icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻4号

2021年04月発行

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

周産期

Q9 遺伝性疾患をもっています.妊娠・出産に影響がありますか?

著者: 山田崇弘1

所属機関: 1京都大学医学部附属病院遺伝子診療部

ページ範囲:P.121 - P.122

文献概要

A9

 妊娠・出産ではあなた自身への影響と赤ちゃんへの影響との両方を考える必要があります.まず,あなた自身への影響としては遺伝性の疾患であってもそうでなくても,その疾患の妊娠への影響と妊娠自体の疾患への影響について検討する必要があります.疾患の主治医の先生と産婦人科の先生の両者と十分話し合ってください.

 次に赤ちゃんへの影響です.その遺伝性疾患が赤ちゃんへ受け継がれることがご心配なのかもしれませんね.しかし,あなたには何も疾患がない場合でも,生まれてくる赤ちゃんが何らかの先天性疾患をもっている可能性は3〜5%あります.すでにあなたがその疾患をおもちで,赤ちゃんが同じ疾患を発症する可能性がある遺伝形式の例としては,常染色体優性遺伝,あるいはX連鎖遺伝がまずは想定されます.赤ちゃんがその疾患をもつ可能性は前者であれば50%,後者では男の子であれば50%の可能性でその疾患をもつあるいは流産となり,女の子であれば50%の可能性で非発症保因者あるいはその疾患をもつことになります.ただ,それ以外の遺伝形式をもつ疾患も多く存在し,評価が難しい場合もありますので,一度遺伝カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか.

参考文献

1)日本人類遺伝学会(編) : コアカリ準拠 臨床遺伝学テキストノート―ゲノム医療に必要な考え方を身につける.pp10-67, pp128-136,診断と治療社,東京,2018
2)関沢明彦・他(編著) : 周産期遺伝カウンセリングマニュアル 改定第3版.pp90-187,中外医学社,東京,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら