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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻4号

2021年04月発行

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

不妊・不育

Q15 私の卵子を若返らせることはできないのですか?

著者: 河村和弘1

所属機関: 1国際医療福祉大学医学部産婦人科

ページ範囲:P.211 - P.211

文献概要

A15

 現在の医学では卵子を完全に若返らせることはできません.卵子は細胞としてゲノム遺伝情報をもつ核と,ミトコンドリアやリボゾームなど細胞としての機能のために必要な細胞質からなります.自分自身の核を若返らせるためには,卵子を幹細胞などから再生させる必要があり,まだヒトでは成功していません.細胞質を若返らせることは,若い健康な女性の卵子があれば,老化した卵子の核と入れ替えることで(卵子間核置換),行うことができます.この場合,卵子の若返りを希望される方とドナーとなる女性から,体外受精の治療と同様に卵子を採卵し,顕微鏡下で核を入れ替えます.その後,夫の精子と受精させ,通常の方法で胚移植を行います.倫理的な問題などから,本邦では国の指針によりこの方法で作成した胚の移植は容認されていません.一部のサプリメントはミトコンドリアなどの機能を改善する可能性が報告されており,卵子の機能を部分的に若返らせることができるかも知れませんが,ヒトでは十分なエビデンスがなく,さらなる研究が必要です.

参考文献

1)Hayashi K, et al : Science 338 : 971-975, 2012
2)White YA, et al : Nat Med 18 : 413-421, 2012
3)Zhang J, et al : Reprod Biomed Online 34 : 361-368, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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