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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻4号

2021年04月発行

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

周産期

Q15 避妊法にはたくさんの種類があると聞きますが,私に相応しい避妊法はどれですか?

著者: 北村邦夫1

所属機関: 1一般社団法人日本家族計画協会

ページ範囲:P.129 - P.131

文献概要

A15

 「妊娠は女性にしか起こらないのだから,避妊を男性任せにするのは止めよう」.これが僕の回答です.コンドームは男性の性器に装着する用具ですから,「破れた」「外れた」では妊娠を回避できません.仮にそのような事件に遭遇したときのために,緊急避妊法についても知っておくこと.結論を急げば,安心,安全に避妊したいと考えているのであれば,低用量経口避妊薬(oral contraceptives : OC,日本では「ピル」ということが多い)がお勧めです.

 残念ながらOCでは性感染症を予防できませんので,dual protection(二重防御法)といいますが,「避妊にはOCを,性感染症予防にはコンドームを!」のメッセージをお伝えします.日本の男性の多くは,コンドームが性感染症予防の唯一の用具という認識が欠けています.あなたが「私,ピル飲んでいるの」などと言おうものなら,コンドームを使わなくなることがありますので,「彼と心中してもいい」ほどの関係になるまでは,OCを飲んでいることを決して口にしないことです.日本には,月経困難症治療を目的としたLEP(低用量エストロゲン・プロゲスチン)製剤がありますが,OCもLEPも同等の避妊効果があるだけでなく,月経痛の緩和や月経血量の減少など,月経で悩んでいる女性にとっては,メリットが多々あります.初経から閉経まで,医学的に問題がなければ安心して服用することができます.お薬を飲むには,必ず副作用を考慮することになりますが,OC服用でよく話題になる血栓塞栓症などは,OC未服用者に比べては高いものの,妊娠中あるいは産後での発症率と比べると,はるかに低いのです.

参考文献

1)北村邦夫 : 避妊法とその指導 総論,ライフステージに応じた効果的な避妊指導とは?.日本女性医学学会(編) : 女性医学ガイドブック 思春期・性成熟期編 2016年度版.pp234-240,金原出版,東京,2016
2)Trussell J : Contraception 83 : 397-404, 2011
3)北村邦夫 : 日産婦会誌66 : 2127-2131, 2014
4)北村邦夫 : 産と婦86(Suppl) : 158-165, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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