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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科72巻12号

2018年12月発行

雑誌目次

今月の臨床 女性のアンチエイジング─老化のメカニズムから予防・対処法まで

著者:

ページ範囲:P.1153 - P.1153

産婦人科学におけるアンチエイジング

著者: 安井敏之

ページ範囲:P.1154 - P.1161

●エストロゲンはアンチエイジング作用を有している.

●女性特有の疾患に着目し,一生を考慮したうえで適切な管理と介入が必要である.

●時代にあったアンチエイジングを考える必要がある.

老化の基礎知識

著者: 新井康通

ページ範囲:P.1162 - P.1167

●老化関連疾患の予防/治療を考えるうえでは,重要臓器の加齢性変化を理解することが重要である.

●遺伝子改変モデル生物を用いた基礎老化科学研究の推進により,老化を制御する分子メカニズムが解明されつつある.

●老化を遅延することによって,老化関連疾患を克服しようという試みが本格化している.

アンチエイジングの戦略

ホルモン補充療法

著者: 寺内公一

ページ範囲:P.1168 - P.1174

●更年期症状の治療法として開発されたホルモン補充療法(HRT)は,「多様な加齢性疾患を予防するためにあらゆる年代の女性にとって利用可能である」とかつては考えられていた.

●その後,「症状緩和のために正しい時期に開始すれば,余得として冠動脈疾患などのリスクをも下げることができる」と軌道修正されて,現在に至っている.

●対象者のリスクプロファイルと求める効果とのバランスを個別に検討したうえでHRTを開始すれば,多様なベネフィットが得られることが期待される.

漢方療法

著者: 石谷健 ,   櫻井友義 ,   杉本到

ページ範囲:P.1176 - P.1180

●漢方療法のエビデンスは意外と多く,日々の臨床に有用な報告も少なくない.

●漢方療法の治療戦略は,「先天の気」「後天の気」を強化し,瘀血改善を目標とする.

●更年期医療の一環として,アンチエイジングの観点から漢方療法を適用する余地は大きい.

栄養

著者: 望月善子

ページ範囲:P.1182 - P.1188

●栄養・食生活は多くの生活習慣病と関連が深く,日々の生活の中でQOLとの関連も深い.健康寿命延伸のためには生活習慣病と骨折・転倒,フレイルを予防することが重要である.

●高血圧,高脂血症,糖尿病などはそのリスクファクターである肥満予防のために過剰栄養にならないようにし,フレイル予防のためには低栄養に注意する.

●サプリメントの作用メカニズムやメタ解析などエビデンスは集積されつつあるが,ベネフィットとリスクを理解したうえで,患者指導することが重要である.

運動

著者: 佐々木浩

ページ範囲:P.1190 - P.1197

●運動は非常に簡便な介入方法であり,循環器疾患,代謝・内分泌疾患,認知症,骨粗鬆症などさまざまな疾患の予防・改善効果がある.

●有酸素運動は活動のエネルギーを有酸素代謝で賄う運動であり,抗炎症作用,インスリン抵抗性の改善に効果がある.

●レジスタンストレーニングを行うときは,蛋白質・アミノ酸補給を行うとより効果的である.

●健康の維持・増進に必要な身体活動・運動量として,3METs以上の身体活動を週23METs/時以上行うことが推奨されている.

コラム

プラセンタ療法

著者: 小池浩司 ,   小池大我

ページ範囲:P.1198 - P.1199

 女性は更年期に入ると,のぼせ・ほてり,うつ,不眠,不安感,記憶力低下,皮膚粘膜の乾燥感,性交障害や尿失禁などの多彩な症状がパノラマのように同時に出現する.さらに数年〜10年後には,心血管系の症状,動脈硬化,骨粗鬆症,認知機能障害などが出現し,閉経以後の生活の質が著しく脅かされる.これらの症状は原因療法のホルモン補充療法(HRT)で症状の改善が期待できるが,WHI報道にみられるような副作用の懸念のためHRTを望まない女性も多く,HRTを「補完・代替する療法」が求められている.これまでに,のぼせ・ほてり,うつ,不眠,不安感などの更年期症状に対して,経口ブタ・プラセンタエキス(PPE)が有効であることをわれわれは報告してきた1).本稿では,更年期からのアンチエイジングという視点に立って,PPEの役割について,その有効性と安全性についての基礎的,臨床的なわれわれの成績を述べたい.

