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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科71巻7号

2017年07月発行

雑誌目次

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

著者:

ページ範囲:P.599 - P.599

若年女性のスポーツ障害の現状

著者: 久保田俊郎

ページ範囲:P.600 - P.604

●日本産科婦人科学会では,女子大学生アスリート中心の約2,000名を対象とした大規模なアンケート調査を行い,スポーツ障害の実態を明らかにした.

●女性アスリートでは,月経随伴症状として月経困難症,月経前症候群が高頻度にみられ,また無月経や疲労骨折の発生頻度も有意に高いことが示された.

●この調査・研究はAMED研究事業として行政レベルで継続され,さらに日産婦学会主導で女性アスリートのヘルスケアに関する管理指針も作成中で,彼女らへの健康管理の取り組みが現在積極的に行われている.

スポーツ障害を科学する

月経周期とパフォーマンスにおける基礎研究

著者: 町田修一 ,   大野佳南子

ページ範囲:P.606 - P.612

●正常月経周期を有する女性であれば,排卵期に筋力が増大し,月経期にパフォーマンスが低下する可能性がある.

●月経周期に伴う筋力変動のひとつの要因として,エストロゲンが筋細胞内のクロスブリッジなどの収縮特性に直接影響を及ぼしている可能性がある.

●月経周期に伴うパフォーマンスの変化は,個人差が大きく,個人内の変動も大きい.そのため,卵巣ホルモン濃度だけでなく,排卵日の特定や月経周辺期症状の有無や程度を把握することも重要である.

三主徴の原因と対応

利用可能エネルギー不足

著者: 須永美歌子

ページ範囲:P.614 - P.618

●利用可能エネルギー量とは,エネルギー摂取量から運動によるエネルギー消費量を差し引いたものであり,“身体機能を維持するために必要なエネルギー量”を示す.

●海外では利用可能エネルギー量が45kcal/kg FFM/日となるようにエネルギー摂取量を増やすことを推奨しているが,日本人女性に有効であるかは明らかではない.

●摂取エネルギー不足によって引き起こされる低代謝状態は,トレーニングによる運動パフォーマンス向上を抑制する可能性がある.

無月経

著者: 難波聡

ページ範囲:P.620 - P.625

●無月経に伴う低エストロゲン血症のため骨密度の増加・維持が適切になされないと,疲労骨折の多発により満足な競技成績は挙げられない.早期に介入する必要がある.

●中学卒業までに初経がみられないアスリートは精査・介入の対象である.

●運動性無月経の要因はlow energy availabilityだけではない.メンタル面のケアなども考慮する必要がある.

骨粗鬆症

著者: 能瀬さやか

ページ範囲:P.626 - P.631

●女性アスリートにおいて,low energy availabilityに伴う無月経や低体重は骨量減少の原因となり,最大骨量獲得前の10代からの医学的介入が必要である.

●骨粗鬆症は,女性アスリートにおいて疲労骨折のリスク因子の1つとなる.

さまざまなケースへの個別化対応

月経困難症

著者: 甲村弘子

ページ範囲:P.632 - P.639

●月経困難症は若年世代ほどその割合が高く,特に腹痛を訴える割合が多い.アスリートでは4人に1人が月経困難症を訴え,鎮痛薬の服用が必要であるという報告がある.

●機能性月経困難症には,NSAIDsまたはLEPを投与する.これらはドーピング禁止物質ではないことをアスリートへきちんと伝える.漢方薬の投与を勧めることはできない.

●LEPを処方する場合の注意点として不正出血が挙げられ,競技への影響を考慮する必要がある.アスリート特有の血栓症のリスク因子に対する配慮が求められる.

月経前症候群(PMS)・月経前気分不快障害(PMDD)

著者: 武田卓

ページ範囲:P.640 - P.645

●PMS/PMDDは成人と同等・それ以上に思春期女性のQOLを障害する.

●高校生や大学生のアスリートの約40%がPMS/PMDDによるパフォーマンス障害を自覚している.

●疾患教育・認知と個別化した対応が管理の基本である.

月経周期を考慮したコンディション評価

著者: 中村真理子

ページ範囲:P.646 - P.651

●月経周期に伴う卵巣ホルモンの変化は,女性のコンディションに影響を及ぼす.

●女性のコンディションを評価する際には,評価に用いる指標と月経周期との関連を把握しておく必要がある.

●月経対策の1つとしてOCの活用が増えると予想されることから,OCとコンディション評価指標との関連についての検討が必要である.

若年女性スポーツ障害へのメンタルケア

著者: 山口聖子

ページ範囲:P.652 - P.656

●メンタルケアは不調の原因によって対応の仕方が大きく違う.精神疾患が潜んでいるのか,心理社会的な要因による葛藤があるのかなど,その原因を正しく見分けることが必要である.

●スタッフが女性アスリートの心理的特徴を理解して指導に当たることが重要であり,選手ごとにメンタルケアの担当者をおき,サポートチームを形成する.

