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症例
硬膜外麻酔併用下で分娩管理を行った脊髄損傷合併妊娠の1例
著者: 山﨑亮1 伊藤雅之1 長谷川綾乃1 箕浦麻陽1 成冨祥子1 村上法子1 津戸寿幸1 加藤俊1 亀谷英輝1
所属機関: 1大阪府済生会吹田病院産婦人科
ページ範囲:P.1037 - P.1041
文献購入ページに移動脊髄損傷合併妊娠では切迫早産や尿路感染症などに注意を要するが,脊髄損傷部以下の刺激で生じた脊髄交感神経反射が,上位中枢の抑制を受けずさまざまな自律神経症状を呈する自律神経過反射(autonomic hyperreflexia : AH)の予防が特に重要である.今回,脊髄損傷合併妊娠の周産期管理を経験した.症例は30歳,1妊0産,19歳のとき第10胸髄を損傷した.自然妊娠成立し,当院で初期より妊婦健診を施行した.大きな合併症なく経過し,妊娠38週0日に硬膜外麻酔下での分娩誘発を開始した.頸管の熟化を図ったのち,妊娠38週6日にオキシトシンの点滴を開始した.分娩進行中に発作的な血圧上昇はみられたものの,重篤な合併症はなく経腟分娩に至った.AHは子宮収縮などの内臓神経の過剰刺激があれば妊娠のどの時期でも起こるが,分娩時が最も出現しやすく重症となる.急激な血圧上昇で脳出血が生じるなどさまざまなリスクがあり,硬膜外麻酔によってAHを管理することが肝要である.
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