部位別 : 老化のメカニズムと予防・対処法

脳の老化

著者: 田平武

ページ範囲:P.1201 - P.1206

●高齢者では古い記憶はあるが,新しい記憶の成立が難しくなる.それは一時的に情報を保管しておく海馬内神経回路の入口(嗅内野皮質)に真っ先に老化が起こるからである.

●脳の加齢性変化を予防し認知症の発症を遅らせるためには,脳の神経ネットワークの増強による代償能力と予備能力の増強がキーとなる.

●そのためには小学校低学年の義務教育と高等教育に勝るものはない.中年期以降はよく学習・運動し,栄養に気をつけ,趣味活動・社会参加による人との交流に努めることである.

血管のアンチエイジング

著者: 篠原康一

ページ範囲:P.1207 - P.1213

●動脈の老化

 動脈の老化は,全身の老化の一部として生じるプロセスである.血管の最も内側には血管内皮がある.これは血液と血管周囲との間に広大な界面を形成する単層の細胞である.血管内皮の生理的役割は一酸化窒素(NO)分泌である.NOは内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)によって産生され,隣接する血管平滑筋細胞に拡散し,血管を弛緩させ,アテローム形成を防止する.老化した血管では血管の弾力性が低下し,炎症性変化は亢進し,内皮における抗血栓機能が低下,血管新生能も低下し,血管機能の低下をきたす.

●血管年齢

 血管年齢の概念は心血管疾患リスクよりも理解しやすい概念である.血管(動脈)年齢を減少させれば,心血管疾患リスクも低下させることができる可能性がある.

●血管機能検査法には以下の検査法が知られている.
①足関節上腕血圧比(ABI)・足趾上腕血圧比(TBI)
②脈波伝播速度(baPWV)
③stiffness parameter β:心臓足首血管指数(CAVI)
④血管内皮機能
⑤動脈壁の評価による動脈硬化性

●予防・対処法
①エストロゲン : エストロゲンの血管保護作用と,動脈硬化危険因子に対する作用が影響すると考えられている.HRTによる血管内皮機能改善も報告されている.
②テストステロン : テストステロン濃度の低下と心血管病との関係についても多数の報告がある.テストステロン分泌の低下が心血管病に関係する要因としては,エストロゲンと同様,血管に対する直接作用と,危険因子に対する影響が挙げられる.
③その他 : 動脈の老化を遅らせたり,若返りさせたりできる可能性のあるものに,スタチンや糖尿病治療,抗酸化治療の有効性も期待できる.統合的な血管のアンチエイジングが期待される.

骨の老化

著者: 太田邦明 ,   高橋俊文 ,   水沼英樹

ページ範囲:P.1214 - P.1219

●近年,骨芽細胞と破骨細胞の細胞老化現象が解明されつつある.

●骨の老化機構は,骨芽細胞数・分化を低下させ,破骨細胞数・分化を増加させることで,骨芽細胞・破骨細胞バランスが不均衡になる現象である.

●抗老化マーカーをターゲットとした治療法の開発が期待される.

卵巣・卵子の老化

著者: 髙井泰

ページ範囲:P.1220 - P.1227

●卵巣中の卵子は加齢とともに量と質が低下していくと考えられており,質の低下が「卵子老化」といわれている.

●卵子老化の原因としてミトコンドリアの量・質の低下やDNA修復能の低下が推測されているが,現状では治療法や予防法は確立していない.

●DHEA併用ARTの有効性が示唆されているほか,種々の生殖幹細胞の臨床応用も期待されている.

