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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科71巻3号

2017年04月発行

雑誌目次

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

著者:

ページ範囲:P.291 - P.291

子宮頸がん

準広汎子宮全摘術の可能性─腫瘍径2cm以下の子宮頸癌ⅠB1期に対する準広汎子宮全摘術の非ランダム化検証的試験JCOG1101

著者: 笠松高弘

ページ範囲:P.292 - P.296

●手術適応とされる頸部浸潤がんⅠB〜Ⅱ期においても低侵襲,機能温存を目的とする各種の治療開発が進行中である.頸部広汎全摘,センチネルリンパ節ナビゲーション手術,腹腔鏡下手術,ロボット手術などである.また術後放射線治療においては,晩期腸管粘膜障害の軽減を目指した強度変調放射線治療(intensity modulated radiation therapy : IMRT)の有効性を検証する試験が開始されるところである(JCOG1402).

●本試験は特定の対象を慎重に選び,特別な修練をせずともどの施設でもすぐに始められる,排尿障害を排した低侵襲機能温存手術の開発を目的とした試験である.

センチネルリンパ節生検

著者: 矢幡秀昭 ,   園田顕三 ,   加藤聖子

ページ範囲:P.297 - P.301

●子宮頸がんにおけるセンチネル理論は成立し,センチネルリンパ節を指標としたセンチネルノードナビゲーションサージャリーは施行可能である.

●センチネルノードナビゲーションサージャリーを安全に施行するためには正確な術中リンパ節転移診断が必須であり,現行の病理組織診断に加えてOSNA法などの新たな診断法の開発が必要である.

腹腔鏡下広汎子宮全摘術

著者: 小林栄仁 ,   木村正

ページ範囲:P.302 - P.311

●LRHは本邦で先進医療制度のもと,多くの施設で導入されつつある.

●本邦の優れた術者が築いてきた開腹の治療成績に劣らない術式にするためには,普遍的な手術手技の改良,多数例での手術成績の解析および合併症を含めた臨床情報の共有が不可欠で,それに基づく保険収載が今後の課題である.

ロボット支援下手術

著者: 井坂惠一

ページ範囲:P.312 - P.321

●da Vinciを用いた広汎子宮全摘術の実際の手技手順とその特徴

●開腹による広汎子宮全摘術との比較 : 手術時間,出血量,入院日数,合併症,排尿機能などの比較

●先進医療としてのロボット支援下広汎子宮全摘術 : 施設基準と術者基準

子宮体がん

傍大動脈リンパ節郭清の意義と省略の可能性

著者: 藤堂幸治

ページ範囲:P.322 - P.327

●高リスク子宮体がんに対するPAN郭清の治療的意義をRCTで検証する動きがあるが,RCTは高リスクを対象とした外科治療の検証には不向きな臨床研究である.

●PAN転移のリスクがnegligibleな集団は,体がん全体の過半数集団として術前に特定しうる.この集団に対してはPAN郭清の省略にとどまらず,系統的リンパ節郭清そのものの省略を検討すべきである.

センチネルリンパ節生検

著者: 新倉仁 ,   八重樫伸生

ページ範囲:P.328 - P.334

●子宮体がんでも子宮頸がんと同様な子宮頸部へのトレーサー投与により,骨盤内のセンチネルリンパ節に限れば同定することは可能で,リンパ節転移の発見率は上昇する.

●高リスク症例に対する子宮頸部トレーサー投与による治療戦略は確立しておらず,子宮体部トレーサー投与の利用や,高精度で簡便な迅速リンパ節転移診断の利用など検討課題は多い.

●トレーサーとして蛍光色素のICGが簡便に使用されるようになり,センチネルリンパ節の検出率上昇が期待されているが,RIが利用可能であれば併用法が安全である.

腹腔鏡下手術

著者: 寺井義人 ,   田中智人 ,   古形祐平 ,   芦原敬允 ,   藤原聡枝 ,   田中良道 ,   佐々木浩 ,   恒遠啓示 ,   大道正英

ページ範囲:P.336 - P.343

●2014年4月に初期子宮体がんに対して腹腔鏡下根治術が保険適応となり,本邦でも普及してきた.

●腹腔鏡下子宮体がん手術の適応については,現在保険適応にある筋層浸潤1/2未満,G1〜2のlow risk早期子宮体がんでは標準治療となりうると考えられる.

●intermediate〜high risk早期子宮体がんに対する傍大動脈リンパ節郭清術への適応や進行子宮体がんに対する腹腔鏡下手術の可能性と限界について理解し,腹腔鏡下手術を発展させていく必要がある.

ロボット支援下手術

著者: 横山良仁

ページ範囲:P.344 - P.349

●子宮体がんにおけるロボット支援下での子宮摘出方法としては,準広汎術式が望ましい.

●後腹膜腔に入ったら膀胱側腔,子宮─側臍靱帯間隙,直腸側腔を展開しておくと,その後の操作が容易となる.

