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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科75巻9号

2021年09月発行

雑誌目次

今月の臨床 産科手術を極める(Ⅰ)―妊娠中の処置・手術

子宮内容除去術

著者: 手向麻衣 ,   味村和哉 ,   木村正

ページ範囲:P.814 - P.821

●中絶や流産処置に際しては,事前に十分なカウンセリングを行い患者の意思決定をサポートする.

●子宮内容除去術ではD&Cは行わず真空吸引法を用いる.

●術中術後の合併症発生には十分留意し,疑われる場合は迅速に対応する.

妊娠中の子宮頸部円錐切除術

著者: 仲村勝 ,   青木大輔

ページ範囲:P.822 - P.826

●生検組織診が子宮頸部上皮内腫瘍3(CIN3)であり,細胞診とコルポスコピー所見が一致している場合には,妊娠中の円錐切除術は延期が考慮され,分娩後に再評価する.

●生検組織診が上皮内腺癌(AIS)や間質浸潤を認めるⅠA期が疑われるような場合には,妊娠中であっても診断確定のために診断的円錐切除術を行うことが推奨される.

●妊娠中の円錐切除術では,出血や流早産のリスクがあることに留意する.円錐切除術後の予防的な子宮頸管縫縮術の実施には明らかなエビデンスがない.

異所性妊娠に対する手術①―卵管膨大部・卵管峡部妊娠に対する手術

著者: 梁善光

ページ範囲:P.827 - P.833

●卵管膨大部・峡部妊娠は全異所性妊娠の90〜95%を占めている.ほとんどの症例で腹腔鏡手術で対応できる.

●なかでも卵管妊娠に対する卵管切除術は,腹腔鏡手術のなかでも比較的簡単な手術であり,ぜひともマスターしてもらいたい.

●卵管線状切開術は施術の前に,術後の合併症を含めた成績を示したうえで同意を得ることが肝要である.

異所性妊娠に対する手術②―卵管間質部妊娠

著者: 渡辺正 ,   黒澤大樹 ,   渡部洋

ページ範囲:P.834 - P.842

●卵管間質部妊娠では,治療後の妊娠で子宮破裂が起こる可能性がある.

●卵管間質部妊娠では,腹腔鏡下卵管角部切開術が子宮,卵管組織に対する損傷が少ない.

●卵管間質部妊娠に対する手術では,縫合・結紮による修復を図ることが重要である.

*本論文中,[▶動画]マークのある図につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年8月末まで).

異所性妊娠に対する手術③―子宮頸管妊娠・帝王切開瘢痕部妊娠への対応

著者: 鷹野夏子 ,   亀井良政

ページ範囲:P.843 - P.849

●子宮頸管妊娠および帝王切開瘢痕部妊娠は稀な疾患であるが,診断の遅れが治療成績に影響を及ぼすため早期の診断が重要である.

●治療は薬物療法(MTX),掻爬術または子宮摘出などが選択され,大量出血時の止血目的や処置前の血流遮断目的に子宮動脈塞栓が施行される.

●治療のクライテリアが定まっておらず,妊婦の背景,挙児希望の有無や妊娠週数に応じて適切な治療方法の選択が必要である.

異所性妊娠に対する手術④―卵巣妊娠

著者: 木崎雄一朗 ,   高井泰

ページ範囲:P.850 - P.855

●卵巣妊娠は異所性妊娠のなかでも頻度が稀であり,治療前の正確な診断が困難であることが多い.

●他部位の異所性妊娠と異なり卵巣異所性妊娠と関連した明確なリスク因子は明らかではない.

●治療の基本は外科的治療であり,特に侵襲の少ない腹腔鏡下手術が有用である.

子宮頸管縫縮術の適応―予防的頸管縫縮術・治療的頸管縫縮術・緊急頸管縫縮術の適応と効果

著者: 大槻克文

ページ範囲:P.856 - P.865

●頸管縫縮術の適応によって「prophylactic cerclage(予防的頸管縫縮術とほぼ同義)」「ultrasound-indicated cerclage(治療的頸管縫縮術とほぼ同義)」そして「urgent(rescue)cerclage(緊急頸管縫縮術とほぼ同義)」に分類される.

●治療成績に影響を与える因子は残存子宮頸管長とsludgeなどの所見の有無,子宮頸管の炎症の有無などがある.

●頸管短縮例におけるMcDonald法は既往の早産や円錐切除術後など頸管無力症のリスクの高い群では有効であるが,一般症例においては無効である可能性が示唆される.

●細菌性腟炎がなく子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ陰性が確認されている妊娠16週0日〜26週6日の妊婦で子宮頸管長25.0mm以下の妊婦に対してShirodkar法を実施した場合,切迫早産管理を減少させるという限定的な結果が本邦のRCTで示されている.

●「prophylactic cerclage」の場合,エビデンスレベルの高い報告はない.「ultrasound-indicated cerclage」の場合,子宮頸管長が25mm以下の場合にはその有用性が示されている.特に子宮頸管長が10mm以下の場合には妊娠延長効果が期待できる.「urgent(rescue)cerclage」では頸管の感染の程度が予後を大きく左右する.

*本論文中,[▶動画]マークのある図につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年8月末まで).

