icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻4号

2021年04月発行

雑誌目次

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために 周産期

Q1 会陰切開は必ずやらないといけないのですか?

著者: 亀井良政

ページ範囲:P.113 - P.113

A1

・会陰切開は必ず実施する必要はありません.切開を実施すれば分娩後に切開部の縫合をする必要が生じてしまうからです.

・会陰切開を実施するのは,会陰の伸展が悪いためにお母さんの疲労や赤ちゃんの状態の悪化が生じるのを防ぐためです.

Q2 どんなときに鉗子分娩・吸引分娩をするのですか?

著者: 亀井良政

ページ範囲:P.114 - P.114

A2

・分娩中に,赤ちゃんの頭部が外陰部付近まで下降していながら,何らかの医学的理由ですぐに分娩を終了させる必要が生じた場合に実施する器械分娩です.

・実施する理由としては,お母さんの高血圧などの合併症,分娩の停止,赤ちゃんの心拍数の悪化などがあります.

Q3 何歳から高齢出産になりますか?

著者: 安達知子

ページ範囲:P.115 - P.116

A3

明確な定義はありませんが,35歳以上の出産を指すことが多いです.

Q4 性感染症は赤ちゃんにも感染しますか?

著者: 川名敬

ページ範囲:P.116 - P.117

A4

 性感染症のなかには赤ちゃんに感染するものがあります.性行為で感染する病原体の多くは,性器に棲みついています.病気として現れなくても,病原体は性器に潜伏していることがあります.子宮(主に,子宮頸部),腟,外陰部のどこに棲みついていてもおかしくありません.これらは分娩で赤ちゃんが通り抜ける産道でもあります.

 赤ちゃんに感染するルートには大きく2つあります.1つは胎盤を通って感染する場合,もう1つは産道で感染する場合です.胎盤から感染するものには,梅毒,ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus : HIV)があります.産道で感染するものには,性器ヘルペス,尖圭コンジローマ,性器クラミジアがあります.

Q5 以前,性器ヘルペスにかかったことがあります.何か問題はありますか?

著者: 森川守

ページ範囲:P.117 - P.118

A51)

 性器ヘルペスに以前かかったことがあっても,妊娠中に再発しなければ,問題はありません.

 ただし,妊娠中に再発すると,稀(約5%)に子宮内の胎児に感染することもあります.また,分娩時期(特に再発では分娩前1週間以内,初発では分娩前1か月以内)に外陰部に病変を認める場合や,病変が強く疑われる場合には,経腟分娩の際に児へ感染する可能性があります.新生児ヘルペス感染を予防するために帝王切開をお勧めします.なお,新生児への感染を帝王切開で100%予防することはできません.

Q6 つわりがひどくて食べても吐いてしまいます.赤ちゃんへの影響はありますか?

著者: 兵藤博信

ページ範囲:P.118 - P.119

A6

・水分はとれていますか? お母さんが日常生活を送れるくらいであれば,赤ちゃんはまだまだお母さんの1,000分の1にも満たない大きさですから,お母さんの体の「蓄え」だけでも,大丈夫ですよ.

・水分すらなかなかとれないときには,点滴で補うこともできます.このときに,糖分やアミノ酸,ビタミンなどを合わせて補うこともできます.

Q7 子宮内膜症は胎児や胎盤に影響がありますか?

著者: 平田哲也

ページ範囲:P.119 - P.120

A7

 子宮内膜症を合併していることで,早産や流産の頻度が上がるという報告はありますが,その程度はそこまで高くないので,過度に心配する必要はありません.前置胎盤のリスクは上昇する可能性が報告されています.妊娠中期から後期にかけて,超音波検査で胎盤位置はわかりますので,その時期に確認しましょう.子宮腺筋症については,早産,妊娠高血圧症候群,胎児発育不全などのリスクが上がる可能性があります.子宮内膜症よりもリスクが高いかもしれません.特に重度の子宮腺筋症を合併している場合には,早産などの周産期リスクが高いため,小児科のある病院での出産をお勧めします.

Q8 子宮筋腫があると言われました.妊娠・出産に影響がありますか?

著者: 中西沙由理 ,   青木茂

ページ範囲:P.120 - P.121

A8

 子宮のなかの形を変形させているような子宮筋腫があり,それ以外に不妊症の原因がない場合には,妊娠のために子宮筋腫核出術を考慮することがあります.子宮筋腫核出術後の分娩は,子宮筋腫の手術の内容によって帝王切開の分娩が望ましい場合があります.

 子宮筋腫があっても,合併症を起こさず分娩される方もいらっしゃいますが,子宮筋腫のない方に比べると妊娠・出産で合併症が起こるリスクは約2〜4倍と報告されています.切迫流早産・前期破水,赤ちゃんの胎位の異常,前置胎盤,常位胎盤早期剝離,胎児子宮内発育遅延などの合併症に注意が必要です.また,お産の際にも,陣痛異常や分娩停止,帝王切開,分娩後の異常出血などのリスクが高まります.妊娠中に子宮筋腫の位置や大きさ・個数,胎盤との位置関係を把握しておくことが重要です.

Q9 遺伝性疾患をもっています.妊娠・出産に影響がありますか?

著者: 山田崇弘

ページ範囲:P.121 - P.122

A9

 妊娠・出産ではあなた自身への影響と赤ちゃんへの影響との両方を考える必要があります.まず,あなた自身への影響としては遺伝性の疾患であってもそうでなくても,その疾患の妊娠への影響と妊娠自体の疾患への影響について検討する必要があります.疾患の主治医の先生と産婦人科の先生の両者と十分話し合ってください.

 次に赤ちゃんへの影響です.その遺伝性疾患が赤ちゃんへ受け継がれることがご心配なのかもしれませんね.しかし,あなたには何も疾患がない場合でも,生まれてくる赤ちゃんが何らかの先天性疾患をもっている可能性は3〜5%あります.すでにあなたがその疾患をおもちで,赤ちゃんが同じ疾患を発症する可能性がある遺伝形式の例としては,常染色体優性遺伝,あるいはX連鎖遺伝がまずは想定されます.赤ちゃんがその疾患をもつ可能性は前者であれば50%,後者では男の子であれば50%の可能性でその疾患をもつあるいは流産となり,女の子であれば50%の可能性で非発症保因者あるいはその疾患をもつことになります.ただ,それ以外の遺伝形式をもつ疾患も多く存在し,評価が難しい場合もありますので,一度遺伝カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか.

Q10 マタニティ・ブルーズ,産後うつ病とはなんですか?

著者: 佐藤昌司

ページ範囲:P.122 - P.124

A10

 マタニティ・ブルーズは,産後3〜10日頃に起こる“一時的な情動不安定の状態”です.主な症状は軽度の抑うつ,涙もろさ,不安あるいは集中力低下などで,特に涙もろくなることが重要なサインです.産褥の方の約30%に起こり,通常2週間ほどで症状は自然に消失するので,ほとんどの場合には治療を要しません.しかし,一部の方はその後に産後うつ病に移行したとの報告もあるので,ご自身でも念のためにその後の生活・育児の状況に注意し,ご家族の育児への協力を依頼するとともに,症状の改善に合わせて徐々に育児に向かっていくよう,また,もし2週間以上経ても症状が残っているような場合には産科医療機関に連絡していただくことをお勧めします.

 産後うつ病は,産褥期の精神障害のなかで最も多く,わが国では産褥の方の10〜15%前後に起こるとされています.主な症状は抑うつ気分,不安,焦燥,不眠などで,母親としての責務を果たせないことや,子どもや夫に対して愛情が湧いてこないことに対する自責の念,育児への不安・恐怖などを強く感じます.軽い抑うつの状態から,日常生活が何もできなくなる重症の方までさまざまですが,さらに重症になると悲観の度合いが強くなったりして危険ですので,きちんと精神科医師の診察を受けたうえで診断や治療,今後の授乳などについてお聞きいただき,ご家族にも協力していただきながら必要な治療を受けられたほうが安心です.必要に応じて,精神科,産婦人科,小児科のスタッフと保健師さん,行政の方々とも連携をとりながら子育てに臨むことが大切です.

Q11 かぜのため近くの内科クリニックを受診したら薬を処方されました.これらの薬を飲んでも大丈夫でしょうか?

著者: 小畠真奈

ページ範囲:P.124 - P.125

A11

 今回処方されたお薬は,すべてあなたが今飲んでも大丈夫なものばかりです.

 この時期では,お腹の中の赤ちゃんの体はもう,かたちづくられていますので,あなたが飲んだお薬によって赤ちゃんに奇形が起こる心配は,ほぼありません.また,たとえ赤ちゃんがいちばん影響を受けやすい妊娠初期にあなたが飲んだ場合でも,今回のお薬によって赤ちゃんの奇形が起きる心配はないと考えられます.ただ,短期間では心配ないといわれているこれらのお薬についても,長期間にわたって飲み続けることによる,お腹の中の赤ちゃんへの影響は,まだよくわかっていません.

Q12 妊娠中でもインフルエンザの予防接種をしたほうがよいですか? もしインフルエンザに感染したらどうしたらよいですか?

著者: 西郡秀和

ページ範囲:P.125 - P.126

A121)

 妊婦へのインフルエンザワクチン接種は,インフルエンザに罹患するリスクを下げます.インフルエンザワクチンの母体および胎児への危険性は妊娠全期間を通じてきわめて低いことが報告されています.したがって,希望があれば,予防接種をしたほうがよいでしょう.

 もしインフルエンザに感染した場合は,症状出現後48時間以内に,抗インフルエンザウイルス薬による治療を受けることをお勧めします.オセルタミビル(タミフル® : 内服薬),ザナミビル(リレンザ® : 吸入薬)とラニナミビル(イナビル® : 吸入薬)の妊婦への投与による胎児の有害事象は報告されていません.

Q13 風疹,麻疹,水痘にかかったことがあるかと聞かれましたが,自分でもよく覚えていません.どうすればよいですか?

著者: 奥田美加

ページ範囲:P.127 - P.128

A13

 かかったことがあるか,予防接種を受けたことがあるか,ご両親に確認してください.ご実家に,あなた自身の母子健康手帳はありますか? もしあれば,予防接種の記録のページを確認してください.あなたの世代では,麻疹と風疹は1歳と中学1年生のときに定期予防接種の対象でしたが,水痘は定期接種の対象ではありません.

 かかったことがあるとご両親から言われても,記憶が必ずしも正しいとは限りません.また,予防接種歴がある場合も,免疫が得られなかったり,弱まったりすることがあります.いま,あなたがこれらの免疫をもっているか,ご希望があれば(あるいは接触歴などから必要と判断したら),採血をして調べてみましょう.抗体がない場合は,感染しないように気をつけて,万が一発熱や発疹などの症状が出たらすぐ連絡してください.妊娠中には生ワクチンを接種できませんので,今回の妊娠が終了したら,ワクチン接種を受けてください.

Q14 風疹にかかってしまい「赤ちゃんが先天奇形になるかもしれない」と言われました.どうすればよいですか?

著者: 下屋浩一郎

ページ範囲:P.128 - P.129

A14

 妊娠初期に風疹に感染すると,児に先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome : CRS)を引き起こすことがあります.症状として先天性心疾患,白内障,難聴が代表的で,ほかにも網膜症,肝脾腫,血小板減少,糖尿病,発育遅滞,精神運動発達遅滞,小眼球など多岐にわたる症状を呈します.妊娠週数が早いほどCRSの罹患率が高いといわれますが,母体の感染がそのまま胎児感染を意味しているわけではありません.皮膚科で診断されているので診断に間違いはないと思いますが,念のため風疹ウイルス特異的抗体の検査を行って風疹ウイルス感染の確認をするのがよいと思います.IgM抗体を測定することで感染の診断ができます1).今後の対応について詳しい情報を得るために,「風疹流行および先天性風疹症候群の発生抑制に関する緊急提言」掲載の各地区ブロック相談窓口(2次施設)への相談・紹介ができます.さらに2次施設では「羊水による胎児感染診断の必要性」について相談したうえで,必要があればpolymerase chain reaction(PCR)検査実施可能な施設への仲介などの対応を行っています2)

Q15 避妊法にはたくさんの種類があると聞きますが,私に相応しい避妊法はどれですか?

