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連載 Estrogen Series・163
早発閉経 : primary ovarian insufficiency(1)
著者: 矢沢珪二郎1
所属機関: 1ハワイ大学
ページ範囲:P.777 - P.777
文献購入ページに移動 日本語では早発閉経,英語ではprimary ovarian insufficiency(一次的卵巣不全)と呼ばれるこの疾患は,卵巣機能および妊孕性の低下を伴う初期卵胞数の早熟な減少,卵胞破壊の増加,性腺刺激ホルモンによる刺激に対する卵胞の反応低下などの一連のスペクトラムが含まれる.早発閉経の結果として,血管運動神経症状,下部尿路外陰部の萎縮性変化,骨粗鬆症および骨折,心血管疾患,すべての原因を含む死亡率増加,などが見られる.早発閉経女性に対しては,ホルモン療法(HT)に対する禁忌がなければ,全身に対するHTはホルモン低下の症状を軽減し,長期的な疾患リスクを低下させる.骨粗鬆症,心血管疾患,尿路下部および生殖器萎縮を防ぎ,女性の生活の質(quality of life : QOL)を良好な状態に維持するために,HTは適応である.HT施行時の患者の血中エストロゲン濃度は補充に必要なレベルよりも多いことが推奨される.エストロゲンとプロゲスチンの組み合わせによる経口避妊薬(oral contraceptive : OC)は,排卵と妊娠をHT投与による場合よりも高い信頼度で防ぐ.早発閉経に対するHTは,年齢50〜51歳の自然な閉経期に至るまで継続する.早発閉経の思春期および若年女性が直面する身体的な問題,生殖に関する問題,社会的な問題に有効に対処するために,患者全体を支える医療者の体制が基本的に必要である.
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