臨床婦人科産科73巻8号

2019年08月発行

今月の臨床 産婦人科で漢方を使いこなす！―漢方診療の新しい潮流をふまえて それぞれの場面での使い方

女性のメンタルヘルスケアと漢方薬

著者： 安井敏之¹ 松浦幸恵¹

所属機関： ¹徳島大学大学院医歯薬学研究部生殖・更年期医療学分野

ページ範囲：P.772 - P.779

●月経前症候群では，問題となる症状とともに気血水の異常を考えて漢方薬を使い分ける．

●月経困難症の女性には瘀血が多く，駆瘀血作用のある漢方や平滑筋の収縮抑制作用のある芍薬甘草湯が有用である．

●妊娠産褥期のメンタルヘルスでは，中心となっている症状が抑うつ気分か，不安焦燥感か，易疲労感や意欲障害かで漢方薬を考える．

●摂食障害は補剤を中心に考え，腹部膨満，下痢と便秘，精神的興奮によって漢方薬の種類を考慮する．

参考文献

1）日本産科婦人科学会（編） : 産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2017．月経前症候群の診断・管理は？　pp253-256，日本産科婦人科学会事務局，2017

2）American College of Obstetrics and Gynecologists : Premenstrual syndrome. Guidelines for Women's health care. A resource manual. Fourth Edition. pp607-613, 2014

3）Fukuoka M, et al : Premenstrual symptoms in young students and in their mothers at their ages. Int J Nur Midwifery 9 : 113-120, 2017

4）小川真里子，他 : 心身医学的立場からみた女性外来と漢方．最新女性医療5 : 81-85, 2018

5）塩田敦子，他 : 有効な漢方製剤から考える月経前症候群（PMS）の病態．産婦漢方研のあゆみ35 : 42-47, 2018

6）木村容子 : PMSと漢方．Newsletter of the Japan Menopause Soc 16 : 14-15, 2011

7）木下優子 : 月経前緊張症と月経困難症に対する漢方治療の考え方．日東医誌62 : 209-215, 2011

8）小川真里子，他 : 月経関連症候と漢方療法．産婦漢方研のあゆみ33 : 17-22, 2016

9）安井敏之，他 : 月経不順・女性不妊．臨婦産62 : 1061-1066, 2008

10）日本産科婦人科学会（編） : 産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2017．機能性月経困難症の治療は？　pp143-144，日本産科婦人科学会事務局，2017

11）加藤育民，他 : 月経不純並びに月経困難症に対する“温経湯”の有効性について．産婦漢方研のあゆみ27 : 76-80, 2010

12）大屋敦子，他 : 月経困難症の漢方療法．産婦治療98 : 51-54, 2009

13）高松　潔，他 : 月経困難症と漢方．産婦治療75 : 529-533, 1997

14）安田勝彦 : 西洋医学的立場からみた漢方薬 : 妊娠子宮筋収縮と漢方生薬成分の抑制効果．産婦漢方研のあゆみ35 : 1-13, 2018

15）竹田　省 : 妊産婦死亡“ゼロ”への挑戦，日産婦誌68 : 1815-1822, 2016

16）日本産婦人科医会 : 妊産婦メンタルヘルスの重要性．妊産婦メンタルヘルスマニュアル．pp8-15，日本産婦人科医会，2017

17）塩田敦子，他 : 妊婦のうつ・パニック障害に対する漢方薬の有用性．産婦漢方研のあゆみ32 : 117-120, 2015

18）佐野敬夫，他 : 産褥期の疲労およびうつ状態に対するTJ-41の作用．産婦漢方研のあゆみ10 : 67-71, 1993

19）鈴木眞理 : 女性のコモンディジーズになった摂食障害における漢方の有用性．産婦漢方研のあゆみ33 : 1-8, 2016

20）乾　明夫 : グレリン・六君子湯のメカニズムと臨床応用．漢方医学36 : 184-189, 2012

21）Kimura Y, et al : Kampo therapy for premenstrual symptom : efficacy of Kamishoyosan quantified using the second derivative of the fingertip photoplethysmogram. J Obstet Gynaecol Res 33 : 325-332, 2007