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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻4号

2021年04月発行

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

中高年期・老年期

Q2 乳がんでタモキシフェンを服用しています.婦人科疾患における注意事項はありますか?

著者: 佐々木浩1

所属機関: 1大阪医科薬科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.257 - P.258

文献概要

A2

 タモキシフェン(TAM)とは選択的エストロゲン受容体調整薬(SERM)の1つであり,エストロゲンレセプター(ER)に結合しその作用を発揮しますが,臓器や組織によって増殖に働いたり,抑制に働いたりします.ERが発現している乳がん組織においては抑制作用を発揮することから,乳がんの再発予防としてTAMは用いられます.一方でTAMは子宮内膜のERに結合すると,乳がん組織と違い増殖に働きます.よって乳がん患者さんにTAMを使用すると不正出血や子宮内膜ポリープの発生の増加(8〜36%)1),子宮内膜がんの発症リスクが上昇した(2.4倍)との報告2)もあることから,定期的に婦人科に受診し子宮内膜の精査を行う必要があります.またTAMにより卵巣が過剰に刺激され卵巣囊腫が発生することもあるので3),婦人科受診時に超音波で卵巣腫大の有無を確認する必要があります.

参考文献

1)Huang B, et al : Mol Cell Endocrinol 418, Pt 3 : 240-244, 2015
2)Early Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG) : Lancet 378 : 771-784, 2011
3)Cohen I, et al : Gynecol Oncol 72 : 202-207, 1999
4)An-Foraker SH, et al : Acta Cytol 23 : 303-308, 1979
5)Byrne AJ : Acta Cytol 34 : 373-381, 1990
6)鈴木光明,他 : 産と婦69 : 1173-1178, 2002
7)寺本勝寛 :日産婦誌51 : N293-N298, 1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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