著者: 北村邦夫

ページ範囲:P.129 - P.131

A15

 「妊娠は女性にしか起こらないのだから,避妊を男性任せにするのは止めよう」.これが僕の回答です.コンドームは男性の性器に装着する用具ですから,「破れた」「外れた」では妊娠を回避できません.仮にそのような事件に遭遇したときのために,緊急避妊法についても知っておくこと.結論を急げば,安心,安全に避妊したいと考えているのであれば,低用量経口避妊薬(oral contraceptives : OC,日本では「ピル」ということが多い)がお勧めです.

 残念ながらOCでは性感染症を予防できませんので,dual protection(二重防御法)といいますが,「避妊にはOCを,性感染症予防にはコンドームを!」のメッセージをお伝えします.日本の男性の多くは,コンドームが性感染症予防の唯一の用具という認識が欠けています.あなたが「私,ピル飲んでいるの」などと言おうものなら,コンドームを使わなくなることがありますので,「彼と心中してもいい」ほどの関係になるまでは,OCを飲んでいることを決して口にしないことです.日本には,月経困難症治療を目的としたLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン)製剤がありますが,OCもLEPも同等の避妊効果があるだけでなく,月経痛の緩和や月経血量の減少など,月経で悩んでいる女性にとっては,メリットが多々あります.初経から閉経まで,医学的に問題がなければ安心して服用することができます.お薬を飲むには,必ず副作用を考慮することになりますが,OC服用でよく話題になる血栓塞栓症などは,OC未服用者に比べては高いものの,妊娠中あるいは産後での発症率と比べると,はるかに低いのです.

Q16 妊娠中の齲歯,歯周病の治療はどうすればよいですか?

著者: 大野泰正

ページ範囲:P.132 - P.133

A16

 妊娠中は内分泌環境の変化,唾液分泌低下,悪阻時の歯磨きの困難さなどによって,齲歯や歯周病になりやすくなります.それらは早産,胎児発育不全,妊娠高血圧症候群などのリスクを高めるという報告もあります.また,新生児の口腔内はもともと無菌状態ですが,母親からの口腔内細菌が伝播して齲歯の原因になりうるといわれています.したがって,妊娠中のみならず授乳中も良好な口腔内環境を保つ必要があります.口腔ケアには日常セルフケア(歯磨き,禁煙など)と,歯科医師や歯科衛生士による専門ケア(口腔衛生指導,歯面清掃,歯石除去など)があります.妊娠中や授乳中の歯科治療は安全なので,歯科医師と相談しながら適切な口腔ケアを行いましょう.なお,母子手帳のなかにある「妊娠中と産後の歯の状態」も活用できます.

Q17 育児休業中・子育てに関する経済的支援制度を教えてください.

著者: 笠井靖代

ページ範囲:P.133 - P.134

A17

 以下に示すような育児休業給付金や児童手当と保険料の免除などがあります.

・育児休業給付金 : 雇用保険の被保険者が原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した際に給付されます.育児休業開始から6か月までは休業開始前賃金の67%相当額,それ以降は50%相当額で,休業が必要と認められる場合には,子が2歳に達するまで支給されます.育児休業給付金は非課税です.所得税および復興特別所得税は差し引かれません.住民税は育児休業中も支払う必要がありますが,次年度の住民税の決定を行う際の収入にこの育児休業給付金は算定されません.育児休業給付金は非課税で社会保険料免除のため,休業前の手取り賃金と比較した場合,おおむね8割程度が支給されます.また両親ともに6か月間の育児休業を取得した場合は,育児休業12か月分について給付割合67%が適用されます.

妊娠初期

子宮内容除去術を行うにあたっての患者説明

著者: 藤田恭之

ページ範囲:P.8 - P.11

必ず説明しておくべきこと

◆手術時間は短く,基本的な手術ではあるが,出血や子宮穿孔といった合併症が起こりうる手術である.

◆子宮穿孔に腸管や大網の損傷を伴った場合には開腹術を要する.

異所性妊娠手術を行うにあたっての患者説明

著者: 霞澤匠 ,   高村将司

ページ範囲:P.12 - P.16

必ず説明しておくべきこと

◆手術の目的は,診断をつけること(妊娠部位を特定すること)と治療を行うことである.

◆術中に妊娠部位が特定できないことがある.

◆手術以外の方法として抗がん剤による薬物療法の選択肢があるが,満たすべき適応要件があるため,全例で選択できるわけではない.

◆腹腔鏡下に手術が完遂する場合が多いが,さまざまな状況で開腹移行が必要な場合もある.

◆卵管が好発部位であり,卵管の場合は卵管切除が基本術式となる.卵管温存手術を行う施設もあるが,存続絨毛症や再発などのさまざまなリスクが伴う術式であることを理解する必要がある.稀な妊娠部位の場合は,その臓器の合併切除が必要となる場合がある.

異所性妊娠に対して薬物治療を行うにあたっての患者説明

著者: 難波聡

ページ範囲:P.17 - P.20

必ず説明しておくべきこと

◆欧米では一般的な治療法であるが,日本ではまだ保険適用外であること.

◆薬物療法単独で治癒する確率は80〜90%であり,緊急手術が必要となる場合があること.

◆血中hCG値が陰性化するまで1〜3か月程度にわたる外来での経過観察が必要であり,その間,定められた間隔での外来受診が求められること.

子宮頸管縫縮術を行うにあたっての患者説明

著者: 山下有加 ,   大槻克文

ページ範囲:P.21 - P.25

必ず説明しておくべきこと

◆手術の対象患者:既往歴,超音波所見,身体所見を踏まえて決定.

◆手術の目的:早産率,周産期死亡率の低下に寄与する可能性.

◆手術の実際:術式の詳細を説明する.

◆合併症・リスク:出血,感染,破水,子宮収縮.

◆手術以外の選択肢:経過観察,プロゲステロン(腟錠・筋肉注射).

◆同意撤回,質問の自由.

出生前診断の検査と処置

出生前検査・診断を行うにあたっての患者説明

著者: 西山深雪 ,   長谷川冬雪

ページ範囲:P.26 - P.31

必ず説明しておくべきこと

◆出生前遺伝学的検査を受けることは,今回の妊娠に対する判断につながる可能性がある.

◆クライアントが検査のメリット・デメリットを理解し,納得したうえで検査の有無を判断することが大切である.

◆検査を受ける場合は,望まない結果であった際のことをクライアントが事前に考えておくことが望ましい.

羊水検査を行うにあたっての患者説明

著者: 齋藤彩 ,   高橋聡太 ,   室月淳

ページ範囲:P.32 - P.35

必ず説明しておくべきこと

◆羊水中には胎児の細胞が含まれていて,この羊水を採取することにより,胎児の染色体や遺伝子を調べることができる.

◆通常妊娠16週前後に行うが,超音波画像を見ながら母体腹壁に穿刺針を刺して,子宮内の羊水を通常20mLほど採取する.

◆破水,出血,子宮内感染,母体の臓器損傷,早産,羊水塞栓などの合併症があり,300人に1人くらいの頻度で流産や胎児死亡となる.

◆羊水検査の前後の遺伝カウンセリングが重要である.

絨毛検査を行うにあたっての患者説明

著者: 三浦生子 ,   三浦清徳

ページ範囲:P.36 - P.41

必ず説明しておくべきこと

◆検査前後の遺伝カウンセリングは必須である.

◆胎児の染色体異常や遺伝子疾患を診断するための確定的検査であり,破水や流産の危険性を伴う侵襲的検査である.

◆検査対象は染色体異常あるいは遺伝子疾患の胎児を妊娠している可能性が高い妊婦である.

◆検査の実施時期は妊娠11〜13週である.

◆検査法には経腹法と経腟法とがあり,胎盤の付着部位によって最適な検査法が選択される.

NIPTを行うにあたっての患者説明

著者: 鈴森伸宏

ページ範囲:P.42 - P.45

必ず説明しておくべきこと

◆主に妊娠10週以降の母体血で,胎児21・18・13トリソミーについて非確定的な出生前検査をすることができる.

◆NIPTの検査結果が陽性(ハイリスク)のときは,羊水または絨毛検査による確定検査が必要である.

◆偽陽性・偽陰性の可能性,および結果によってはさまざまな選択肢につながる場合があることについての説明が大切である.

血清マーカー検査を行うにあたっての患者説明

著者: 栗城紘子 ,   浜之上はるか

ページ範囲:P.46 - P.50

必ず説明しておくべきこと

◆非確定的検査であること.

◆検査の目的,方法,原理,結果の理解の仕方.

◆遺伝カウンセリングについての情報.

◆予想される結果とその後の選択肢について.

◆血清マーカー検査の対象疾患は先天性疾患のごく一部であること.

◆検査対象疾患の自然歴.

出生前遺伝子検査を行うにあたっての患者説明

著者: 長谷川冬雪 ,   西山深雪

ページ範囲:P.51 - P.55

必ず説明しておくべきこと

◆単一遺伝子疾患の出生前遺伝子検査は,カップルが希望しても必ずしも検査が実施できるとは限らない.

◆単一遺伝子疾患の出生前遺伝子検査の実施に際しては,事前の情報収集と準備が必要となるため,妊娠前から遺伝カウンセリングを実施することが望ましい.

胎児超音波検査を行うにあたっての患者説明

著者: 長﨑澄人 ,   中田雅彦

ページ範囲:P.57 - P.62

必ず説明しておくべきこと

◆胎児超音波検査は胎児の先天的な形態異常などを調べるものであり,妊婦健診で行う通常超音波検査とは目的が異なる.広い意味で出生前検査の1つであるため,すべての妊婦を対象とした標準的な検査ではなく妊婦・家族の希望によって行われるものである.

◆妊娠の初期・中期・後期に計2〜3回程度行うが,通常超音波検査より評価項目が多いため時間がかかることが多く,そのため施設によっては別に診療枠をとって検査することや,臨床検査技師が検査することもある.

妊娠中の産科処置

切迫早産に対する薬物治療を行うにあたっての患者説明

著者: 塩﨑有宏

ページ範囲:P.63 - P.67

必ず説明しておくべきこと

◆子宮口開大を伴わない早期陣痛は本来の「切迫早産」ではないので,子宮収縮抑制薬を安易に投与しない.

◆子宮収縮抑制薬の投与量は副作用に注意しつつ必要最低限とし,症状が軽快すれば常に減量を試みる.

◆1週間以内に妊娠34週未満の早産が予想される場合,児の合併症予防として,母体へ出生前ステロイド投与を行う.

RDS予防のためにリンデロン®を投与するにあたっての患者説明

著者: 田中幹二

ページ範囲:P.68 - P.71

必ず説明しておくべきこと

◆早産児の合併症には呼吸窮迫症候群,脳室内出血,壊死性腸炎,未熟児網膜症などがある.

◆早産リスクが高い妊婦に対しリンデロン®を投与することで,上述の合併症を減少させられる可能性がある.

◆母体副作用として白血球数や血小板数の増加,血糖値上昇などが報告されているが,胎児への悪影響はほとんどない.

羊水除去を行うにあたっての患者説明

著者: 吉田志朗

ページ範囲:P.72 - P.75

必ず説明しておくべきこと

◆羊水過多に伴う圧迫症状や切迫早産の治療,分娩時の微弱陣痛や弛緩出血・臍帯脱出のリスク低減法として,羊水除去が有効である.

◆羊水過多の原因によっては,分娩までに複数回の羊水除去を要する場合がある.

◆羊水除去の合併症として,出血,子宮内感染,前期破水,常位胎盤早期剝離,胎児や臍帯の損傷,胎児徐脈などがある.