●競技団体以外にも精神科クリニックや病院などスポーツ精神医学の専門家との相談窓口をもうけ,連携しながらケアできる体制を作ることが重要である.

ドーピングへの不安

著者: 上東悦子

ページ範囲:P.657 - P.662

●世界アンチ・ドーピング規程は,全世界・全スポーツの「共通ルール」である.

●禁止表国際基準には,禁止される物質と方法の代表例が記載されており,毎年改定される.

●ある一定の条件をすべて満たす場合,TUEの申請をすれば治療目的で禁止物質・方法の使用が可能である.

栄養指導

著者: 小清水孝子

ページ範囲:P.663 - P.667

●FATの根本的な原因である低いEAの原因を見極め,女性アスリート個々の状況を考慮したうえで,公認スポーツ栄養士による栄養教育を実施する.

●栄養アセスメントの結果に基づき,運動量に見合った栄養補給量と糖質量を設定し,栄養素バランスの整った食事にする.

●栄養指導を実施する際には,公認スポーツ栄養士と婦人科・整形外科の医師や臨床心理士,アスレチックトレーナーなどが連携できることが望ましい.

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

子宮肉腫と術前診断したが,MRIでは類内膜腺癌を考えるべきであった1例

著者: 小林梓 ,   伊藤郁朗

ページ範囲:P.668 - P.672

症例
▶患者

 65歳,4経妊2経産.閉経50歳.
▶主訴

 不正性器出血.
▶既往歴

 非結核性抗酸菌症(内服加療中),子宮筋腫.
▶現病歴

 2年前まで子宮筋腫に対して当院で経過観察していたが,筋腫の増大を認めないため終診とした.1年前より不正出血を自覚し,前医を受診した.複数回の内膜細胞診の結果は陰性であったが,症状の改善に乏しく,筋腫も増大傾向であったため,精査・加療目的に当院を紹介受診した.

FOCUS

知っておきたい診療報酬制度と保険収載への道程

著者: 西井修

ページ範囲:P.674 - P.680

 わが国の診療報酬制度において,医療行為が保険収載に至るまでの過程はどのようになっているか,医療保険制度の概略とともに解説する.

Estrogen Series・162

成人ニキビに対する治療法の比較検討─その安全性と効果について

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.681 - P.681

 ホルモンを主体としたニキビの治療法は,プロゲステロンとエストロゲンの組み合わせによる経口避妊薬(combined oral contraceptives),およびスピロノラクトンが,従来の成人にみられるニキビに対する一般的な治療法として効果的と考えられてきた.

 成人のニキビは難治性で,治療不全例が多く見られる.UCSF皮膚科の研究者らは,ホルモン治療の臨床的な安全性とその効率に関する所見をレビューしている.

Obstetric News

妊娠中のうつ病

著者: 武久徹

ページ範囲:P.682 - P.683

引用文献 : ACOG PROLOG. Patient Management in the Office, 7th ed. #13, 2017年

 米国成人のうつ病の推定有病率は17%で,女性は男性の2倍,うつ病を経験する.うつ病率が最も高いのは25〜44歳である.妊婦の最高70%はうつ病症状(例 : 抑圧気分,性的快感消失,エネルギー減少,罪悪感または無価値感,精神運動遅滞または興奮,自殺念慮)を報告する.

原著

卵巣成熟囊胞性奇形腫の再発に関する検討

著者: 森岡佐知子 ,   棚瀬康仁 ,   岩井加奈 ,   新納恵美子 ,   山田有紀 ,   小池奈月 ,   川口龍二 ,   小林浩

ページ範囲:P.685 - P.689

▶要約

 卵巣成熟囊胞性奇形腫(mature cystic teratoma : MCT)は,全卵巣腫瘍の約15〜20%と比較的多く発生する良性の胚細胞性腫瘍である.腫瘍が大きくなれば手術療法が推奨されるが,術後の再発率や再発のリスク因子については報告が少ない.今回,当科で過去10年間にMCTに対して卵巣温存手術を行った230例を対象に,再発のリスク因子について後ろ向きに検討した.再発を認めたのは18例であり,全体の再発率は7.8%(18/230),5年累積再発率は18.6%であった.再発までの観察期間中央値は55か月(3〜192か月)で,術後5年以上を経て再発を認めた症例が61%(11/18)であった.累積再発率におけるリスク因子の検討では,年齢30歳未満(ハザード比2.62,95%信頼区間1.34─5.67)と茎捻転・破裂あり(ハザード比2.19,95%信頼区間1.09─4.16)の2つの因子が抽出された.30歳未満の若年者や術中に茎捻転・破裂の所見を認めた場合は,再発を念頭において年単位の長期フォローアップが必要である.

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バックナンバー

ページ範囲:P.693 - P.693

次号予告・奥付

ページ範囲:P.694 - P.694

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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バックナンバー

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今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

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71巻8号(2017年8月発行)

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71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

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69巻11号(2015年11月発行)

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69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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