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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻4号

2021年04月発行

文献概要

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために 不妊・不育

Q10 卵胞がみえているのにどうして卵子がとれないのですか?

著者: 白澤弘光1 熊澤由紀代1 寺田幸弘1

所属機関: 1秋田大学大学院医学系研究科産婦人科学講座

ページ範囲:P.204 - P.205

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A10

 卵胞を穿刺して卵胞液を吸引しても,卵胞液内に卵子を認めない場合があります.日本だけではなく海外でもこの問題について議論されており,いくつかの状況が想定されています.

 1つは採卵時の技術的な理由があります.適切な卵胞液の吸引は,卵子を回収できるかどうかにおいて非常に重要です.一般的に卵胞の中心に針を穿刺し一定の圧で卵胞液を吸引します.この際に,穿刺針の位置や圧の問題で卵子が卵胞壁から剝がれずに卵子がとれない場合があります.また採卵前に行うトリガーといわれるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)や性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストというホルモンの刺激がうまく働かず,血液中のhCG濃度の上昇が不十分となることも卵子がとれない1つの理由です.この場合には注射薬,点鼻薬によるトリガーの量や組み合わせを変更して対応する場合があります.しかし,頻度は多くありませんが,適切なトリガー刺激を行いhCG濃度が十分上昇していても卵子がとれない患者さんがおり,その対応に苦慮する場合があります.

参考文献

1)Jehan S, et al : J Pak Med Assoc 70 : 1538-1542, 2020
2)Yuan P, et al : Hum Reprod 32 : 944-953, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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