分娩時の処置・手術

羊水注入を行うにあたっての患者説明

著者: 岩垣重紀 ,   高橋雄一郎

ページ範囲:P.76 - P.81

必ず説明しておくべきこと

◆臍帯圧迫による胎児の低酸素ストレスが疑われる状況であり,この状況が持続すると児の状態が悪化し,帝王切開が必要となる可能性が上昇する.

◆羊水注入を行った場合,行わなかった場合と比較して帝王切開の確率は約6割に減らすことができる.

◆母体に有害事象が発生したという報告はあるが,羊水注入との因果関係は示されておらず,頻度としても稀である.

陣痛促進・分娩誘発を行うにあたっての患者説明

著者: 牧野真太郎

ページ範囲:P.82 - P.86

必ず説明しておくべきこと

◆分娩促進・誘発の目的を明確に説明する.

◆分娩促進・誘発に関するリスクを説明する.

硬膜外麻酔無痛分娩を行うにあたっての患者説明

著者: 平井歌織 ,   岡田尚子

ページ範囲:P.87 - P.90

必ず説明しておくべきこと

◆無痛分娩を希望される妊婦は,必ず周産期外来を受診する必要がある.

◆無痛分娩はお産の痛みをゼロにすることが目的ではなく,安全な量の麻酔薬を使用して痛みを和らげ,分娩するための方法である.

子宮底圧迫法(クリステレル胎児圧出法)を行うにあたっての患者説明

著者: 牧野康男 ,   相澤利奈 ,   牧野郁子

ページ範囲:P.91 - P.93

必ず説明しておくべきこと

◆子宮底圧迫法は急速遂娩が必要な場合にのみ選択される手技である1)

◆分娩第2期の急速遂娩術には,吸引・鉗子娩出術あるいは帝王切開が選択されるので,その補助手段であると説明する1)

◆この補助手段とは,娩出力を補完する目的で吸引・鉗子娩出術に併用する場合と,吸引・鉗子娩出術を準備し施行するのに時間を要するなどの事態に対して,その代替法として施行する場合であると説明する1)

予定反復帝王切開術を行うにあたっての患者説明

著者: 松岡隆

ページ範囲:P.95 - P.98

必ず説明しておくべきこと

◆説明文書を渡すだけでなく,実際に説明用紙を用いて説明する場合には説明している部分に線を引きながら説明するとよい(表1).線を引いたことにより,その部分を説明した痕跡が残る.携帯電話契約時などに実際に行われている方法である.
①手術内容・方法
②麻酔方法 : 通常区域麻酔,緊急時全身麻酔
③予定外になった場合の対応
④術中・術後合併症 : 臓器損傷,前置胎盤,癒着胎盤のリスク上昇

胎盤位置異常(前置胎盤・低置胎盤)における帝王切開術を行うにあたっての患者説明

著者: 最上晴太 ,   近藤英治

ページ範囲:P.99 - P.104

必ず説明しておくべきこと

◆大量出血の可能性 : 帝王切開時の出血が通常より多くなる可能性があり,その際,輸血が必要になること.

◆子宮摘出の可能性 : 前置癒着胎盤や大量出血で保存的治療(バルーンタンポナーデ,子宮動脈塞栓術など)が無効のときは,子宮摘出の必要があること.

緊急帝王切開術を行うにあたっての患者説明

著者: 赤坂珠理晃 ,   市川麻祐子 ,   成瀬勝彦

ページ範囲:P.105 - P.108

必ず説明しておくべきこと

◆経腟分娩では良くない結果が予測されるため,母(または児)を救うために必要な手術であること.

◆予定での帝王切開に比し,他臓器損傷(特に膀胱・腸管)を含めた術中術後合併症が起きやすいこと.

◆施行後,次回の妊娠まで期間を空ける必要があり,かつ帝王切開分娩が必要となる可能性が高いこと.

分娩後に子宮動脈塞栓術を行うにあたっての患者説明

著者: 藤井達也 ,   永松健

ページ範囲:P.109 - P.112

必ず説明しておくべきこと

◆子宮動脈塞栓術は通常,子宮動脈血流を一時的に減少させることで子宮由来の出血に対して強力な止血効果が期待できる.一方で,子宮には卵巣動脈を介する血流などもあり,すべての症例で確実に止血できるわけではない.また子宮動脈の再灌流後に再度出血するリスクがある.

◆次回妊娠への影響に関する懸念があるが,現在はその影響は限局的と考えられている.ただし,次回妊娠時に大量出血や癒着胎盤が多いと報告されており,慎重な妊娠管理が必要である.

不妊・不育

卵管疎通性検査を行うにあたっての患者説明

著者: 中林章

ページ範囲:P.136 - P.139

必ず説明しておくべきこと

◆卵管通過障害がある状態ではタイミング法や人工授精が無効であるため,卵管の通過性検査は重要である.

◆妊娠の可能性がある場合は行わず,月経時を避け,原則月経終了後から排卵前の時期に行う.

◆子宮や卵管にクラミジアなどの感染が存在する際は,炎症の拡大を防ぐため検査前に治療を行う.

精液検査・男性不妊検査を行うにあたっての患者説明

著者: 黒田晋之介 ,   湯村寧

ページ範囲:P.140 - P.144

必ず説明しておくべきこと

◆精液検査は禁欲期間を2〜7日として検査する.

◆自宅採精を行う場合はなるべく短時間,最長でも2時間以内に持参してもらう.

◆変動の大きな検査であり,一度だけでは正確な評価はできない.

◆染色体・遺伝子検査は生まれもった生涯不変の変化を調べる検査であり,検査することのメリット・デメリットをよく理解して検査すべきである.

不妊症に関連する女性側のホルモン検査を行うにあたっての患者説明

著者: 宇津野泰弘 ,   宮本敏伸

ページ範囲:P.145 - P.150

必ず説明しておくべきこと

◆検査の目的は,不妊因子の検索と効率的な治療法を選択するためであること.

◆検査結果によっては,不妊治療や妊娠の前に追加検査や治療が必要になる可能性があること.

卵巣予備能検査を行うにあたっての患者説明

著者: 浅田義正

ページ範囲:P.151 - P.154

必ず説明しておくべきこと

◆妊娠できる限界は「卵子の老化」が第1要因であるが,卵巣に残っている卵子の目安である卵巣予備能も第2の要因である.

◆卵巣予備能の検査はいろいろあったが,現在最も信頼できる検査はアンチミューラリアンホルモン(AMH)検査である.

◆AMH検査は間接的に原始卵胞数を反映している検査で,測定誤差や周期変動もあり,半定量的検査として利用すべきである.

◆AMH検査は生殖医療の向上と精度を担保するために不可欠な検査である.

人工授精を行うにあたっての患者説明

著者: 近藤哲郎 ,   河野春香

ページ範囲:P.155 - P.158

必ず説明しておくべきこと

◆人工授精という言葉で患者が誤解,身構えないように説明する.子宮内精子注入法(IUI)のほうが患者にとってわかりやすいかもしれない.体外受精とは異なり,子宮内に精子を入れる手助けをする治療であり,自然妊娠に近い治療法であることを理解してもらう.また,精液を得るため夫(提供者)の協力が不可欠であるため,夫(提供者)の理解が重要である.

◆卵管が開通していること,排卵が可能であること,重度の乏精子症および無精子症でないことが実施の条件である.これらの条件を満たしても妊娠に至らない場合がある.期待される妊娠率は,患者年齢での想定を超えることはないと考えられる.

◆人工授精特有の副作用と,一般的な妊娠合併症の可能性との両方がある.

◆人工授精の回数については6回程度を目安にしている施設が多いが,症例によってステップアップについてマネジメントする.

調節卵巣刺激・排卵誘発を行うにあたっての患者説明

著者: 北原慈和

ページ範囲:P.159 - P.162

必ず説明しておくべきこと

◆調節卵巣刺激・排卵誘発を行うことにより,卵巣過剰刺激症候群をきたす可能性がある旨を説明する.

◆一般不妊治療では,成熟卵胞数が4個以上となった場合,治療がキャンセルになる可能性がある旨を説明する.

◆一般不妊治療および生殖補助医療において,双胎などの多胎妊娠になる可能性がある旨を説明する.

体外受精・胚移植を行うにあたっての患者説明

著者: 髙橋俊文 ,   太田邦明

ページ範囲:P.163 - P.168

必ず説明しておくべきこと

◆調節卵巣刺激による卵巣過剰刺激症候群のリスクに関する説明.

◆採卵による腹腔内出血と骨盤内感染症のリスクに関する説明.

◆妊娠時の周産期異常の増加と児の先天異常や長期的な疾患発生のリスクに関する説明.

顕微授精を行うにあたっての患者説明

著者: 栁田薫 ,   柿沼敏行

ページ範囲:P.169 - P.172

必ず説明しておくべきこと

◆受精率について:ICSIを実施すれば100%受精が成立するわけではない.ICSIでも受精できない場合がある.

◆卵子が受ける影響について:針を卵子に刺入することで,卵子の状態によっては卵子が変性することがある.IVFでできた胚と比べると胚盤胞形成率が低いといわれている.

◆児への影響について:先天奇形については一般集団と変わらないとの報告が多い.染色体異常は一般集団より高いとの報告が多く,父親由来の構造異常の増加が指摘されている.

受精卵凍結保存とホルモン調節周期での移植を行うにあたっての患者説明

著者: 東口篤司

ページ範囲:P.173 - P.177

必ず説明しておくべきこと

◆凍結胚移植について説明しておくべきこと.

・凍結操作による胚の損傷の可能性.

・凍結保存中の天災,事故などによる凍結胚の損傷,消失の可能性.

・凍結胚移植による先天異常について.

◆ホルモン調節周期について説明しておくべきこと.

・禁忌,適応外とされているホルモン製剤を使う場合,その薬剤がなぜ有効で安全と考えるのか,その理由.

・使用するホルモン製剤による母体,胎児へのリスク.

がん・生殖医療における卵子・卵巣組織凍結保存を行うにあたっての患者説明

著者: 洞下由記 ,   鈴木直

ページ範囲:P.178 - P.182

必ず説明しておくべきこと

◆卵子凍結は,将来の妊娠のために採卵し凍結保存する確立された方法だが,凍結個数が限られ,妊娠率は凍結時年齢・凍結状況・凍結個数による.

◆卵巣組織凍結は,小児を含む35歳以下で推奨される妊孕性温存治療の選択肢の1つであるが研究段階の治療である.

◆凍結卵巣組織の移植では,疾患によりリスクは異なるが,移植に伴う悪性細胞の再移入の可能性がある.

◆妊孕性温存目的で行う場合には,原疾患(がんなど)に関連する特別な配慮が必要なため,卵子凍結・卵巣組織凍結ともに日本産科婦人科学会の登録施設で行うことが望ましい.

精液凍結保存を行うにあたっての患者説明

著者: 上條慎太郎 ,   宇津野宏樹 ,   浜谷敏生

ページ範囲:P.183 - P.186

必ず説明しておくべきこと

◆採精時に射精が困難な場合や,妊娠に必要な十分量の精子が採取・保存できない可能性があること.

◆凍結融解処置は,精子の運動率の低下を引き起こし,新鮮精子を用いた場合より妊娠率が低下すること1, 2)

◆凍結融解処置は,精子の先体膜を含めた細胞膜やクロマチン構造の変化やDNAの断片化,ミトコンドリア膜電位への影響を引き起こす可能性も指摘されていること3)

◆生殖年齢を超えたり,亡くなられることがあれば,凍結精子は廃棄されること.

不育症に対するアスピリン・ヘパリン療法を行うにあたっての患者説明

著者: 竹下俊行

ページ範囲:P.187 - P.192

必ず説明しておくべきこと

◆抗リン脂質抗体症候群などの血栓性素因合併妊娠に対して低用量アスピリン・ヘパリン療法が行われるが,アスピリンには保険適用がないこと.

◆アスピリンの添付文書には,「出産予定日12週間以内の妊婦には投与しないこと」と書かれていること.

◆アスピリンには副作用として出血傾向があること.服用開始,中止の判断は医師に任せ自己判断は禁物であること.

Q1 不妊治療にはどんな副作用がありますか?

