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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻11号

2021年11月発行

雑誌目次

今月の臨床 月経異常に対するホルモン療法を極める!―最新エビデンスと処方の実際

ホルモン療法を行うにあたって知っておくべき月経異常の分類

著者: 寺内公一

ページ範囲:P.1022 - P.1027

●ホルモン療法の対象となる月経異常は多岐にわたり,かつ相互に重なり合う.

●月経異常は,「初経に関する異常」「無月経」「月経周期日数に関する異常」「出血持続日数に関する異常」「経血量に関する異常」「月経周期に関連する症状」に大別される.

無月経

ホルムストローム療法

著者: 髙橋俊文 ,   太田邦明 ,   神保正利

ページ範囲:P.1028 - P.1032

●ホルムストローム療法は,無排卵による異常子宮出血(AUB-O)に対して実施する周期的な黄体ホルモン投与法である.

●ホルムストローム療法の適応は,第1度無月経(WHOのgroupⅡ)の患者であり,視床下部性排卵障害または多囊胞性卵巣症候群が対象となる.

●ホルムストローム療法による消退出血の意義は,排卵周期の回復よりもunopposedエストロゲンに対する子宮内膜の保護作用が重要である.

カウフマン療法

著者: 安井敏之 ,   河北貴子 ,   吉田加奈子 ,   岩佐武

ページ範囲:P.1033 - P.1037

●カウフマン療法は,月経周期の5日目から21日間エストロゲンを投与し,その後半にプロゲスチンを併用する方法であり,本療法後,約2〜7日で消退出血が認められる.

●カウフマン療法は,消退出血を起こすこととともに,ホルモンを補充する側面とカウフマン療法後のリバウンド現象を利用してその後の自然排卵を期待する側面がある.

●副作用が出現した場合には,服薬量を減量,休薬,または他の治療法に切り替える.

月経困難症・過多月経 LEP製剤

OC・LEP製剤の黄体ホルモンによる違い

著者: 山口明子 ,   髙橋俊文 ,   小宮ひろみ

ページ範囲:P.1038 - P.1043

●OC・LEPに含まれる黄体ホルモンの効果としては,排卵や頸管粘液分泌の抑制,子宮内膜や子宮内膜症病巣の萎縮,子宮筋収縮抑制などが挙げられる.

●黄体ホルモン製剤には,プロゲステロンレセプターだけではなく,アンドロゲンレセプターやグルココルチコイドレセプターにも作用するものがあり,製剤によりさまざまな副効用や副作用を示す.

●OC・LEPに含まれる黄体ホルモン製剤は薬剤により異なり,その特徴を把握して使用する必要がある.

LEP製剤の周期投与と連続投与の違い

著者: 髙松潔 ,   小川真里子

ページ範囲:P.1044 - P.1052

●連続投与は毎月の消退出血を回避することができ,月経痛などの月経困難症や過多月経を周期投与よりも改善する.

●子宮内膜症,特に術後の再発予防にも連続投与が有効である.

●連続投与の安全性・満足度・ドロップアウト率・アドヒアランスは周期投与と同等である.

黄体ホルモン製剤

経口黄体ホルモン製剤の使い方―ジエノゲストを中心に

著者: 篠原康一

ページ範囲:P.1053 - P.1059

●囊胞性病変を伴わない子宮内膜症の疼痛は,低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)もしくはプロゲスチンを使用する.プロゲスチンにはジドロゲステロンとジエノゲストが子宮内膜症に対して保険適用がある.

●ジエノゲストは,プロゲステロン作用の特異性が高く,アンドロゲン作用などの副作用が少ない特徴により,単独で長期に使用可能であり,LEP製剤でコントロール不良な症例にも有効性が期待されている.

●高度の子宮腫大または重度の貧血のある患者では,出血症状が増悪し,大量出血を起こすおそれがある.「子宮体部の最大径が10cm(新生児頭大)以上または子宮筋層最大厚4cm以上の患者」および「ヘモグロビン値8.0g/dL未満の患者」には別の治療を検討する.またジエノゲスト服用中には予期せぬ妊娠や,卵巣チョコレート囊胞や子宮腺筋症の悪性化にも十分注意を要する.

子宮内システムの使い方

著者: 太田郁子

ページ範囲:P.1060 - P.1067

●LNG-IUSは粘膜下筋腫がある場合は禁忌である.

●乳がん術後のタモキシフェン使用症例に対するLNG-IUSの使用は禁忌ではないが,乳腺外科の担当医師と見解を合わせて使用することが望ましい.

●LNG-IUS挿入時にはない子宮筋腫の新たな発生や子宮内膜症の増悪がある場合があり,必ず挿入後は定期的に経過を観察する必要がある.

