを提案する医師と施設数同様に,TOLACを希望する女性数が急激に減少する結果に繋がった.

 経腟分娩成功となるTOLACは選択的反復帝切より少ない合併症に関連することをデータが示している.しかし,TOLAC不成功は選択的反復帝切より重篤な合併症が高率である.帝切後経腟分娩(vaginal birth after cesarean section : VBAC)成功は,特有の母体の臨床的因子に基づき,正確度はあまり高くないものの,予測が可能である(表1).

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バックナンバー

ページ範囲:P.284 - P.284

次号予告・奥付

ページ範囲:P.286 - P.286

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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76巻12号(2022年12月発行)

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今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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