著者: 髙橋俊文 ,   太田邦明

ページ範囲:P.193 - P.195

A1

 不妊治療を行うと副作用が起こることがあります.不妊治療による副作用について説明を聞き納得して治療を開始してください.

 不妊症は不妊原因が男性側にある場合は男性不妊症,女性側に不妊原因がある場合は女性不妊症に分類されます.実際には男女のいずれかだけに原因があることは少なく,多くのカップルは両者に原因を認めます.

Q2 一般不妊治療と生殖補助医療ではどちらの成功率が高いですか?

著者: 長谷川祐子 ,   岩瀬明

ページ範囲:P.195 - P.196

A2

 一般的に,通常の夫婦生活(セックス)を行っている場合,1年間で約80%が妊娠するとされており,1年を過ぎて妊娠しない場合は不妊症の診断となります.年齢,不妊原因・期間などにより,それぞれのカップルに合った治療方法を選択していきます.人工授精(artificial insemination of husband : AIH)の場合,1周期当たりの妊娠率は5〜10%程度です.初回の妊娠率は高い傾向にありますが,回数を重ねた場合の累積妊娠率は5〜6周期で頭打ちになるため,5〜6周期程度,年齢や不妊因子によってはもっと早く生殖補助医療(assisted reproductive technology : ART)にステップアップしていくことを考えます.ARTの妊娠率は,2018年のわが国のデータだと治療当たりの妊娠率は17.6%,胚移植当たりの妊娠率は31.9%です1).35歳以降は年齢の上昇とともに,妊娠率は低下し流産率が上昇するため,出産に至る割合は漸減し,治療当たりの出産率は37歳の場合はおよそ15〜16%,40歳だと9〜10%となります.

Q3 なぜ最初から体外受精をしてもらえないのですか?

著者: 辰巳賢一

ページ範囲:P.196 - P.197

A3

 体外受精などの生殖補助医療は,確かに妊娠率の高い治療法です.しかし,あなたの場合,検査結果には異常もなく,年齢も若いので,生殖補助医療を行わなくても妊娠できる可能性が十分あります.

 通常,最初から生殖補助医療を行ったほうが一般不妊治療から始めるより早く妊娠できることが多いのですが,逆に一般不妊治療を行ったほうが早く妊娠できる場合もあります.生殖補助医療の安全性に関しては,ほぼ確立していると考えられますが,採卵時の腹腔内出血,採卵後の腹膜炎,卵巣過剰刺激症候群などが起こることがあります.生殖補助医療による出生児の生下時体重は,日本全体の統計に比べ,新鮮胚移植では軽くなり,凍結胚移植では重くなります.生まれてくる男女比も,生殖補助医療での妊娠と日本全体の統計では少し異なります.わずかの差ですが,生殖補助医療妊娠は通常妊娠とは少し異なっていると考えられており,児の長期的な予後についてはまだ不明です.前置胎盤,妊娠高血圧症候群などの産科的リスクが増えるという報告もあります.

Q4 体外受精はしたくありません.ほかの治療法はありませんか?

著者: 辰巳賢一

ページ範囲:P.197 - P.198

A4

 体外受精を行う場合には,体外受精を行わないと妊娠の可能性がない場合と,体外受精以外の方法でも妊娠できる可能性があるが体外受精を行ったほうがよいと考えられる場合があります.前者を絶対的適応,後者を相対的適応といいます.

 体外受精の絶対的適応は両側卵管閉塞です.顕微授精の絶対的適応は,治療を行っても効果がみられない重症男性因子です.このような場合には体外受精や顕微授精を受ける以外に妊娠できる方法はありません.

Q5 はっきりした原因がないのにどうして妊娠できないのですか?

著者: 梶原健

ページ範囲:P.198 - P.200

A5

 あなたのように,不妊症スクリーニング検査を行っても,明らかな原因が特定できない場合を,原因不明不妊または機能性不妊といいます.原因不明不妊は不妊カップルの10〜30%を占めるといわれていますが,各施設によって検査項目が異なるため,その頻度は一定していません.しかし,原因不明不妊の女性に腹腔鏡検査をすると,子宮内膜症や骨盤内癒着を指摘される症例も多数あります.

 治療法は女性の年齢と不妊期間を考慮して選択します.一般的には女性の年齢が30歳未満で不妊期間が2年以内であれば,自然妊娠を期待して経過をみてもよいかもしれません.逆に35歳以上で不妊期間が2年以上であれば,排卵誘発や人工授精など積極的な治療を考慮すべきだと思います.特に40歳以上の場合は積極的に体外受精などの生殖補助医療を考慮してもよいと思います.また最近,慢性子宮内膜炎という病気が注目されており,着床不全が疑われる場合は検査を受けてもよいかもしれません.

Q6 以前に人工妊娠中絶をしたことがありますが,妊娠できますか?

著者: 信田侑里 ,   辻俊一郎 ,   村上節

ページ範囲:P.200 - P.201

A6

 人工妊娠中絶後でも,もちろん妊娠することはできます.ただし稀に,子宮の中が癒着して不妊症や不育症になってしまうことがあります.この癒着は子宮内操作後の治癒過程で形成され,子宮内膜の損傷や感染などが原因になると考えられています.子宮に癒着が生じると,月経量の減少や無月経,月経時の強い下腹部痛などが起こりえます.人工妊娠中絶後にこのような症状を認める場合には,癒着が形成されているかも知れませんので精査を行うことが勧められます.自覚症状がなければ,人工妊娠中絶後であるというだけで検査を受ける必要はありません.しかし,もし今後妊娠したくてもなかなかできなかったり,妊娠しても流産を繰り返したりするようであれば,検査をして癒着がないかどうか確認したほうがよいでしょう.万が一癒着が認められたときには,子宮鏡などによる癒着剝離を考えることになります.

Q7 なぜクラミジア検査をするのですか? 感染していたらどうすればよいのですか?

著者: 佐藤健二

ページ範囲:P.201 - P.202

A7

 クラミジアは性病の1つで,性交により感染する可能性があり,女性においては,子宮の入り口から卵管へと感染する可能性があり,卵管先端や周囲の癒着を引き起こすことがあります.これにより排卵した卵子を卵管に取り込みにくくなったり,卵管内に水が貯留してしまうこともあります.

 また,クラミジアが感染しているにもかかわらず,不妊検査の1つである子宮卵管造影検査や卵管通水検査を行ってしまうと,クラミジアがお腹の中に拡散してしまい,検査後に腹膜炎を引き起こすことがあるため,検査前のクラミジア検査が必要となります.男性側も,感染が精子の通り道(精管)に炎症をきたし,精管が狭窄または閉塞する可能性があります.さらに精子が作られる精巣まで感染が及ぶと,精子数の低下や異常精子が増える可能性があります.

Q8 フーナーテストとはどんな検査ですか? 何がわかりますか?

著者: 柴原浩章 ,   亀井秀剛 ,   福井淳史

ページ範囲:P.202 - P.203

A8

 フーナーテストは性交後試験(PCT)とも呼びます.超音波検査などで予測した排卵期に性交し,9〜24時間後に腟内で射精された精子が頸管粘液(CM)内を通過しているか診断します.

 内診で腟内(後腟円蓋)の貯留液およびCMを別々に採取し,顕微鏡で運動精子の有無を確認します.CM内に前進運動精子が1個以上存在すれば陽性(異常なし)と判断します1).陰性(異常あり)の場合,腟内貯留液に精子が存在しなければ,うまく射精できていない可能性があります.その他,子宮頸部が狭い,あるいは偏位しているなどの解剖学的な異常,頸管炎によるCM性状の悪化,エストロゲン分泌不全によるCM分泌低下,抗精子抗体による精子―CM適合不全,男性因子などが陰性の原因ですが,特定できないこともあります.原因を治療して再検査するか,人工授精(AIH)へのステップアップを考慮します.ただし体外受精(IVF)や卵細胞質内精子注入(ICSI)の適応があれば,そちらを優先します.

Q9 抗精子抗体とはなんですか? これがあると妊娠できないのですか?

著者: 柴原浩章 ,   表摩耶 ,   脇本裕

ページ範囲:P.203 - P.204

A9

 抗精子抗体が存在する場合には,精子の運動や受精する能力が障害され不妊症になります.男女で検査法や治療法が異なるのが特徴です.

 不妊女性には採血で精子不動化抗体を検査します.約3%の陽性率ですが,自然妊娠はきわめて難しいです.抗体価であるSI50値の結果に基づき治療法を決定します.SI50値が10未満の方では人工授精(AIH)で妊娠することはありますが,SI50値が10以上の方には早期からの体外受精(IVF)をお勧めします.

Q10 卵胞がみえているのにどうして卵子がとれないのですか?

著者: 白澤弘光 ,   熊澤由紀代 ,   寺田幸弘

ページ範囲:P.204 - P.205

A10

 卵胞を穿刺して卵胞液を吸引しても,卵胞液内に卵子を認めない場合があります.日本だけではなく海外でもこの問題について議論されており,いくつかの状況が想定されています.

 1つは採卵時の技術的な理由があります.適切な卵胞液の吸引は,卵子を回収できるかどうかにおいて非常に重要です.一般的に卵胞の中心に針を穿刺し一定の圧で卵胞液を吸引します.この際に,穿刺針の位置や圧の問題で卵子が卵胞壁から剝がれずに卵子がとれない場合があります.また採卵前に行うトリガーといわれるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)や性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストというホルモンの刺激がうまく働かず,血液中のhCG濃度の上昇が不十分となることも卵子がとれない1つの理由です.この場合には注射薬,点鼻薬によるトリガーの量や組み合わせを変更して対応する場合があります.しかし,頻度は多くありませんが,適切なトリガー刺激を行いhCG濃度が十分上昇していても卵子がとれない患者さんがおり,その対応に苦慮する場合があります.

Q11 妊娠しやすそうな卵子をどうやって見分けるのですか?

著者: 中岡義晴

ページ範囲:P.206 - P.207

A11

 体外受精では,さまざまの大きさに発育した卵胞から卵子を取り出します.そのために,成熟した卵子だけでなく,未熟な卵子も認められます.精子と受精することができる卵子は,成熟しているものに限られます.成熟した卵子とは,私たちの体を作っている細胞(体細胞)の染色体数が半分に減っている卵子です.卵子の染色体が半数に減る減数分裂がうまくいっている成熟卵は,卵子の周りに極体という小さな細胞が存在しています.顕微授精を行う場合には,卵子(透明帯)の周りの細胞(卵丘細胞)を取り除き,極体のある成熟卵に顕微授精を行うことができます.一方で,一般体外受精の場合には,卵丘細胞を取り除くことで受精率が低下するために,採卵日に成熟卵の確認はできません.卵丘細胞の多さや膨潤化の状態などが大まかな成熟卵の目安になり,翌日の受精確認時に成熟卵の確認も行うことになります.

Q12 不妊治療の前に子宮粘膜下筋腫・子宮内膜ポリープは手術したほうがよいですか?

著者: 齊藤寿一郎

ページ範囲:P.207 - P.208

A12

 子宮粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープは,受精卵が着床する子宮腔に生じる病変です.これらの病変は着床の障害などに関与すると考えられ,妊娠を希望する方は不妊治療前に積極的に子宮鏡手術をお勧めします.子宮鏡手術は手術室で全身麻酔下に電気メスを使用して行います.最近,病変のサイズや個数を考慮した一部の症例には電気メスを使用しない手術も行われています.

 手術後初回,あるいは2回目の月経周期に外来で子宮鏡検査を行い,子宮腔の癒着や子宮内膜欠損や病変の再発がないことを確認すれば,この周期から妊娠が可能で,不妊検査や不妊治療も実施・再開できます.

Q13 多囊胞性卵巣症候群と言われました.どんな病気ですか?

