icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻4号

2021年04月発行

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

婦人科疾患

Q1 子宮腟部びらんと言われました.どんな病気ですか?

著者: 岩田卓1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.297 - P.298

文献概要

A1

 腟内に突出している子宮の下端部を子宮腟部といい,分娩時に新生児が出生してくる開口部を外子宮口,その上方の通路の部分を子宮頸管と呼びます.子宮頸管は頸管粘膜という,円柱形の組織が密集した腺組織で覆われています.性成熟期の女性の多くは,この頸管粘膜が外子宮口からさらに外側に広がり,子宮腟部を覆うように観察されます.頸管粘膜を構成している円柱構造がびらんのように見えるため,子宮腟部びらんと呼ばれます(図1).頸管粘膜の表皮はとても薄いため,血管像が透過して赤く見え,表面を軽くこすっただけでも出血しやすい組織です.今回の場合,子宮頸管ポリープや子宮頸がんなど出血の原因となる疾患を診察上認めず,性交時の出血というエピソードから,診察医が性交時の物理的刺激で表皮がはがれ出血したと推測し,子宮腟部びらんと説明したものと思われます.

参考文献

1)日本産科婦人科学会(編・監) : 産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版,日本産科婦人科学会,東京,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら