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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻5号

2021年05月発行

雑誌目次

今月の臨床 頸管熟化と子宮収縮の徹底理解!―安全な分娩誘発・計画分娩のために 子宮頸管熟化

ヒトにおける頸管熟化の基礎

著者: 杉村基

ページ範囲:P.402 - P.407

●子宮頸管は線維芽細胞,単球マクロファージなどの間質細胞,細胞外マトリクスにより構成され,妊娠分娩時には軟化,熟化,分娩後は修復機転のリモデリングが起こる.

●正期産における子宮頸管の変化では主として未熟コラーゲン線維の増加や炎症免疫細胞の関与するヒアルロナンの産生増加による水分含量の増加による熟化が起こる.

●自然早産における子宮頸管の変化では感染炎症により産生されたサイトカインにより,蛋白分解酵素やプロスタグランジンが誘導され,子宮頸管の軟化,熟化が起こる.

薬物的頸管熟化の種類と使い方のコツ

著者: 高倉翔 ,   池田智明

ページ範囲:P.408 - P.413

●2020年4月からジノプロストン腟内留置用製剤(プロウペス®)が妊娠37週以降の子宮頸管熟化不良における熟化の促進を適応として,使用できるようになった.

●器械的頸管熟化に比べ,分娩誘発の成功率については同等とされているが,挿入時の痛みが少なく,子宮内感染のリスクが低いというメリットがある.

●プロウペス®の使用にあたって,使用方法・留意点を順守し,安全に十分配慮する.

器械的頸管熟化の種類と使い方のコツ

著者: 桑原慶充

ページ範囲:P.414 - P.419

●今後は妊産婦のメリットや臨床背景により,薬物的頸管熟化法と器械的頸管熟化法のいずれかを選択することが求められてくる.

●器械的頸管熟化の作用機序をメカニカルストレッチと卵膜剝離効果から捉えることで,内診所見にあった器材の選択・使用方法が見えてくる.

●実施にあたっては,諸家のコンセンサスに基づいて作成された『産婦人科診療ガイドライン』を遵守する.

計画分娩にあたっての頸管熟化の評価

著者: 進藤亮輔 ,   青木茂

ページ範囲:P.420 - P.424

●分娩誘発前の頸管熟化がよいほど分娩誘発成功率は高く,不良なほど帝王切開のリスクが高い.計画分娩での経腟分娩成功のカギは頸管熟化度である.

●頸管熟化の評価にはBishop scoreを用いることが一般的である.普遍的な基準値は存在しないが,6点以下を不良とすることが多く,3点以下は特に不良と考えられる.

●熟化不良症例に分娩誘発を行う場合は子宮収縮薬の前に頸管熟化処置を行う.3点以下の場合は,成功の可能性が低いため延期または中止(自然陣痛発来の待機)を考慮する.

分娩誘発と陣痛促進

子宮収縮の基礎

著者: 松家まどか ,   伊東宏晃

ページ範囲:P.425 - P.429

●子宮平滑筋の収縮メカニズムは細胞膜のイオンチャネルの増減によりコントロールされ,カルシウムイオンの流入による脱分極が子宮筋収縮を引き起こす.

●妊娠維持にはプロゲステロンの子宮収縮抑制作用が重要であり,プロゲステロンの機能低下が陣痛発来を引き起こすとされる.

●分娩開始後は,オキシトシンがCOX-2の発現を増加させ,プロスタグランジンの合成分泌を促進することにより,強く持続的な子宮収縮を引き起こす.

オキシトシン・PGFの使い方とコツ

著者: 石川浩史

ページ範囲:P.430 - P.434

●分娩誘発・陣痛促進ともに,適応と要約(条件)を満たす必要がある.要約(条件)としては,妊娠週数,頸管熟化,インフォームド・コンセントの3点が重要である.

●希釈液は細胞外液か生理食塩水とし,『産婦人科診療ガイドライン―産科編2020』と同じ希釈方法で行う.開始時投与量,維持量,最大投与量もガイドラインの範囲内で使用する.

●適正陣痛となった場合の投与継続の是非が今後議論になるかもしれない.

分娩誘発に関する各国ガイドラインの比較

著者: 板倉敦夫

ページ範囲:P.435 - P.440

●国・地域や世界的機構が公表している,分娩誘発に関する診療ガイドラインは5編ある.

●同じエビデンスでも,妊娠・出産に対する保険制度や考え方で推奨が異なる.

●プロスタグランジンE2錠やプロスタグランジンF注射薬は,わが国のローカルドラッグであり,他国のガイドラインには記載がない.

誘発・促進の判断と効果の見極め方

著者: 中井章人

ページ範囲:P.442 - P.447

●誘発・促進の判断とは適応と要約の確認で,適応は実施しなければならない医学的必然性,要約は実施に対する対象の妊婦と胎児の条件である.

