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増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために 不妊・不育
Q13 多囊胞性卵巣症候群と言われました.どんな病気ですか?
著者: 岩佐武1 鎌田周平1
所属機関: 1徳島大学大学院医歯薬学研究部産科婦人科学分野
ページ範囲:P.209 - P.209
文献購入ページに移動多囊胞性卵巣症候群は月経不順や多毛・にきびなどの症状をきたす疾患で,これらに加え血液検査や超音波検査でホルモンバランスや卵巣の見えかたに特徴的な変化を認めた場合に診断されます.生殖年齢の女性の6〜10%に認められ,決して稀な疾患ではありません.ただし,月経不順は不妊症のリスクや将来における子宮がんの発生率を高めることから,適切かつ長期的なフォローアップが必要です.具体的には,妊娠を希望しない場合にはホルモンを補充して定期的に月経を起こすこと,妊娠を希望する場合には薬剤を用いて卵巣を刺激し,排卵を促すことが必要となります.また,多囊胞性卵巣症候群では肥満,2型糖尿病,脂質代謝異常などのリスクが高まるといわれており,予防医学的な管理も求められています.適切な体重管理はこれらの疾患の予防だけでなく月経異常の改善にもつながるため,特に肥満を認める場合には食事内容の見直しや運動習慣の徹底が重要となります.
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