臨床婦人科産科72巻4号

2018年04月発行

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック！ 【症状編】代表的な症状からの疾患鑑別 《産科外来》

妊婦の発熱

著者： 田中宏和¹

所属機関： ¹香川大学医学部周産期学婦人科学

ページ範囲：P.46 - P.51

鑑別診断のポイント
❖発熱の原因は，感染症をはじめとして代謝疾患や膠原病，腫瘍など多岐にわたる．そのため，その他の症状・症候に注意を払う必要がある．
❖原因の鑑別には，発熱の程度，持続期間，他の症候を参考にして原因を推測し，必要な検査を行う．妊娠・分娩時は，胎児への影響を考慮する必要がある．
❖妊婦の発熱では，他の疾患に合併する場合を含めて，特に絨毛膜羊膜炎などの子宮内感染症に注意を払う必要がある．
❖A群溶連菌感染症・敗血症など，時として緊急を要する重篤な疾患の初期症状でみられることがあることに留意する．

参考文献

1）菅谷憲夫 : インフルエンザ．河野　茂，他（監） : 感染症Up date．日医会誌143（特別号2） : 120─123, 2014

2）NeuZil KM, et al : Impact of Influenza on acute cardiopulmonary hospitalizations in pregnant women. Am J Epidemiol 148 : 1094─1102, 1998

3）日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会（監・編） : 産婦人科診療ガイドライン─産科編2017．p63─66，日本産科婦人科学会，2017

4）黒野祐一 : 急性上気道炎・急性喉頭蓋炎．河野　茂，他（監） : 感染症Up date．日医会誌143（特別号2） : 114─115, 2014

5）竹内亨介，他 : 尿路感染症．日産婦会誌60 : 121, 2008

6）日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会（監・編） : 産婦人科診療ガイドライン─産科編2017．pp374─376，日本産科婦人科学会，2017

7）日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会（監・編） : 産婦人科診療ガイドライン─産科編2017．pp350─353，日本産科婦人科学会，2017

8）Lencki SG, et al : Maternal umbilical cord serum interleukin level in preterm labor with clinical chorioamnionitis. Am J Obstet Gynecol 170 : 1345─1351, 1994

9）岡本愛光（監） : ウィリアムス産科学，原著24版．p1529，南山堂，2015

10）小林康祐 : A群溶血性レンサ球菌感染症．周産期医46（増刊） : 153─154, 2016

11）日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会（監・編） : 産婦人科診療ガイドライン─産科編2017．p331─334，日本産科婦人科学会，2017

12）金子　實 : 発熱．水野正彦，他（編） : 今日の産婦人科治療指針．p38，医学書院，1989

13）織田成人 : 成人敗血症．河野　茂，他（監） : 感染症Up date．日医会誌143（特別号2） : 264─266, 2014