●要約で重要なのは理学的所見で,内診では頸管熟化に加え骨産道や児頭と骨盤との関係などを総合的に評価し,経腟分娩が可能か否か判断しなければならない.

●効果の見極めとは,分娩進行の評価で,頸管開大曲線に沿って分娩が順調に進行するかどうか,慎重に見極める必要がある.

分娩誘発の合併症

分娩誘発の母体・胎児に対する短期・長期リスク

著者: 鈴木俊治

ページ範囲:P.449 - P.455

●分娩誘発は,母児の医学的・社会的予後が良好になることを目的とする.

●妊娠の継続が母児いずれかのリスクにつながる場合は,状況に応じたタイミングで分娩誘発する.

●妊娠の継続が母児のリスクにつながらない社会的適応を含めた分娩誘発のタイミングは,最も周産期予後が良好な妊娠39〜40週を念頭において考慮する.

過強陣痛の評価法と対処法

著者: 牧野真太郎

ページ範囲:P.456 - P.459

●過強陣痛により胎児徐脈や子宮破裂をきたすことがあるが,それらの多くはこれらの症状が先行して発生し,原因検索として診断されることが多い.

●過強陣痛によって起こった症状が疑われる場合には速やかに対応を行うことが重要である.

誘発分娩時の産後出血とその予防

著者: 成瀬智

ページ範囲:P.460 - P.468

●陣痛誘発・促進中のオキシトシン持続静注はできる限り短時間にし,帝王切開が決定したら,速やかに持続静注を停止する.

●児娩出後はオキシトシン静脈投与を第一選択とし,オキシトシン投与後も子宮収縮不良の場合は,合併症に応じて第二選択薬を投与する.

●重度のPPHでは,機を逸せず高次施設や手術室・ICUへ搬送し,集学的治療を行う.

分娩誘発の応用

無痛分娩の際の分娩誘発

著者: 山下隆博

ページ範囲:P.470 - P.475

●初産の分娩誘発では陣痛発来まで時間を要することがあり,無痛分娩開始のタイミングが難しいことがある.

●分娩誘発の際,無痛分娩を早く開始すると陣痛が微弱となり陣痛発来に至らず,遅く開始すると痛みを感じる時間が長くなり産婦の満足度が低下する.

●痛みの閾値は個人差が大きく,恐怖心でも大きく変化する.分娩誘発では分娩経過が長期化する傾向があり,産婦側の理解と医療側のサポートが重要である.

連載 FOCUS

切迫早産の診断と薬物治療のタイミング―子宮収縮抑制薬,抗菌薬,黄体ホルモン

著者: 米田哲

ページ範囲:P.476 - P.479

●エビデンスの定かではない長期の子宮収縮抑制薬治療(maintenance tocolysis)は,特に本邦において経験的に行われているが,少なくとも過剰な投与は避けたい.

●羊水検査にて子宮内に病原微生物が存在する場合には,感染が進行する前に抗菌薬を適切に投与することで,妊娠期間が延長する可能性がある.

●無菌性の子宮内炎症が原因の切迫早産では,黄体ホルモン(17OHP-C)の投与により妊娠期間の延長と後期早産を減少しうる可能性がある.

Obstetric News

新型コロナウイルス感染症ワクチン接種:妊婦と母乳哺育女性(Ⅰ)―重要な情報と推奨の要約(米国産婦人科学会)

著者: 武久徹

ページ範囲:P.480 - P.482

 今回の米国産婦人科学会(ACOG)の情報は以下の項目に分けて解説されている.

・Summary of Key Information and Recommendations

・COVID-19 Infection Risk in Pregnancy

・COVID-19 Vaccines in Development

・ACOG Recommendations

・Vaccine Confidence

新型コロナウイルス感染症ワクチン接種:妊婦と母乳哺育女性(Ⅱ)―開発中のワクチン(米国産婦人科学会)

著者: 武久徹

ページ範囲:P.483 - P.487

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン開発と薬事承認が迅速に変化する過程を説明することは重要である.

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目次

ページ範囲:P.398 - P.399

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.491 - P.491

バックナンバー

ページ範囲:P.493 - P.493

次号予告・奥付

ページ範囲:P.494 - P.494

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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バックナンバー

76巻12号(2022年12月発行)

今月の臨床 帝王切開分娩のすべて―この1冊でわかるNew Normal Standard

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76巻10号(2022年10月発行)

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76巻9号(2022年9月発行)

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76巻8号(2022年8月発行)

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76巻7号(2022年7月発行)

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75巻9号(2021年9月発行)

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75巻7号(2021年7月発行)

今月の臨床 専攻医必携! 術中・術後トラブル対処法―予期せぬ合併症で慌てないために

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75巻5号(2021年5月発行)

今月の臨床 頸管熟化と子宮収縮の徹底理解!―安全な分娩誘発・計画分娩のために

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今月の臨床 男性不妊アップデート─ARTをする前に知っておきたい基礎知識

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72巻4号(2018年4月発行)

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合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

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今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

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71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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