●視野の確保に3rdアームの使い方が重要である.

卵巣がん,外陰がん,再発悪性腫瘍

卵巣がんに対する腹腔鏡下手術

著者: 山下剛 ,   西澤庸子 ,   馬場敦志 ,   浅野拓也

ページ範囲:P.350 - P.356

●卵巣がんでは進行がん患者が多く術前確定診断が困難なことにより,試験的腹腔鏡を除けば腹腔鏡下手術の適応は限定される.

●施設あるいは術者条件によるが,早期がんでのstaging surgeryについては適応となる可能性がある.

●現状では健康保険上算定困難だが,臨床試験の結果によっては子宮体がんのように限定された条件での先進医療は考慮される.

外陰がんに対する縮小手術

著者: 有吉和也 ,   齋藤俊章

ページ範囲:P.357 - P.362

●縮小手術の術式を決めるためには,①原発巣の切除をどのように行うか,②所属リンパ節の郭清あるいは生検をどの範囲にどのような術式で行うか,の2点を考慮する.

●原発巣の大きさ,浸潤の深さ,占拠部位,組織型によっては,鼠径リンパ節郭清の省略が可能である.

●多くの場合鼠径リンパ節郭清は分割切開法に縮小することが可能である.しかし,郭清を行う場合は深鼠径リンパ節までの郭清が必要である.

再発婦人科がんに対する腹腔鏡手術

著者: 金尾祐之 ,   竹島信宏

ページ範囲:P.364 - P.375

●根治手術後照射野内再発子宮頸がんに対する手術療法は安全に施行可能と考えるが,症例の選択が重要である.

●症例の選択には画像所見のみならず,下肢や殿部の痛みなどの臨床所見に注目する必要がある.

●再発婦人科がんに対する手術療法においても,腹腔鏡手術の拡大視効果,高い深部到達能は有用と考えられた.

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

腹水細胞診疑陽性で診断的腹腔鏡下手術を行った結果,卵巣境界悪性腫瘍の自然破綻と判明した症例

著者: 佐治晴哉 ,   権藤俊一

ページ範囲:P.376 - P.381

症例
▶患者

 42歳,0経妊0経産.
▶主訴

 下腹部膨満感,腹痛.
▶既往歴・家族歴

 特記すべきことなし.
▶現病歴

 腹部膨満感と軽度腹痛を主訴に当院救急科を受診し,骨盤CT検査にて骨盤内腫瘤と腹水貯留を指摘されたため,同日当科へ紹介受診となった.

Obstetric News

妊娠39週での誘発分娩は待機的管理よりも母児に利点があるか?─米国産婦人科学会年次臨床大会2016でのdebate①Dr. Norwitzの意見

著者: 武久徹

ページ範囲:P.382 - P.385

 ローリスク妊婦に対する適切な分娩時期については論争が続いている.2016年5月に米国産婦人科学会年次臨床大会で行われた2名の産科医によるdebateで,妊娠39週を超えて待機することを勧められないという証拠が増加していることから,妊娠39週での誘発分娩を勧めるという点で一致した.

 発表者の一人,Norwitz ER(タフト大学)は,「妊娠39週を超えて妊娠を継続することは以前に考えられていたよりも胎児にとってリスクが高い.さらに,ルーチン陣痛誘発に関連するリスクは考えられているよりも低い」と述べた.

Estrogen Series・160

エストロゲンの作用物質と拮抗物質

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.386 - P.386

 現在テスト中のエストロゲン作用物質(agonist)と拮抗物質(antgonist)には,多くの種類が挙げられる.たとえば,アルゾキシフェン,バゼドキシフェン,イドキシフェン,ラソフォキシフェン,オスペミフェン,ラロキシフェン,タモキシフェン,などの物質である.今回は,そのうち2種類の試験結果をご紹介したい.いずれもObstetrics&Gynecology誌からの引用である1)

症例

経腟分娩後の癒着胎盤にメトトレキサート療法を施行し子宮を温存しえた1例

著者: 斉藤慶弘 ,   小原美幸 ,   横井由里子 ,   塩沢功

ページ範囲:P.387 - P.391

▶要約

 癒着胎盤は分娩時の多量性器出血の原因となる疾患で,事前の診断が困難な場合が多く,子宮摘出となる症例も少なくない.症例は手術歴や不妊治療歴のない未経妊の26歳.妊娠38週5日に正常経腟分娩となった.分娩時に約1/4ほどの胎盤が遺残し,超音波検査およびMRIにて陥入胎盤と診断した.その後も遺残胎盤の排出を認めず.子宮温存希望のため,産褥11日目にメトトレキサート(以下,MTX)を筋注で24mg/日×4日間投与した.産褥14日目に遺残胎盤の自然娩出を認めた.癒着胎盤に対して,性器出血と感染がコントロールされている場合,MTX療法はまず選択すべき治療である.

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次号予告・奥付

ページ範囲:P.394 - P.394

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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