icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科72巻5号

2018年05月発行

文献概要

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために 配偶子保存の必要性と課題

配偶子凍結に伴う倫理的問題

著者: 中塚幹也1234

所属機関: 1岡山大学大学院保健学研究科 2岡山大学病院産婦人科 3岡山大学生殖補助医療技術教育研究センター 4岡山県不妊専門相談センター

ページ範囲:P.424 - P.428

文献購入ページに移動
●日本生殖医学会は,医学的,および社会的適応による卵子凍結保存を条件付きで認めているが,日本産科婦人科学会は,社会的適応による卵子凍結保存は推奨しないとしている.

●凍結配偶子による死後生殖を認める国もあるが,日本生殖医学会は「精子保存は本人の生存期間」,日本産科婦人科学会は「本人の死亡により廃棄」とし,認めない立場である.

●米国や欧州の生殖医学会は,性的マイノリティ当事者の医学的・社会的適応の配偶子凍結を,その使用を含めて認めているが,日本における議論は十分でない.

参考文献

1)中塚幹也 : 第5章配偶子・受精卵・性腺凍結保存.シリーズ生命倫理学第6巻「生殖医療」(シリーズ生命倫理学編集委員会 編).pp.85─108,丸善出版,2012
2)続・騒がしい精子と卵子 : 子どもと話したい生殖医療.日本学術振興会科学研究費助成事業23390132基盤研究B「死後生殖の是非に関する学際的研究」26293112基盤研究B「配偶子・性腺凍結保存に伴う「生殖年齢の変化」「商品化」に関する学際的研究」報告書.pp1─78,2017
3)中塚幹也,他 : 配偶子の提供・凍結保存への意識とその実態─全国産婦人科施設への調査から─.産婦実際63 : 983─989, 2014
4)Cohen IG, et al : Embryo disposition disputes : controversies and case law. Hastings Cent Rep 46 : 13─19, 2016
5)Baldwin K, et al : Oocyte cryopreservation for social reasons : demographic profile and disposal intentions of UK users. Reprod Biomed Online 31 : 239─245, 2015
6)Ethics Committee of the American Society for Reproductive Medicine : Posthumous collection and use of reproductive tissue : a committee opinion. Fertil Steril 99 : 1842─1845, 2013
7)ESHRE Task Force on Ethics and Law, Pennings G, et al : ESHRE Task Force on Ethics and Law 11 : Posthumous assisted reproduction. Hum Reprod 21 : 3050─3053, 2006
8)中塚幹也 : 性の多様性に対する生殖医療の役割.医学のあゆみ263 : 349─351, 2017
9)Russell AM, et al : A comparison of heterosexual and LGBTQ cancer survivors' outlooks on relationships, family building, possible infertility, and patient-doctor fertility risk communication. J Cancer Surviv 10 : 935─942, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?