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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科72巻4号

2018年04月発行

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

【疾患編7】悪性腫瘍 《がん検診》

子宮体がん検診/検診異常の精査

著者: 進伸幸1 齋藤英子1 田中都生1

所属機関: 1国際医療福祉大学三田病院 女性腫瘍センター・婦人科

ページ範囲:P.418 - P.423

文献概要

がん検診のポイント

 がん検診は,行政検診でのスクリーニングの場合と,精査目的の外来診療としての内膜検査の場合とがある.
❖子宮体がん検診は,子宮頸がん検診の際に,不正性器出血があって,50歳以上または閉経以後の者または月経不規則の者を対象として行われることがあるが,実施されていない市町村も多い.子宮体がん検診は,死亡率減少を指標とした場合の有効性は示されていない.
❖不正性器出血,内膜肥厚,内膜細胞診異常,過多月経などを主訴に受診となることが多い.最終月経,月経周期,妊娠の可能性,基礎体温などの情報を確認し,経腟超音波検査にて内膜の厚さ,内腔の方向,エコー輝度不均一性などを細胞診や組織診の前に確認しておく.
❖内膜細胞診は擦過式と吸引式があり,出血状態により選択する.マルチン鉗子で過度に頸部を牽引すると迷走神経反射をきたすことがあり,注意が必要である.内膜組織診は,擦過式の場合は子宮の前屈後屈の程度に合わせてキュレット鉗子の曲げ方を調節して,4方向以上でゆっくり掻爬を行う.

参考文献

1)厚生労働省 : 「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針」(2004年4月改正,2006年一部変更)
2)厚生労働省 : 「がん検診に関する検討会中間報告」(2002年3月)
3)産婦人科診療ガイドライン─婦人科外来編 2017.日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会編集・監修 CQ210子宮内膜細胞診の適切な採取法と検査対象者は? pp76─77,日本産科婦人科学会,2017
4)厚生省 : 「がん検診の有効性評価に関する研究班」(班長 久道茂) : がん検診の有効性に関する情報提供のための手引き.1998
5)青木大輔,他 : 子宮体がん検診.「新たながん検診手法の有効性の評価 報告書 第1版」(主任研究者 : 久道茂)pp177─210,財団法人日本公衆衛生協会,2013
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13)進 伸幸,他 : 乳がん症例への子宮内膜病変フォローはいつまで行うのか? 異常を疑う症例への対応は? 産婦の実際66 : 1489─1495, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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