文献詳細
文献概要
今月の臨床 妊娠時の栄養とマイナートラブル豆知識―妊娠生活を快適に過ごすアドバイス 妊婦にみられるマイナートラブルと薬剤投与のコツ
妊婦貧血への対応
著者: 内田季之1
所属機関: 1浜松医科大学医学部附属病院周産母子センター
ページ範囲:P.452 - P.458
文献購入ページに移動●生理的に妊娠経過とともにヘモグロビン(Hb)濃度は低下し,妊婦貧血となる.平均赤血球容積(MCV)が低下する小球性貧血であり,鉄欠乏性貧血となる.
●わが国の妊婦は鉄摂取が不足している.プレコンセプションケアとして,鉄摂取を日常から心がけ,やせ,貧血の既往などの場合は妊婦貧血のリスクがあると考え,食事摂取からの鉄補充だけでなくサプリメントも有効活用するように指導する.妊娠中期・後期では1日あたり鉄20mgの摂取が推奨されている.
●鉄剤投与は少なくともHb濃度10.0g/dL未満では開始する.鉄剤に多く出現する消化器症状,特に嘔気・嘔吐は第二鉄製剤が少ない.消化器症状で内服困難,急速に貧血を改善したい場合に静注鉄剤を用いる.鉄剤投与は炎症がある場合は効果が低く,輸血後では鉄過剰となる可能性があるので注意を要する.
●わが国の妊婦は鉄摂取が不足している.プレコンセプションケアとして,鉄摂取を日常から心がけ,やせ,貧血の既往などの場合は妊婦貧血のリスクがあると考え,食事摂取からの鉄補充だけでなくサプリメントも有効活用するように指導する.妊娠中期・後期では1日あたり鉄20mgの摂取が推奨されている.
●鉄剤投与は少なくともHb濃度10.0g/dL未満では開始する.鉄剤に多く出現する消化器症状,特に嘔気・嘔吐は第二鉄製剤が少ない.消化器症状で内服困難,急速に貧血を改善したい場合に静注鉄剤を用いる.鉄剤投与は炎症がある場合は効果が低く,輸血後では鉄過剰となる可能性があるので注意を要する.
参考文献
1)日本産科婦人科学会(編・監修):産科婦人科用語集・用語解説集,改訂第4版.日本産科婦人科学会,2008
2)McLean E, et al : Worldwide prevalence of anaemia, WHO Vitamin and Mineral Nutrition Information System, 1993-2005. Public Health Nutr 12 : 444-454, 2009
3)Pavord S, et al : UK guidelines on the management of iron deficiency in pregnancy. Br J Haematol 156 : 588-600, 2012
4)Kaneshige E : Serum ferritin as an assessment of iron stores and other hematologic parameters during pregnancy. Obstet Gynecol 57 : 238-242, 1981
5)日本鉄バイオサイエンス学会治療指針作成委員会(編):鉄剤の適正使用による貧血治療指針,改訂(第3版).響文社,2015
6)Reveiz L, et al : Treatments for iron-deficiency anaemia in pregnancy. Cochrane Database Syst Rev 18 : CD003094, 2007
7)Komatsu N, et al : Efficacy and safety of ferric citrate hydrate compared with sodium ferrous citrate in Japanese patients with iron deficiency anemia : a randomized, double-blind, phase 3 non-inferiority study. Int J Hematol 114 : 8-17, 2021
掲載誌情報