子宮頸管縫縮術の手術手技

著者: 谷垣伸治 ,   石川美佳 ,   平野稚子

ページ範囲:P.866 - P.871

●早産例について,次回妊娠時の予防的頸管縫縮術の必要性の有無を明記する.

●頸管縫縮術における術式決定や,膀胱剝離などの術操作,縫縮の評価・振り返りに経腟超音波検査が有用である.

●縫縮糸に単繊維吸収糸を用いることや,経腹的アプローチなど新しい試みが始まっている.

絨毛採取

著者: 和田誠司 ,   室本仁 ,   杉林里佳 ,   小澤克典 ,   左合治彦

ページ範囲:P.873 - P.877

●絨毛採取は侵襲的遺伝学的検査であり,正しい技術を取得した術者が実施する.

●方法は経腹的と経腟的があり,胎盤の位置により方法を選択する.

●胎盤性モザイクが1%にみられ,その場合は羊水検査での再評価を検討する.

●絨毛採取が技術的な理由で困難と考えられれば,羊水検査などの他の方法への変更も考慮する.

羊水穿刺

著者: 鈴森伸宏

ページ範囲:P.878 - P.882

●羊水を用いて染色体検査,遺伝子解析,生化学的分析ができる.

●リスクを伴う確定検査であり,説明と同意のうえで,穿刺は妊娠15〜16週以降に行う.

●検査結果は,正常変異や性染色体疾患の場合,表現型との関連が明らかでない場合,両親の遺伝学的検査を要する場合などがあり,検査前後の遺伝カウンセリングが大切である.

胎児輸血の適応と手法

著者: 小澤克典 ,   和田誠司 ,   左合治彦

ページ範囲:P.883 - P.889

●胎児輸血は,母児間血液型不適合,パルボウイルスB19感染などによる重症胎児貧血に対する胎児治療である.

●胎児輸血の前に血液製剤の準備,投与経路の選択,超音波診断装置の設定,輸血量の計算などをしておく必要がある.

●臍帯穿刺の手技は慣れが必要である.

●胎児輸血には合併症が発生することがあるため,事前の説明と準備が必要である.

羊水過多症に対する羊水除去術

著者: 山本亮 ,   石井桂介

ページ範囲:P.890 - P.895

●羊水除去術の適応決定にあたっては,AFIやMVPなどの超音波断層法のパラメータも参考とするが,主として母体の羊水過多症の重症度によって決定する.

●羊水除去術後の早期に分娩に至る症例があり,早産に備える必要がある.

●羊水除去術の実施にあたっては,母体の体勢や穿刺部位の選定など穿刺前の準備段階が処置の成否にかかわる重要な要素である.

●陰圧吸引による羊水除去術は安全に施行可能と考えられ,自然滴下や手動吸引に比べて短時間で完遂できるメリットがある可能性がある.

骨盤位に対する外回転術

著者: 小川浩平 ,   東裕福 ,   左合治彦

ページ範囲:P.896 - P.901

●骨盤位外回転術を行う場合には,成功確率や合併症について,事前に詳細な情報提供を行い,インフォームド・コンセントを取得する必要がある.

●骨盤位外回転術を行う際の工夫として,塩酸リトドリンの投与,硬膜外脊椎麻酔の併用,頻回のノンストレステスト,超音波の併用などを検討する.

●起こりうる合併症については十分に注意を払い,必要があれば緊急帝王切開を行う.

症例

レトロゾール併用ショート法で妊娠し得た難治性不妊4症例

著者: 副田善勝 ,   副田翔

ページ範囲:P.903 - P.910

▶要約

 原因不明の難治性不妊症例に対し,レトロゾール併用ショート法により妊娠し得た4症例を報告する.月経2日目からレトロゾール,GnRHアゴニスト,FSH製剤の順で投与した.レトロゾールは1日2.5mgを5日間,GnRHアゴニスト製剤はブセレリンとして300μgを8時間ごと,FSH製剤はピュアFSHとhMG製剤を組み合わせて連日投与した.hCG製剤で排卵誘起し,採卵した.新鮮胚移植もしくは凍結融解胚移植で妊娠した.

 これまでショート法にレトロゾールを併用することの検討はされておらず,4症例は本法が難治性不妊の打開策となる可能性を示唆する.レトロゾールはアロマターゼ阻害薬であり,卵巣予備能低下症例において卵胞発育初期に正の効果をもたらすアンドロゲンの卵巣内濃度を上昇させる.レトロゾールを併用したことで,フレアアップに伴うLH上昇を最大限に利用でき,卵胞発育初期に限定して卵巣内でアンドロゲンが産生されたことが良好な卵子を獲得できた一因と考える.

連載 Obstetric News

なぜ40歳を超えた女性は避妊について別個のガイダンスが必要なのか?

著者: 武久徹

ページ範囲:P.912 - P.913

 女性は年齢を重ねるごとに,特定の健康状態のリスクが高まり,それに加えて,更年期障害の症状や治療法も変わってくる.更年期障害の症状や治療法と相まって,若い女性とは明らかに異なるニーズがある.適切な避妊法の選択と中止においては,各避妊法の健康上の利点とリスク,および避妊法以外の利点と欠点を理解することが必要である.

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目次

ページ範囲:P.810 - P.811

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.914 - P.914

バックナンバー

ページ範囲:P.915 - P.915

次号予告・奥付

ページ範囲:P.916 - P.916

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

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69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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