文献詳細
症例
漿膜下子宮筋腫茎捻転による急性腹症の1例
著者: 林茂空1 小野政徳1 鷺坂誠宏1 大村涼子1 小島淳哉1 小野理貴1 佐々木徹1 山本阿紀子1 西洋孝1
所属機関: 1東京医科大学産科婦人科学分野
ページ範囲:P.393 - P.397
文献概要
子宮筋腫の症例のなかで子宮筋腫茎捻転は0.1〜0.3%ほどの頻度と報告されている.今回,子宮筋腫茎捻転症例に対して腹腔鏡下子宮筋腫核出術を行った1例を経験したので報告する.患者は,35歳0妊0産.当院初診の2日前に下腹部痛を認めた.当日下腹部痛が増悪したため当院を受診した.腹部所見は反跳痛を認めた.胸腹骨盤部造影CTで子宮右側に123mm大の漿膜下子宮筋腫を認め,茎捻転が疑われた.同日腹腔鏡下子宮筋腫核出術を施行した.手術所見は骨盤内に暗赤色の充実性腫瘤を認めた.腫瘤は子宮後面右卵管角後面から発生しており,時計回りに270°捻転していた.手術時間は158分,出血量は100g,子宮筋腫は計547gであった.術後病理結果は平滑筋腫であった.術後経過は良好で術後4日目に退院となった.漿膜下子宮筋腫茎捻転は稀な疾患であるが,急性腹症の患者の診察時に子宮筋腫茎捻転も念頭に置いておくことが重要と考えられた.
参考文献
掲載誌情報