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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科72巻1号

2018年01月発行

合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

母子感染症

HCV

著者: 深澤一雄1 稲葉憲之1

所属機関: 1獨協医科大学産婦人科

ページ範囲:P.101 - P.105

文献概要

●HCVはHBVに比べ感染力は弱いが,遅発性ウイルス感染症としてC型肝炎は肝硬変,肝がんへの移行率が高く,肝がん死亡者の約70%はHCV由来とされている.

●HCV抗体は一般的な意味での感染防御抗体(中和抗体)としての働きを期待することができず,HCV抗体陽性であることはHCVに感染したことを意味する.HBVと異なり,どの時期に感染しても新生児から成人まで幅広くキャリア化する可能性がある.

●現在HCV母子感染を予防する有効な手段はない.しかし妊婦スクリーニング検査(HCV抗体,HCV-RNA定量)を行うことが,HCV母子感染対策の端緒であることを認識しなければならない.

参考文献

1)稲葉憲之 : 遅発性ウイルス感染症と共に35年─キャリア妊婦と家族に感謝して.日産婦会誌62 : 1659─1666, 2010
2)厚生労働省検疫所FORTH海外で健康に過ごすために.http://www.forth.go.jp/topics/2017/07281041.html
3)厚生労働省肝炎総合対策の推進.http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou09/hourei_01.html
4)政府広報オンライン : 出産や手術で大量出血した方などへC型肝炎ウイルス検査を受けましたか? https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201207/1.html
5)政府広報オンライン : 血液製剤によるC型肝炎感染被害に係る肝炎検査の受診推奨と救済のための給付金制度.https://www.gov-online.go.jp/pr/media/paper/tsukidashi/1438.html
6)ウイルス肝炎研究財団 : C型肝炎について(一般的なQ&A).平成26年7月改訂(改訂第8版).Q13どのような人がC型肝炎ウイルス(HCV)の検査を受ければよいですか? http://www.vhfj.or.jp/06.qanda/about_ctype.html#syou13
7)Hayashida A, et al : Re-evaluation of the true rate of hepatitis C virus other-to-child transmission and its novel risk factors based on our two prospective studies. J Obstet Gynecol Res 33 : 417─422, 2007
8)厚生労働科研「C型肝炎ウイルス等の母子感染防止に関する研究(主任研究者 : 大戸 斉)」.平成17年度総括分担研究報告書.2006年3月
9)日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会 : CQ607妊娠中にHCV抗体陽性が判明した場合は? 産婦人科診療ガイドライン─産科編2014.pp311─313, 2014
10)日本肝臓学会 肝炎診療ガイドライン作成委員会(編) : C型肝炎治療ガイドライン(第5版),2016.https://www.jsh.or.jp/medical/guidelines/jsh_guidlines/hepatitis_c

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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