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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科72巻2号

2018年03月発行

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

術前に診断困難であった直腸がん異時性びまん性子宮筋層転移の1症例

著者: 中島文香1 丸山康世1 平吹知雄1

所属機関: 1小田原市立病院産婦人科

ページ範囲:P.285 - P.288

文献概要

症例
▶患者

 73歳,2回経妊2回経産,閉経55歳.
▶主訴

 自覚症状なし.
▶既往歴

 直腸がん,高血圧,子宮筋腫.
▶現病歴

 71歳時に直腸がんに対して,前医外科で腹腔鏡下低位前方切除術を施行し,直腸がん,25×25mm,SE, ly0v0n0,stageⅡの診断となり,後療法不要で術後フォローアップ中であった.術後に一度CEA 1.9ng/mL,CA19-9 8.8U/mLまで低下していた腫瘍マーカーが,当院来院2か月前から徐々に上昇する傾向にあった.胸腹部造影CT検査で子宮体部に造影効果を認めたが,大腸内視鏡検査にて直腸粘膜に異常はなく,子宮体がんを強く疑い,精査目的に当院当科へ紹介受診となった.若年時より多発子宮筋腫の指摘はあった.不正性器出血などの本人の自覚症状はなかった.

参考文献

1)中島文香,他 : 術前に評価困難であった直腸癌,異時性びまん性子宮筋層転移の一例.関東産婦誌54 : 409─413, 2017
2)加藤久盛,他 : 転移性子宮癌の4症例─子宮外臓器原発の悪性細胞が子宮頸部および内膜細胞診に出現した症例の検討も加えて.日臨細胞誌33 : 679─686, 1994
3)森田哲郎,他 : 直腸癌手術後,子宮にリンパ行性転移をきたした1例.臨放42 : 287─290, 1997
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8)御子神哲也,他 : 子宮体部筋層に異時性転移をきたした上行結腸癌の1例.日臨外会誌64 : 1429─1433, 2003
9)山口正博,他 : 原発子宮体癌に類似した進展様式を呈したS状結腸癌の子宮転移の一例.北海道産婦会誌58 : 53─57, 2014
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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