著者: 岩佐武 ,   鎌田周平

ページ範囲:P.209 - P.209

A13

 多囊胞性卵巣症候群は月経不順や多毛・にきびなどの症状をきたす疾患で,これらに加え血液検査や超音波検査でホルモンバランスや卵巣の見えかたに特徴的な変化を認めた場合に診断されます.生殖年齢の女性の6〜10%に認められ,決して稀な疾患ではありません.ただし,月経不順は不妊症のリスクや将来における子宮がんの発生率を高めることから,適切かつ長期的なフォローアップが必要です.具体的には,妊娠を希望しない場合にはホルモンを補充して定期的に月経を起こすこと,妊娠を希望する場合には薬剤を用いて卵巣を刺激し,排卵を促すことが必要となります.また,多囊胞性卵巣症候群では肥満,2型糖尿病,脂質代謝異常などのリスクが高まるといわれており,予防医学的な管理も求められています.適切な体重管理はこれらの疾患の予防だけでなく月経異常の改善にもつながるため,特に肥満を認める場合には食事内容の見直しや運動習慣の徹底が重要となります.

Q14 良好胚を何度移植しても妊娠しません.どうすればよいですか? なにか検査はできないのですか?

著者: 堤治

ページ範囲:P.210 - P.210

A14

 良好胚を移植しても着床せず妊娠しない場合,原因として大きくわけて2つの要因が考えられます.1つは胚の側に問題がある場合,もう1つは着床する子宮内膜に問題がある場合です.

 胚に原因がある場合の多くは,受精卵の染色体の数的異常です.女性の年齢が高くなるとその頻度が増します.現在臨床研究中ですが,着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)といって,胚の染色体検査が可能です.異常のない胚を移植することにより解決します.染色体異常による流産を防ぐことも期待できます.

Q15 私の卵子を若返らせることはできないのですか?

著者: 河村和弘

ページ範囲:P.211 - P.211

A15

 現在の医学では卵子を完全に若返らせることはできません.卵子は細胞としてゲノム遺伝情報をもつ核と,ミトコンドリアやリボゾームなど細胞としての機能のために必要な細胞質からなります.自分自身の核を若返らせるためには,卵子を幹細胞などから再生させる必要があり,まだヒトでは成功していません.細胞質を若返らせることは,若い健康な女性の卵子があれば,老化した卵子の核と入れ替えることで(卵子間核置換),行うことができます.この場合,卵子の若返りを希望される方とドナーとなる女性から,体外受精の治療と同様に卵子を採卵し,顕微鏡下で核を入れ替えます.その後,夫の精子と受精させ,通常の方法で胚移植を行います.倫理的な問題などから,本邦では国の指針によりこの方法で作成した胚の移植は容認されていません.一部のサプリメントはミトコンドリアなどの機能を改善する可能性が報告されており,卵子の機能を部分的に若返らせることができるかも知れませんが,ヒトでは十分なエビデンスがなく,さらなる研究が必要です.

Q16 喫煙していると妊娠しにくいのですか?

著者: 溝口千春 ,   河野康志

ページ範囲:P.212 - P.213

A16

 喫煙しているとさまざまな影響により不妊率が上昇することがわかっています.これは1日に吸うタバコの本数に応じて上昇します.卵巣に対する影響により卵子の喪失が加速化し,また,卵巣機能が低下して閉経も早まることがあります.さらに男性が喫煙すると精液所見は濃度,運動率ともに悪化します.ご夫婦双方に悪い影響があり,喫煙しないカップルよりも体外受精など高度生殖医療を必要とする可能性も増加します.これらの影響は禁煙すればもとに戻ることがわかっています.

 妊娠したあとも異所性妊娠や流産率の増加,赤ちゃんの発育不全,胎盤の位置の異常,早産を引き起こすこともわかっています.受動喫煙でも赤ちゃんの発育に悪影響を及ぼすことがあります.

Q17 着床前スクリーニングとはどのような検査ですか? 検査をすれば確実に妊娠できるかわかりますか?

著者: 宇津宮隆史

ページ範囲:P.213 - P.214

A17

 まず,用語ですが,「着床前診断」「着床前スクリーニング」は,「着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)」「着床前染色体構造異常検査(PGT-SR)」「着床前胚単一遺伝子病検査(PGT-M)」に変更されました.今回は胚の染色体数の異常を調べるPGT-Aと染色体の構造異常を調べるPGT-SRについてお答えします.PGT-A,PGT-SRは胚移植をする前に胚の染色体が正常か否かを検査して,正常胚を移植する方法です.よって染色体異常の有無のみはわかりますが,確実な妊娠は保証できません.

思春期・若年期

思春期月経異常に対してホルモン療法を行うにあたっての患者説明

著者: 尾石友子 ,   河野康志 ,   楢原久司

ページ範囲:P.216 - P.219

必ず説明しておくべきこと

◆15歳以上で初経が発来していない場合,初経遅延として介入し検査・診察を行うことが推奨される.

◆思春期の月経異常は的確に個々の病態を評価することが求められ,将来の妊孕性やQOLに関連する重要な問題である.

Q1 乳房はいつから膨らむのが普通ですか? 病院に行ったほうがよいのはどのような場合ですか?

著者: 綾部琢哉

ページ範囲:P.220 - P.220

A1

 乳房発育は9歳から11歳までに始まることが多いです.それより早くても遅くても時期がずれた原因を治療する必要がありますし,結果として身体の別の場所に起こりうることを予防する必要もあります1).ですからいずれの場合でも,病院に行ったほうがよいでしょう.

 乳房発育はエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンによりコントロールされています.エストロゲンの分泌開始が早すぎたり遅すぎたりすることが,結果として乳房発育が始まる年齢に影響します.さらにエストロゲンは乳房発育だけでなく,全身のさまざまなところに関係しています.例えばエストロゲンは初めは骨を育てますが,やがて骨が伸びるのを止めるように作用します.このためエストロゲン分泌の開始年齢が早すぎると一時的には背が伸びますが,伸びが止まる年齢も早くなるため,大人になったときには背が低くなります.また,エストロゲンは子宮を育てたり,骨を強くしたりするなどの作用があります.エストロゲンが足りないと適切な年齢のときに子宮が育たなかったり,骨のカルシウムが少なくなったりします.

Q2 ときどき月経痛があり不順になることもあります.病院に行ったほうがよいのはどのような場合ですか?

著者: 谷口文紀

ページ範囲:P.221 - P.221

A2

 日常生活に支障をきたすような痛みがある,月経痛が徐々に強くなってくる,3か月以上月経がない,月経時の出血が少なかったり,多かったり,なかなか止まらない場合には,一度病院を受診してください.基礎体温のデータが診断に役立つこともあるので,測定してみてください.ダイエットによる体重の急激な減少や過剰なトレーニングなどが月経不順を引き起こす場合があります.まずは,痛みを我慢せずに鎮痛薬を服用することを勧めます.しかしながら,鎮痛薬だけでは,将来の痛みや不妊の原因になりうる子宮内膜症という病気の発症や進行を防ぐためには不十分です.したがって,ホルモン治療〔低用量ピル(LEP)や黄体ホルモン剤〕を始めたほうがよい場合があります.規則的な運動,休息,睡眠による生活習慣の改善によって痛みが楽になることもあります.

Q3 月経前に憂うつになったり,おなかが痛くなったりするのはなぜですか? 月経が始まると消えるのはなぜですか?

著者: 江川美保

ページ範囲:P.222 - P.223

A3

 それは月経前症候群(premenstrual syndrome : PMS)といい,排卵のある正常な月経周期においてさまざまな心身両面の症状が月経前の数日間,長ければ2週間の期間にわたり,毎周期繰り返し現れるものです.卵巣・子宮の形,機能には異常はなく,検査では何の異常も見つかりません.症状の記録をつけてみて,月経前に何らかの症状が現れて月経が始まると和らいでくるパターンが確認できればPMSと診断されます.対処法としては,まず症状を記録してPMSであることに気づき,月経前には無理をしないで過ごそうという意識をもち,スケジュール,仕事,環境などを調整するようにしましょう.そして規則正しい睡眠や軽い運動など生活習慣改善を心がけ,食生活では特にカフェイン,アルコールや甘いものを控えるようにします.それでも症状が生活に支障をきたすほどであれば治療の対象になります.産婦人科では低用量ピルや漢方薬など,あなたにあった治療を受けることができます.精神症状が強い場合は心療内科/精神科受診が勧められます.

Q4 おりものが気になります.ときどき,卵の白身みたいなおりものがでることがあります.普通の量,色はどんなものですか?

著者: 齊藤亜子 ,   西井修

ページ範囲:P.223 - P.224

A4

 おりものは通常,色は透明から白色であり,においは個人差がありますが悪臭とは感じません.粘稠度と量は性周期によって変化します.排卵期には頸管粘液の増量により,糸を引くような透明な分泌物の増加をみることがあります.その他,妊娠中,授乳中にも増量します.今回,気にされている帯下が排卵期のみであれば,頸管粘液の増加によるものの可能性が高いと考えられます.

 異常な帯下が増える,頻度の高い病態としては,以下のものがあります.

Q5 ダイエットしたら月経がこなくなりました.大丈夫でしょうか?

著者: 金崎春彦

ページ範囲:P.224 - P.225

A5

 月経がこないということは普通ではありません.あなたの場合は半年間で10kg以上も体重が減少したため,月経がこなくなったものと思われます.月経がこない以外に何か気が付いた症状はありませんか? やせるためにしていることは炭水化物抜きダイエットだけですか? 他の病気が原因で体重が減少していないか検査する必要があります.月経がきていないということは,女性ホルモン(エストロゲン)が分泌されていないということです.体重が減少しすぎると栄養障害やエストロゲンの減少による骨折のリスクが高まります.まずは標準的な体重近くに回復するように食習慣を適正化していきましょう.そうすれば高い確率で月経は回復するでしょう.体重がもとに戻っても月経が回復しないようであれば,ホルモン剤による治療も考えていきましょう.

Q6 ピルを飲んで3年ほど経ちますが,最近,休薬期間に出血がありません.大丈夫でしょうか?

著者: 安達知子

ページ範囲:P.225 - P.226

A6

 きちんと毎日ほぼ同時刻に正しく服用していて,服薬期間中に不正出血はなく,休薬期間に月経がない(無月経)以外に体調の変化がなければ,妊娠の可能性も低く,心配ないと思います.しかし,2周期以上無月経が続いているのであれば,服薬を続けながら妊娠反応を念のため調べるか,一度産婦人科を受診して,担当医の診察を受けてください.

Q7 娘への接種を考えていますが,子宮頸がんを予防するワクチン(HPVワクチン)は本当に安全ですか?

著者: 宮城悦子

ページ範囲:P.226 - P.227

A7

 子宮頸がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは,多くの国で,性交渉開始前の女児を中心に80〜90%の接種率を達成しています.一般的にワクチン接種後は,比較的短期間に改善する症状と,ワクチン接種との直接な関係が証明できないさまざまな症状が起こる可能性があります.もしも,ワクチン接種後にさまざまな症状が続く場合には,接種した施設を通じて専門医の診察を受け,地域でカウンセリングやリハビリテーションなどの適切な治療を実施し,二次的な身体の不調につなげないことが重要です.国のワクチン接種プログラムであるHPVワクチンについても,接種した医療施設と専門施設が連携するシステムが各都道府県にできています.高い子宮頸がん予防効果が証明されているHPVワクチン接種の利益と不利益を理解したうえで,接種するかを決めてください.

Q8 性同一性障害とはなんですか?

著者: 中塚幹也

ページ範囲:P.227 - P.228

A8

 性には身体の性,性自認(性の自己認識 : 「自分は男(女,どちらでもないなど)」という認識,心の性),性的指向(恋愛や性交の対象となる性別),性役割(男性として,女性として果たしている役割),性別表現(服装,髪形など),指定された性(戸籍や保険証などの性別)などの多くの要素があります.その1つ以上が多数派とは異なる人々は性的マイノリティと呼ばれます.

 身体の性(それにより指定された性別)と性自認とが一致せず,「自分の身体やその性別で生きていることに嫌悪感をもち,他の性別で生きたいと望む」性別違和感をもつ人々はトランスジェンダーと呼ばれます.このうち身体の治療を希望し医療施設を受診した人々の診断名として「性同一性障害(gender identity disorder : GID)」があります.

