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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科74巻2号

2020年03月発行

文献概要

連載 Obstetric News

子宮内避妊装置(ミレーナ)―卵巣癌と子宮内膜癌減少(ノルウェーの研究)

著者: 武久徹1

所属機関: 1武久レディースクリニック

ページ範囲:P.302 - P.303

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ノルウェーにおける卵巣癌の研究(NOWAC)

 2012年の統計では,世界中で約152,000人が卵巣癌によって死亡している.ノルウェーにおける75歳までの卵巣癌累積リスクは1.3%で米国と同じである.卵巣癌は症状がはっきりしておらず,スクリーニング試験もないため,診断の遅れに繋がり,ノルウェーでの5年生存率は50%未満である.その結果,卵巣癌はノルウェー女性において癌の罹患率は8位であるが,癌死亡率では5位である.卵巣癌リスクは経口避妊薬(OCs)の使用5年間ごとに15〜29%減少し,世界的に,OCs使用で毎年推定30,000例の卵巣癌を予防しているといえる.長期間のOCs使用は子宮内膜癌リスクも減少(5〜9年間使用で34%減少)させる.

 しかし,OCs使用が10年間を超えた場合,OCs使用中止後最低5年間は,乳癌のリスクは最高38%増加する.そのため,避妊を必要としない女性に卵巣癌を予防する目的でのOCs処方は勧められていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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