生殖器・泌尿器の老化

著者: 樋口毅

ページ範囲:P.1228 - P.1234

●生殖器,泌尿器の臓器や組織はエストロゲン受容体が豊富であり,老化は,閉経を機に低下・欠乏するエストロゲンの影響を大きく受ける.

●閉経後性器泌尿器症候群は,慢性的なエストロゲン欠乏で生じる生殖器,泌尿器の異常をまとめた概念である.

●エストロゲンの投与が老化の予防や治療に有効な場面が多いが,尿失禁については注意が必要である.

皮膚の老化

著者: 山田秀和

ページ範囲:P.1236 - P.1242

●皮膚科領域における老化は,見た目で表現され,皮膚・容貌・体型がその対象領域となる.内的老化と外的老化に分かれるが,老化への対処の基本は,内的老化をどのようにコントロールするかというアンチエイジングの考えを取り入れ,運動・食事・精神(睡眠・脳)・環境に対応する必要がある.そのうえで,外部環境としての紫外線,大気汚染(喫煙・PM2.5など)に対処する必要がある.

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

性器脱のペッサリー療法中に発見された子宮体がんの2例

著者: 田嶋公久 ,   辻隆博 ,   佐藤久美子

ページ範囲:P.1243 - P.1247

はじめに

 性器脱の保存的治療としてペッサリー療法が行われる.ペッサリー療法の合併症として帯下増加や出血を認めることがあり,悪性腫瘍の除外が重要となる.われわれは,性器脱のペッサリー療法中に子宮体がん(漿液性癌および低分化型類内膜癌)が発生した症例を2例経験し,ペッサリー療法中の外来管理について教訓を得たので報告する.

Obstetric News

誘発分娩を考える(1)─ローリスク未産婦 : 陣痛誘発vs待機管理(ARRIVE trial)

著者: 武久徹

ページ範囲:P.1248 - P.1249

 分娩時期に関する推奨は母体と周産期リスクのバランスに基づいている.周産期転帰不良は,満期出産と比べ医学的適応なしでの妊娠39週未満の出産と関連がある(AJOG 211 : 265. e1, 2014).妊娠41週以降の妊婦は,周産期リスクが増加することから出産が勧められている(ACOG Pract Bull, #124, 2014年).

 妊娠39週0日〜妊娠40週6日になった場合,周産期の有益な効果の科学的証拠がないため,そして,特に未産婦群で,帝王切開率がより高くなることとその他の母体不良転帰につながる懸念があるため,実際には選択的陣痛誘発が回避されてきた(ACOG Pract Bull#107, 2009年).

Estrogen Series・177

渡り鳥とウイルス

著者: 矢沢珪二郎

ページ範囲:P.1250 - P.1250

 毎年夏になると多くの生物学者は米国東部の海辺,デラウェア湾に集まってきて,主に鳥の糞を採取し,それを海岸から研究室に持って帰る.

 主として海岸に集まる渡り鳥の糞が採集されるのは,5月中旬から6月初旬にかけて,無数の渡り鳥が集まってくる季節である.鳥たちは南米から始まりアラスカに至る航路をたどる.

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目次

ページ範囲:P.1150 - P.1151

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.1253 - P.1253

バックナンバー

ページ範囲:P.1255 - P.1255

次号予告・奥付

ページ範囲:P.1256 - P.1256

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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今月の臨床 男性不妊アップデート─ARTをする前に知っておきたい基礎知識

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今月の臨床 糖代謝異常合併妊娠のベストマネジメント─成因から管理法,母児の予後まで

72巻9号(2018年9月発行)

今月の臨床 症例検討会で突っ込まれないための“実践的”婦人科画像の読み方

72巻8号(2018年8月発行)

今月の臨床 スペシャリストに聞く 産婦人科でのアレルギー対応法

72巻7号(2018年7月発行)

今月の臨床 完全マスター! 妊娠高血圧症候群─PIHからHDPへ

72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

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今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

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今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

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今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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