中高年期・老年期

OC・LEPを処方するにあたっての患者説明

著者: 篠原康一

ページ範囲:P.230 - P.237

必ず説明しておくべきこと

◆限られた外来の時間内で,OC・LEP処方の利点や注意点をすべて網羅し説明するのは至難の業である.本稿では,『OC・LEPガイドライン2020年度版』1)に準拠し,説明の要点を抜粋した.

◆OC・LEPのリスクのみを強調するあまり,患者がOC・LEPを拒否することのないよう留意することが重要である.

◆患者のリテラシーを高める説明を行い,自己学習を促しつつ,疑問が出た際にはそこから掘り下げていくのもよい手法である.

ホルモン補充療法(HRT)を実施するにあたっての患者説明

著者: 寺内公一

ページ範囲:P.238 - P.242

必ず説明しておくべきこと

◆HRTには,エストロゲンのゆらぎによる更年期症状の治療と,エストロゲンの欠乏に関連する慢性疾患の予防という2つの目的がある1)

◆HRTの内容や持続期間については,医師と患者とが話し合いを重ねつつ,個々の背景を考慮に入れて決定する.

◆閉経後10年未満でHRTを開始すれば,生命予後をはじめとして得られるベネフィットがリスクを上回ると期待される2)

閉経後骨粗鬆症治療を行うにあたっての患者説明

著者: 佐々木浩

ページ範囲:P.243 - P.249

必ず説明しておくべきこと

◆女性は男性に比較して骨粗鬆症リスクは高く,65歳以上女性の約半数が骨粗鬆症を発症することから積極的に骨評価をする必要がある.

◆65歳未満で大腿骨近位部骨折の家族歴を有している場合や,喫煙,過度のアルコール摂取,早期に閉経した患者に対しても骨粗鬆症のリスクが高いため骨検査を行うことを推奨する.

◆治療薬は更年期症状の有無,骨粗鬆症の発症年齢,骨折のリスクなどを考慮し選択する.

◆骨粗鬆症治療中の歯科治療は骨吸収抑制薬の服用年数や骨折のリスクを評価し,歯科医師と連携してその継続もしくは休薬について検討する.

骨盤臓器脱治療についての患者説明―腹腔鏡下仙骨腟固定術・経腟メッシュ手術

著者: 可世木華子 ,   明樂重夫

ページ範囲:P.250 - P.254

必ず説明しておくべきこと

◆骨盤臓器脱の治療目標は,骨盤臓器の下垂に伴う症状(排尿,排便,性機能)を改善して患者さんのQOLを向上させることである.

◆骨盤臓器の下降の重症度を把握し,軽症の場合は保存療法であるリングペッサリー(病院で交換するタイプと自己管理のタイプ)を勧めることもあり,中等症以上の場合はリングペッサリーで管理しつつ状況により手術療法へ移行することがある.

◆メッシュ手術の特徴として素材が非吸収性であるため,再発率は非メッシュ手術に比較して抜群に少ないが,体内に異物として残ることでびらんや疼痛,イレウス,感染症などの合併症が存在すること.

Q1 OC・LEPを服用しています.いつからHRTに切り替えたらよいですか?

著者: 篠原康一

ページ範囲:P.255 - P.256

A1

 閉経しているかどうか,女性ホルモン剤の継続が必要かどうかによって対処法が変わります.また,もともと何のために低用量経口避妊薬(OC)・低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)を服用しているのか,何のために継続するかも重要です.

Q2 乳がんでタモキシフェンを服用しています.婦人科疾患における注意事項はありますか?

著者: 佐々木浩

ページ範囲:P.257 - P.258

A2

 タモキシフェン(TAM)とは選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)の1つであり,エストロゲンレセプター(ER)に結合しその作用を発揮しますが,臓器や組織によって増殖に働いたり,抑制に働いたりします.ERが発現している乳がん組織においては抑制作用を発揮することから,乳がんの再発予防としてTAMは用いられます.一方でTAMは子宮内膜のERに結合すると,乳がん組織と違い増殖に働きます.よって乳がん患者さんにTAMを使用すると不正出血や子宮内膜ポリープの発生の増加(8〜36%)1),子宮内膜がんの発症リスクが上昇した(2.4倍)との報告2)もあることから,定期的に婦人科に受診し子宮内膜の精査を行う必要があります.またTAMにより卵巣が過剰に刺激され卵巣囊腫が発生することもあるので3),婦人科受診時に超音波で卵巣腫大の有無を確認する必要があります.

婦人科疾患

子宮筋腫に対して薬物治療を行うにあたっての患者説明

著者: 篠原康一

ページ範囲:P.260 - P.265

必ず説明しておくべきこと

◆子宮頸部細胞診や体部細胞診の結果,悪性所見はないのか? ほかに考慮する子宮疾患(筋腫なのか,肉腫の否定)が必要.

◆血液の凝固障害をきたす基礎疾患がないか(血小板減少や凝固異常など).

◆エストロゲン・プロゲスチン(EP)配合薬は子宮筋腫を原因とする過多月経に有効であるが,適応にならないか? 35歳以上,1日15本以上の喫煙や前兆を伴う頭痛など,同剤の禁忌にあたらないか?

◆レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)では子宮筋腫の存在により自然脱出することがあり注意を要する.また内腔に変形を伴う症例には使用できない1)

◆閉経間近で,血中卵胞刺激ホルモン(FSH)が比較的高値であれば,性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストによる自然閉経への逃げ込みが期待できるため,閉経まであと何年あるのか,手術時期までどのくらいかを考慮する〔特にGnRHアゴニスト(GnRHa)の使用期間が6か月,また再使用までに6か月間の間隔をあけると限られているため〕.圧迫症状や貧血症状を改善する.

◆挙児希望の有無について確認することが重要.排卵を抑制すれば妊娠はできない.

子宮筋腫に対して外科治療を行うにあたっての患者説明

著者: 浅田弘法

ページ範囲:P.266 - P.273

必ず説明しておくべきこと

◆子宮筋腫があるからといって必ずしも治療適応とならない.

◆子宮筋腫に対する治療法には数多くの選択肢がある.

◆挙児希望の有無や妊娠希望の時期によって,子宮筋腫の治療時期が異なる.

子宮内膜症に対して薬物療法を行うにあたっての患者説明

著者: 北脇城

ページ範囲:P.274 - P.278

必ず説明しておくべきこと

◆子宮内膜症の主症状は疼痛,不妊,子宮内膜症性卵巣囊胞である.良性疾患ではあるが,子宮内膜症性卵巣囊胞の約1%が悪性転化する.子宮内膜症に罹患していることが周産期合併症や心血管疾患リスクを上昇させる.

◆治療方針の決定にあたって考慮すべき要因は,疼痛,不妊,子宮内膜症性卵巣囊胞の3項目にほぼ集約される.

◆基本的な治療方針には,手術療法,薬物療法,不妊治療,経過観察がある.

◆妊娠,閉経により症状は改善するが,子宮内膜症性卵巣囊胞は破裂,感染,悪性転化などをきたすことがあるので注意が必要である.

◆手術療法,薬物療法は,いずれによっても完治するものではないので,長期管理が必要である.

子宮内膜症に対して外科治療を行うにあたっての患者説明

著者: 熊切順

ページ範囲:P.280 - P.284

必ず説明しておくべきこと

◆外科的治療により子宮内膜症の症状緩和と妊孕能改善が期待できる.

◆症状や卵巣チョコレート囊胞が術後再発する可能性があり,術後ホルモン療法が有用である.

◆卵巣チョコレート囊胞に対する外科的治療では卵巣予備能は低下する.

◆Douglas窩深部子宮内膜症などの重症子宮内膜症に対しての外科的治療では,重篤な合併症が発生する可能性がある.

子宮腺筋症の治療を行うにあたっての患者説明

著者: 廣田泰

ページ範囲:P.285 - P.290

必ず説明しておくべきこと

◆子宮腺筋症による疼痛と異常子宮出血に対しては,対症療法と内分泌療法(第一選択 : ジエノゲスト,子宮内黄体ホルモン放出システム,低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬),根治療法として子宮摘出術が選択される.

◆挙児希望がある場合には早期の不妊治療のステップアップを勧め,不妊治療の際には単一胚移植など多胎予防に留意する.妊娠時は流産,早産,妊娠高血圧症候群などの周産期リスクを考慮し,高次周産期施設での管理を勧める.

◆子宮腺筋症病巣除去術は,症状,内分泌療法の反応性,着床障害・不育症・早産などの既往歴,卵巣予備能や年齢などを踏まえて,症状改善とともに妊孕能を温存し挙児を可能にする治療の最終的な選択肢という位置づけで行う.

良性卵巣腫瘍(皮様囊腫など)の治療を行うにあたっての患者説明

著者: 小野理貴 ,   西洋孝

ページ範囲:P.292 - P.296

必ず説明しておくべきこと

◆卵巣腫瘍は術前の生検で確定診断が得られることは稀であり,摘出手術検体の最終病理学的結果で確定診断となる.

◆良性卵巣腫瘍には多様な術式があり,年齢,挙児希望の有無,囊胞性または充実性,片側性または両側性,腫瘍径などに鑑みて術式を選択する.

◆腹腔鏡手術は低侵襲で多くのメリットがある一方で,手技の難度により時間を要することや開腹術に移行する可能性などのデメリットも説明する必要がある.

Q1 子宮腟部びらんと言われました.どんな病気ですか?

著者: 岩田卓

ページ範囲:P.297 - P.298

A1

 腟内に突出している子宮の下端部を子宮腟部といい,分娩時に新生児が出生してくる開口部を外子宮口,その上方の通路の部分を子宮頸管と呼びます.子宮頸管は頸管粘膜という,円柱形の組織が密集した腺組織で覆われています.性成熟期の女性の多くは,この頸管粘膜が外子宮口からさらに外側に広がり,子宮腟部を覆うように観察されます.頸管粘膜を構成している円柱構造がびらんのように見えるため,子宮腟部びらんと呼ばれます(図1).頸管粘膜の表皮はとても薄いため,血管像が透過して赤く見え,表面を軽くこすっただけでも出血しやすい組織です.今回の場合,子宮頸管ポリープや子宮頸がんなど出血の原因となる疾患を診察上認めず,性交時の出血というエピソードから,診察医が性交時の物理的刺激で表皮がはがれ出血したと推測し,子宮腟部びらんと説明したものと思われます.

Q2 尖圭コンジローマと言われました.どんな病気ですか?

著者: 笹川寿之

ページ範囲:P.298 - P.299

A2

 尖圭コンジローマは外陰部疣贅の1つです.性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が原因です.感染から尖圭コンジローマ発症までの期間(潜伏期間)は6〜10か月とされています1).尖圭コンジローマは表面がざらざらした感じのカリフラワー様の疣であり,腟入口部後方にできやすいです(図1a)2).一方,Bowen様丘疹〔上皮内腫瘍(VIN)〕は表面が平滑でやや黒っぽい疣です(図1b).

 治療法では,最近はイミキモド(べセルナ®クリーム)の自己塗布法が一般的ですが,治癒するまで1〜4か月かかる欠点があります.より早く治したい場合には,凍結療法や外科的治療(摘出・蒸散)を選択します.外科的治療には麻酔が必要であること,術後に痛みがあること,稀に瘢痕化する場合があることが欠点です.外科的治療はイミキモド療法に比べ再発率はやや高いです.

Q3 性感染症が疑われたらどのような検査・治療をするのですか? 治療すれば必ず治りますか?

著者: 野口靖之

ページ範囲:P.300 - P.301

A3

 主な性感染症は,クラミジアや淋菌感染症,性器ヘルペス,尖圭コンジローマ,梅毒,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症などです.

 クラミジアや淋菌による子宮頸管炎は,腟内の分泌物を綿棒で採取して検査します.クラミジアが陽性であれば内服抗菌薬,淋菌が陽性であれば注射薬で治療します.どちらも適切な治療を行えば完治しますが,稀に治療失敗例があるので治癒確認は必要です.