SPRMの展望

著者: 松岡正造

ページ範囲:P.1068 - P.1073

●選択的プロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM)はプロゲステロン受容体に結合し,作用,拮抗あるいは両方の作用をもつ薬剤である.

●SPRMは緊急避妊や人工妊娠中絶薬,子宮筋腫の治療薬として用いられている.

●SPRMは第Ⅱ相臨床試験においてGnRH analogの効果と同等以上に子宮筋腫のサイズを減少させ,子宮からの出血を減少させた.

GnRHアナログ

GnRHアゴニストの使い方

著者: 小芝明美

ページ範囲:P.1074 - P.1080

●GnRHアゴニストは下垂体GnRH受容体に結合し,持続投与においてはGnRH受容体を脱感作により消失させることにより,下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌を抑制し,卵巣のエストロゲン分泌を抑制する.

●婦人科領域ではエストロゲン依存疾患である子宮筋腫および子宮内膜症に保険適用があるが,一過性のアゴニスト作用であるフレアアップによる出血や使用期間の制限といった特性を踏まえて,治療計画に組み込む必要がある.

●低エストロゲン状態となるため,エストロゲン欠落症状の副作用は必発であり,特に骨量減少への懸念から,子宮内膜症および子宮筋腫に対しての連続使用は6か月に制限される.

GnRHアンタゴニストの使い方

著者: 中村寛江 ,   平池修

ページ範囲:P.1081 - P.1086

●子宮筋腫治療の新たな選択肢として,2019年3月に本邦発の経口GnRHアンタゴニスト製剤であるレルゴリクス(レルミナ®)が上市された.

●GnRHアンタゴニストの特徴は,flare upなく速やかにエストロゲン分泌を抑制すること,比較的早期に子宮筋腫縮小効果・貧血改善効果がみられることなどである.

●子宮内膜症性骨盤痛に対するレルゴリクスの有効性が第Ⅲ相試験で確認され,今後の適応拡大が期待されている.

実際編 : こんなときどうする?

OC・LEPの服薬コンプライアンスに困る例にどう対応するか―マイナートラブルへの対応

著者: 佐々木浩

ページ範囲:P.1087 - P.1092

●OC・LEPは諸外国に比較してその普及率は低く,服用中止における有害事象の原因で最も多いのは不正出血である.

●OC・LEP服用初期には不正出血,嘔気,乳房緊満感などが起こることがあるが,その多くは3か月程度で軽減する.

●OC・LEPによる体重増加を支持するデータはないが,含有する黄体ホルモンによっては食欲が増進することがある.

40歳以上の月経困難症・過多月経・無月経に対するホルモン療法

著者: 岡野浩哉

ページ範囲:P.1093 - P.1103

●閉経前女性に対するホルモン療法のうち,40歳未満と以上とで管理方針に違いが生じるのはLEPとOCである.

●同じ製剤においても,40歳未満よりホルモン治療を受けていた患者が40歳以上になったのか,または40歳以上になってから症状が悪化し新規にホルモン治療を導入するのかでも対応が異なる.

●脳卒中,肺塞栓症などの重篤な副作用発現が最も深刻な事態を招くため,臨床医はリスクを事前に把握し薬剤の中止や変更を行うべきである.

●黄体ホルモンによる治療は心血管系疾患リスクが少なく,40歳以上でも安全に試行できるが,その種類によりリスクは異なる.

アスリートの月経困難症・過多月経・無月経に対するホルモン療法

著者: 能瀬さやか

ページ範囲:P.1104 - P.1110

●OC・LEPを投与する際,競技特性や練習・試合日程に配慮した薬剤の選択や投与スケジュールの決定が必要であり,投与後は体重の増減について慎重に経過をみる.

●クロミフェンは,ドーピング禁止物質を含んでおり治療使用特例の申請が必要である.

●利用可能エネルギー不足による無月経に対しホルモン療法を考慮する場合,経皮エストラジール製剤を用いる.

連載 Obstetric News

40歳以上の女性が直面している主な性的・生殖健康問題は何か?(Ⅱ)

著者: 武久徹

ページ範囲:P.1112 - P.1113

性的関係

医療従事者は,40歳以上の女性に対して,性感染症(STI)や性的健康について話し合う必要がある.避妊の必要がなくなった後も,コンドームの使用やSTIからの保護についてアドバイスする必要がある.

 40歳以上の人の多くは,カジュアルな関係であれ,長期的な関係であれ,新たな関係を築いているかもしれない.2013年に英国で行われた調査では,45〜54歳の女性の8.9%,55〜64歳の女性の4.4%が,過去1年間に少なくとも1人の新しい性的パートナーを得ていると報告されている.

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目次

ページ範囲:P.1018 - P.1019

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.1114 - P.1114

バックナンバー

ページ範囲:P.1115 - P.1115

次号予告・奥付

ページ範囲:P.1116 - P.1116

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

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今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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