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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻4号

2021年04月発行

増刊号 産婦人科患者説明ガイド―納得・満足を引き出すために

悪性腫瘍

Q3 若年乳がんで抗がん剤治療を受けますが,卵巣機能を保護する方法はありますか?

著者: 林正美1

所属機関: 1大阪医科薬科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.388 - P.389

文献概要

A3

 抗がん剤の卵巣への障害を回避する方法として,高いエビデンスが証明されたものは現時点ではありません.そのため,既婚女性あるいはパートナーがいる場合には,妊孕能を温存する方法としては,胚(受精卵)の凍結保存が第一選択とされています.パートナーがいない場合は,未受精卵子の凍結保存が考慮されます.時間的猶予がない場合や排卵誘発が困難な場合では,施設によっては卵巣組織凍結保存を行うことも検討されます.

 卵巣機能を保護しうる可能性が議論されている方法としては,性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)アゴニストによる卵巣休眠療法があります.GnRHアゴニストを用いた卵巣休眠療法は,メタアナリシスの結果,抗がん剤治療後に卵巣機能が低下し無月経となる割合や早発卵巣不全に陥る割合が減少すると報告されていますが,妊孕能の維持効果については十分なエビデンスがないため,日本癌治療学会ガイドラインでも胚・卵子・卵巣の凍結保存のほうが推奨グレードは高くなっています.

参考文献

1)Bines J, et al : J Clin Oncol 14 : 1718-1729, 1996
2)Loren AW, et al : J Clin Oncol 31 : 2500-2510, 2013
3)Moore HCF, et al : J Natl Cancer Inst 111 : 210-213, 2019

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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