Q4 性感染症はパートナーも検査と治療が必要だと言われましたが,パートナーは症状がないと言って検査をしてくれません.どうしたらよいですか?

著者: 藤原道久

ページ範囲:P.301 - P.302

A4

 パートナーに症状がなくても治療が必要なものには,クラミジア,淋菌,梅毒,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染,腟トリコモナス症などがあります.ヘルペスやコンジローマは,症状がなければ無治療で経過観察します.クラミジアや淋菌では治療をせずに放置することで,感染が子宮から卵管へ進み卵管炎を発症すると卵管狭窄や閉塞をきたし,不妊症の原因となることもあります.骨盤まで感染が広がることにより骨盤内の炎症を発症し,腹痛の原因となることもあります.

 あなただけが治療を行ってもパートナーが未治療ならば,パートナーからあなたに再感染(ピンポン感染)し,あなたの治療が無意味になってしまうので,2人が同時に治療を行うのが原則です.しかし「検査はイヤだが治療だけは受ける」と言われた場合には,原則自費であなたと同じ薬を処方・服用してもらうことも可能です.

Q5 陰部にかゆみがあって病院に行くとカビだと診断され,薬で治りますが,またすぐにかゆくなります.どうしたらよいですか?

著者: 吉村和晃

ページ範囲:P.302 - P.303

A5

 まず,かゆみを感じたときすぐに病院を受診し,確実な診断をしてもらうことが大事です.また,なかなか治らない場合は培養検査でカンジダ真菌の菌種を調べてもらいましょう.カンジダ真菌は腟内や腸内に常在しており,誰もが再発の可能性があるといえます.日常生活で気をつけることとしては,通気性の良い締めつけの弱い下着を身につける,おりものシートや生理用パッドを違う製品に変えてみる,陰部をかかない,石けんや入浴剤の使用は皮膚のバリア機能を低下させることがあるので控える,体調が悪くならないよう気をつける,入浴や水泳のあとなどは外陰部をよく乾かす,トイレのあとは前から後ろに拭く,寝不足・疲労・ストレスをためないよう日頃より健康に気をつける,バランスの良い食事・十分な睡眠・休息をとる,といったことを心がけましょう.

悪性腫瘍

リスク低減卵管切除術を行うにあたっての患者説明

著者: 梶山広明

ページ範囲:P.306 - P.309

必ず説明しておくべきこと

◆卵巣がんは早期発見が難しく,一般的に長期の治療期間を必要とし,予後が不良であることが知られている.

◆卵巣がんの少なくとも一部は,卵管上皮細胞が起源であると現在広く考えられている.

◆良性疾患での子宮摘出術に際して,予防的卵管切除術は卵巣がんの予防として有効な可能性がある.

◆予防的卵管切除術が実際に卵巣がんの発生を減少できることを示した洗練された前向き研究データは現時点ではない.

子宮頸がんの妊孕性温存療法についての患者説明

著者: 田中良道

ページ範囲:P.310 - P.313

必ず説明しておくべきこと

◆子宮頸部円錐切除術後の妊娠では早産率が上昇する.

◆妊娠時の頸管縫縮術の有用性に関するエビデンスは乏しく,早産リスクを軽減する管理方法は確立されていない.

◆広汎子宮頸部摘出術+骨盤リンパ節郭清術後では,多くが生殖補助医療を必要とし,妊娠時の流早産リスクも非常に高い.

子宮体がんの妊孕性温存療法についての患者説明

著者: 中村文洋 ,   松川淳 ,   太田剛

ページ範囲:P.314 - P.318

必ず説明しておくべきこと

◆本来,子宮体がんに対しては子宮全摘術が原則であり,妊孕性温存療法はオプションである.

◆妊孕性温存希望が考慮されるのは,子宮内膜異型増殖症と子宮内膜に限局する類内膜癌G1相当である.

◆病理組織学的診断,画像検査所見,臨床所見から安全性の評価を行ったうえで,治療内容の同意が必要である.

卵巣悪性腫瘍の妊孕性温存療法についての患者説明

著者: 佐藤豊実

ページ範囲:P.319 - P.322

必ず説明しておくべきこと

◆卵巣癌ではあくまでもオプションであること.二期的な手術が必要になる可能性があること.

◆境界悪性腫瘍では再発の可能性が低くないこと.晩期再発を警戒し,長期経過観察を要すること.

◆胚細胞腫瘍では化学療法が必要な場合,化学療法に起因する二次性白血病発症の可能性があること.

腹腔鏡下広汎子宮全摘術を行うにあたっての患者説明

著者: 寺井義人

ページ範囲:P.323 - P.328

必ず説明しておくべきこと

◆腹腔鏡下広汎子宮全摘術は開腹手術に代わる標準術式ではないこと.

◆症例の選択を厳密に行えば,腹腔鏡下広汎子宮全摘術は周術期合併症,術後回復の速さなどの点で開腹手術よりも有用である.

◆自施設での腹腔鏡下広汎子宮全摘術の内容,合併症および予後など,他の術式との差異がわかるよう開示して,患者の治療選択権を尊重する.

子宮体がんの手術療法を行うにあたっての患者説明

著者: 田中智人

ページ範囲:P.329 - P.332

必ず説明しておくべきこと

◆10〜15%で術後アップステージもしくはアップグレードする症例があること1)

◆術中子宮外病変が発見されることがあり,その場合,術式変更があること.

◆腹腔鏡もしくはロボット支援下手術の場合,開腹術への移行があること.

卵巣がんの術前抗がん剤治療を行うにあたっての患者説明

著者: 藤原聡枝

ページ範囲:P.333 - P.336

必ず説明しておくべきこと

◆全身状態が悪い場合や周術期に関与する重篤な合併症がある場合は,初回腫瘍減量術(PDS)を行わずに,術前抗がん剤治療(NAC)を検討する.

◆診断的腹腔鏡下手術を行い,PDSでoptimalあるいはcomplete surgeryが可能かを判断する.

◆不可能であると判断した場合は,腫瘍組織を採取し正確な病理診断後にNACを先行する.

再発卵巣がんに対して二次的腫瘍減量手術(secondary debulking surgery : SDS)を行うにあたっての患者説明

著者: 植田多恵子 ,   吉野潔

ページ範囲:P.337 - P.340

必ず説明しておくべきこと

◆卵巣がんの再発は完治するものではないが,化学療法が奏効することで無増悪生存期間や全生存期間の延長が図れる疾患である.SDSで摘出できる腫瘍は完全摘出することが重要である.

◆SDSを行う患者には手術歴があること,再発腫瘍は臓器を選んで発症するものではないことから,完全切除のために大きな侵襲を要することがある.

◆SDSの治療成績は術後の化学療法までを含んで判断しており,基本的に完全切除後に化学療法を行う必要がある.

子宮体がんに対し傍大動脈リンパ節郭清を行うにあたっての患者説明

著者: 山崎博之 ,   金野陽輔 ,   渡利英道

ページ範囲:P.341 - P.345

必ず説明しておくべきこと

◆治療的意義.

◆診断的意義.

◆省略可能な条件.

抗がん剤治療を行うにあたっての患者説明

著者: 境秀樹 ,   松本光史

ページ範囲:P.346 - P.349

必ず説明しておくべきこと

◆抗がん剤治療を根治目的で行うのか,延命目的で行うのか.根治目的に行うのであれば,外科手術や放射線治療との併用の方法.

◆投与スケジュールとともに,どれだけの期間継続するものであるか.どの程度の効果が認められるか.

◆予測される副作用として,頻度の高いものや,注意が必要なもの,頻度は稀でも重篤になると命にかかわるものなど.

◆根治目的であれば,相対治療強度(RDI)の考え方から,減量や延期は治療成績の低下に繋がるため,可能であれば避けたほうが望ましい(支持療法を駆使してできるだけ減量を避ける,ご本人・ご家族の都合などでの延期をできるだけ避けるよう配慮いただく,など).

◆緩和目的であれば,生活の質(QOL)をより重視する考え方から,適宜減量や延期を行うので,副作用は我慢せず伝えて欲しいこと.

放射線治療を行うにあたっての患者説明

著者: 戸板孝文

ページ範囲:P.350 - P.353

必ず説明しておくべきこと

◆放射線治療は,各種診療ガイドラインに記載された標準治療の選択肢の1つであること.

◆根治的放射線治療(同時化学放射線療法)では「手術できないから仕方がなく行う消極的な治療」ではないこと,「切除しない=完治しない」ではないこと.

◆治療開始前には,放射線治療の専門医師(放射線腫瘍医)から,方法・期待される効果・副作用などについて,あらためて詳細に説明されること.

がん遺伝子パネル検査を行うにあたっての患者説明

著者: 坂井美佳 ,   竹原和宏 ,   平沢晃

ページ範囲:P.354 - P.361

必ず説明しておくべきこと

◆検査結果に基づいた治療を受けられるのは,1割程度の症例と想定されること.

◆がん治療に結びつく情報の有無とは別に,遺伝性疾患を疑う所見が10%程度の確率で検出されること.

◆保険診療で実施された場合は,患者の同意に基づき,検査データは匿名化され,がんゲノム情報管理センター(C-CAT)に提供されること.集積されたデータは二次活用される可能性があること.

コンパニオン診断を行うにあたっての患者説明

著者: 坂井美佳 ,   竹原和宏 ,   平沢晃

ページ範囲:P.362 - P.369

はじめに

 コンパニオン診断薬とは,「特定の医薬品の有効性や安全性を一層高めるために,その使用対象患者に該当するかどうかなどをあらかじめ検査する目的で使用される診断薬」である(独立行政法人医薬品医療機器総合機構).本稿では,婦人科腫瘍領域において特に重要となる,初発卵巣がんにおけるオラパリブの適応判定のためのBRCA1/2遺伝子検査,局所進行または転移が認められた標準的な治療が困難な固形がんにおけるペムブロリズマブ適応判定のためのマイクロサテライト不安定性検査の2検査について述べる.

分子標的治療を行うにあたっての患者説明

著者: 原野謙一

ページ範囲:P.370 - P.374

必ず説明しておくべきこと

◆婦人科悪性腫瘍における分子標的治療薬には,血管新生阻害薬であるベバシズマブとPARP阻害薬であるオラパリブ,ニラパリブがある.

◆ベバシズマブは卵巣癌や子宮頸癌に対し,化学療法と併用される.主な副作用には消化管穿孔,血栓塞栓症,高血圧症,創傷治癒遅延,出血,蛋白尿などがある.

◆オラパリブ,ニラパリブは卵巣癌の初回治療後の維持療法もしくはプラチナ感受性再発卵巣癌の維持療法として用いられる.主な副作用には疲労,骨髄抑制(貧血,好中球減少症,血小板減少症),悪心,嘔吐などがある.

がん免疫療法(抗PD-1抗体ペムブロリズマブ)を行うにあたっての患者説明

著者: 濵西潤三

ページ範囲:P.375 - P.381

必ず説明しておくべきこと

◆ペムブロリズマブ投与に必要なマイクロサテライト不安定性(MSI)遺伝子検査.

◆ペムブロリズマブの作用メカニズムと有効性.

◆免疫関連有害事象(irAE)の頻度とリスク.

積極的ながん治療を中止するときの患者説明

著者: 木原歩美 ,   恒藤暁

ページ範囲:P.382 - P.385

必ず説明しておくべきこと

◆根治の難しい病態の場合には,今後の治療の見通しや,いずれは抗がん剤の中止が最善の選択肢となる状況があることをあらかじめ説明しておく.

◆積極的ながん治療を中止するときには,治療を行わないことのメリット,治療を継続することのデメリットを明確に伝える.

Q1 抗がん剤治療後,しびれが出てきました.何か治療はないですか?

著者: 境秀樹 ,   松本光史

ページ範囲:P.386 - P.386

A1

 抗がん剤の副作用として,しびれが出ている可能性があります.手先,足先や足裏などに起こりやすく,軽い症状が続くこともあれば,投与を繰り返すことでしびれが強くなることもあります.数か月で回復することもありますが,症状が強い場合には1年以上続くこともあります.薬による治療は十分に確立していないため,痛みを伴う場合には,痛み止めなどを使用して症状をやわらげることもあります.生活に支障が出る前に,抗がん剤の投与量を減らしたり,一時的に休んだりなどの対策を行うこともできるので,我慢せずに主治医に伝えてください.

 体を温めたりマッサージをするなど,ご自身にあった症状をやわらげる方法をみつけることも大切です.また,手にしびれがあるときは,物を落とさないように注意したり,足にしびれがあるときは,つまずいたり転んだりしないようにするなども必要です.

Q2 抗がん剤治療後,家に帰ったときから吐き気があってつらいです.

著者: 境秀樹 ,   松本光史

ページ範囲:P.387 - P.388

A2

 吐き気があっておつらいですね.抗がん剤の代表的な副作用として吐き気があります.特に抗がん剤を投与してすぐの時期が起こりやすいタイミングになります.抗がん剤の投与前にも吐き気止めを点滴して予防していますが,それでも吐き気があるときには頓服で吐き気止めを使うことができるので,積極的に使用してください.今のように吐き気がひどいときに使用したり,吐き気で食事が食べにくいようであれば,食事の30分〜1時間前に吐き気止めを飲んでおくなどの方法もあります.食事がとりにくいときは,なるべく水分をとるようにしてください.1日で1.5L程度の水分がとれなくなると脱水などの心配もあるので,主治医に連絡してください.おつらいと思いますが,吐き気止めを使用して症状をやわらげながら時間が経過することで,だんだんと症状は改善してくると思います.

Q3 若年乳がんで抗がん剤治療を受けますが,卵巣機能を保護する方法はありますか?

著者: 林正美

ページ範囲:P.388 - P.389

A3

 抗がん剤の卵巣への障害を回避する方法として,高いエビデンスが証明されたものは現時点ではありません.そのため,既婚女性あるいはパートナーがいる場合には,妊孕能を温存する方法としては,胚(受精卵)の凍結保存が第一選択とされています.パートナーがいない場合は,未受精卵子の凍結保存が考慮されます.時間的猶予がない場合や排卵誘発が困難な場合では,施設によっては卵巣組織凍結保存を行うことも検討されます.

 卵巣機能を保護しうる可能性が議論されている方法としては,性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストによる卵巣休眠療法があります.GnRHアゴニストを用いた卵巣休眠療法は,メタアナリシスの結果,抗がん剤治療後に卵巣機能が低下し無月経となる割合や早発卵巣不全に陥る割合が減少すると報告されていますが,妊孕能の維持効果については十分なエビデンスがないため,日本癌治療学会ガイドラインでも胚・卵子・卵巣の凍結保存のほうが推奨グレードは高くなっています.

Q4 広汎子宮全摘出後,排尿障害が続いています.いつまで続くのでしょうか?

著者: 関山健太郎

ページ範囲:P.389 - P.390

A4

 術前にお話ししたとおり,広汎子宮全摘出術による合併症として術後の排尿障害が昔から問題となっていました.子宮頸がんは○○さんのように比較的若い女性に多い病気です.手術で病気が治ったとしても,一生自己導尿を続けなければならないと生活の質(QOL)を大きく落としてしまいます.そこで最近では神経温存術式という方法が確立され,排尿に必要な神経を温存しつつ子宮頸がんの手術を行うようになりました.○○さんに対しても神経温存術式を行い,排尿に必要な神経を温存していますが,神経付近の出血に対して縫合止血していますので,神経の一部が傷ついた可能性があります.それでも排尿神経は切断されていないので,時間の経過とともに回復が期待できます.○○さんの場合は,術後6か月以内に自己導尿が不要となる可能性が高いと考えています.それまでは焦らずに決められた回数の自己導尿を続けて,膀胱への過剰な負担を避けるようにしましょう.

Q5 がんの手術後,むくみがひどくてつらいです.

著者: 関山健太郎

ページ範囲:P.390 - P.391

A5

 では,内診の際にむくみの状態も拝見しますね.(内診後)足のむくみの原因はリンパ浮腫といわれるものです.手術の前にもお話ししましたが,体液の流れには血液の流れのほかに,リンパ液の流れというものがあります.具体的には足先から,足の付け根を通って,お腹と胸を通って首に向かって流れています.手術の際にお腹のリンパ節を摘出したことにより,足からのリンパが流れにくくなって,足に体液が溜まりやすくなりむくんでいます.入院中にも指導させてもらったリンパマッサージという方法や,弾性ストッキングという少しきつめのストッキングを着用していただくことで治療していきましょう.専門のリンパ浮腫外来を紹介します.その前に,足に血栓がないかどうか下肢エコーの検査もしておきましょう.

--------------------

目次

ページ範囲:P.2 - P.6

奥付

ページ範囲:P.392 - P.392

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

76巻12号(2022年12月発行)

今月の臨床 帝王切開分娩のすべて―この1冊でわかるNew Normal Standard

76巻11号(2022年11月発行)

今月の臨床 生殖医療の安全性―どんなリスクと留意点があるのか?

76巻10号(2022年10月発行)

今月の臨床 女性医学から読み解くメタボリック症候群―専門医のための必須知識

76巻9号(2022年9月発行)

今月の臨床 胎児発育のすべて―FGRから巨大児まで

76巻8号(2022年8月発行)

今月の臨床 HPVワクチン勧奨再開―いま知りたいことのすべて

76巻7号(2022年7月発行)

今月の臨床 子宮内膜症の最新知識―この1冊で重要ポイントを網羅する

76巻6号(2022年6月発行)

今月の臨床 生殖医療・周産期にかかわる法と倫理―親子関係・医療制度・虐待をめぐって

76巻5号(2022年5月発行)

今月の臨床 妊娠時の栄養とマイナートラブル豆知識―妊娠生活を快適に過ごすアドバイス

76巻4号(2022年4月発行)

増刊号 最新の不妊診療がわかる!―生殖補助医療を中心とした新たな治療体系

76巻3号(2022年4月発行)

今月の臨床 がん遺伝子検査に基づく婦人科がん治療―最前線のレジメン選択法を理解する

76巻2号(2022年3月発行)

今月の臨床 妊娠初期の経過異常とその対処―流産・異所性妊娠・絨毛性疾患の診断と治療

76巻1号(2022年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科医が知っておきたい臨床遺伝学のすべて

75巻12号(2021年12月発行)

今月の臨床 プレコンセプションケアにどう取り組むか―いつ,誰に,何をする?

75巻11号(2021年11月発行)

今月の臨床 月経異常に対するホルモン療法を極める!―最新エビデンスと処方の実際

75巻10号(2021年10月発行)

今月の臨床 産科手術を極める(Ⅱ)―分娩時・産褥期の処置・手術

75巻9号(2021年9月発行)

今月の臨床 産科手術を極める(Ⅰ)―妊娠中の処置・手術

75巻8号(2021年8月発行)

今月の臨床 エキスパートに聞く 耐性菌と院内感染―産婦人科医に必要な基礎知識

75巻7号(2021年7月発行)

今月の臨床 専攻医必携! 術中・術後トラブル対処法―予期せぬ合併症で慌てないために

75巻6号(2021年6月発行)

今月の臨床 大規模災害時の周産期医療―災害に負けない準備と対応

75巻5号(2021年5月発行)

今月の臨床 頸管熟化と子宮収縮の徹底理解!―安全な分娩誘発・計画分娩のために

75巻4号(2021年4月発行)

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

75巻3号(2021年4月発行)

今月の臨床 女性のライフステージごとのホルモン療法―この1冊ですべてを網羅する

75巻2号(2021年3月発行)

今月の臨床 妊娠・分娩時の薬物治療―最新の使い方は? 留意点は?

75巻1号(2021年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 生殖医療の基礎知識アップデート―患者説明に役立つ最新エビデンス・最新データ

74巻12号(2020年12月発行)

今月の臨床 着床環境の改善はどこまで可能か?―エキスパートに聞く最新研究と具体的対処法

74巻11号(2020年11月発行)

今月の臨床 論文作成の戦略―アクセプトを勝ちとるために

74巻10号(2020年10月発行)

今月の臨床 胎盤・臍帯・羊水異常の徹底理解―病態から診断・治療まで

74巻9号(2020年9月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅱ)―母体合併症の影響は? 新生児スクリーニングはどうする?

74巻8号(2020年8月発行)

今月の臨床 産婦人科医に最低限必要な正期産新生児管理の最新知識(Ⅰ)―どんなときに小児科の応援を呼ぶ?

74巻7号(2020年7月発行)

今月の臨床 若年女性診療の「こんなとき」どうする?―多彩でデリケートな健康課題への処方箋

74巻6号(2020年6月発行)

今月の臨床 外来でみる子宮内膜症診療―患者特性に応じた管理・投薬のコツ

74巻5号(2020年5月発行)

今月の臨床 エコチル調査から見えてきた周産期の新たなリスク要因

74巻4号(2020年4月発行)

増刊号 産婦人科処方のすべて2020―症例に応じた実践マニュアル

74巻3号(2020年4月発行)

今月の臨床 徹底解説! 卵巣がんの最新治療―複雑化する治療を整理する

74巻2号(2020年3月発行)

今月の臨床 はじめての情報検索―知りたいことの探し方・最新データの活かし方

74巻1号(2020年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 周産期超音波検査バイブル―エキスパートに学ぶ技術と知識のエッセンス

73巻12号(2019年12月発行)

今月の臨床 産婦人科領域で話題の新技術―時代の潮流に乗り遅れないための羅針盤

73巻11号(2019年11月発行)

今月の臨床 基本手術手技の習得・指導ガイダンス―専攻医修了要件をどのように満たすか?〈特別付録web動画〉

73巻10号(2019年10月発行)

今月の臨床 進化する子宮筋腫診療―診断から最新治療・合併症まで

73巻9号(2019年9月発行)

今月の臨床 産科危機的出血のベストマネジメント―知っておくべき最新の対応策

73巻8号(2019年8月発行)

今月の臨床 産婦人科で漢方を使いこなす!―漢方診療の新しい潮流をふまえて

73巻7号(2019年7月発行)

今月の臨床 卵巣刺激・排卵誘発のすべて―どんな症例に,どのように行うのか

73巻6号(2019年6月発行)

今月の臨床 多胎管理のここがポイント―TTTSとその周辺

73巻5号(2019年5月発行)

今月の臨床 妊婦の腫瘍性疾患の管理―見つけたらどう対応するか

73巻4号(2019年4月発行)

増刊号 産婦人科救急・当直対応マニュアル

73巻3号(2019年4月発行)

今月の臨床 いまさら聞けない 体外受精法と胚培養の基礎知識

73巻2号(2019年3月発行)

今月の臨床 NIPT新時代の幕開け―検査の実際と将来展望

73巻1号(2019年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 エキスパートに学ぶ 女性骨盤底疾患のすべて

72巻12号(2018年12月発行)

今月の臨床 女性のアンチエイジング─老化のメカニズムから予防・対処法まで

72巻11号(2018年11月発行)

今月の臨床 男性不妊アップデート─ARTをする前に知っておきたい基礎知識

72巻10号(2018年10月発行)

今月の臨床 糖代謝異常合併妊娠のベストマネジメント─成因から管理法,母児の予後まで

72巻9号(2018年9月発行)

今月の臨床 症例検討会で突っ込まれないための“実践的”婦人科画像の読み方

72巻8号(2018年8月発行)

今月の臨床 スペシャリストに聞く 産婦人科でのアレルギー対応法

72巻7号(2018年7月発行)

今月の臨床 完全マスター! 妊娠高血圧症候群─PIHからHDPへ

72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

今月の臨床 ホルモン補充療法ベストプラクティス─いつから始める? いつまで続ける? 何に注意する?

72巻1号(2018年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

icon up
あなたは医療従事者ですか?