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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻1号

2021年01月発行

文献概要

臨床経験

当院における若年妊婦の動向

著者: 髙橋ゆう子12 武知公博1

所属機関: 1公立昭和病院産婦人科 2駒込病院婦人科(現所属)

ページ範囲:P.177 - P.182

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▶要約

【背景・目的】未成年の妊娠は経済的基盤や知識の不足から,育児困難と強く関連する.当院ではソーシャルワーカーの早期介入や児童家庭支援センター,保健所などとの連携を行っている.平成23年度から27年度に当院で分娩した妊婦のうち,分娩時19歳以下の妊婦を対象とし背景と周産期予後を検討した.

【結果】5年間の分娩数3,355例のうち上記妊婦は62症例,被虐待既往の症例が16.1%,精神疾患合併が11.7%,生活保護世帯が25.8%,健診未受診が11.9%,未婚が75.5%であった.早産は10%で,児は97%が自宅退院し,3%は乳児院へ,児童相談所の介入は8.4%であった.妊娠判明時,高校生が71%,中学生が4.8%で,在籍中の高校を卒業した事例はなかった.

【考察】若年妊婦は被虐待既往や,サポート不足,健診未受診,精神疾患の合併が多い.学校や行政と連携したサポート体制導入が今後の課題である.

参考文献

1)小川久貴子 : 若年妊婦への支援.思春期学35 : 42-45, 2017
2)小池明子 : 地域における若年妊婦への支援.思春期学35 : 54-57, 2017
3)社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会 : 子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について,第6次報告.pp4-6, 2010
4)厚生労働省 : 児童虐待対策について.2014/8/29. http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jidou/dai1/siryou3.pdh
5)丸山明子,他 : 当センターにおける過去10年間の被虐待児入院症例215例の実態と問題点.日小児会誌115 : 77-82, 2011
6)厚生労働省 : 子どもの虐待対応の手引き.p15, 2013
7)久佐賀眞理 : 中学卒業直後に出産した女性が抱える社会的不利.女性心身医18 : 146-154, 2013
8)砂川久美子,他 : 10代で妊娠をした女性が自身の妊娠に適応していくプロセス.母性衛生53 : 250-258, 2012
9)福原里奈,他 : 若年妊娠・出産をした女性の実母の体験〜高校卒業と出産の両方を叶えるために実母が支援した事例〜.岡山母性衛生33 : 32-33, 2017
10)安達久美子 : 米国における若年母への支援.思春期学35 : 50-53, 2017
11)The California Department of Public Health : Adolescent Family Life Program. Update 2013. https://www.cdph.ca.gov/Programs/CFH/DMCAH/AFLP/Pages/default.aspx
12)小川久貴子,他 : 10代妊婦の支援プログラムの作成.助産誌61, 878-883, 2007
13)金澤貴子,他 : 助産師・ソーシャルワーカーからみた10代母の特徴.日助産会誌28 : 388, 2015
14)小川久貴子,他 : 10代で妊娠した女性を支援するHPから発信する情報メールの現状と課題.母性衛生57 : 108, 2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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