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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科77巻1号

2023年01月発行

雑誌目次

合併増大号 今月の臨床 最善で最新の産科麻酔診療をめざして

著者: 照井克生

ページ範囲:P.5 - P.5

 本誌では2017年に「産科麻酔パーフェクトガイド」を企画したところ,多くの読者にご好評をいただいた.その年に硬膜外無痛分娩による母体死亡のマスコミ報道が続いたのは記憶に新しい.このような報道にもかかわらず,硬膜外無痛分娩を受ける女性が増加し,硬膜外無痛分娩を実施し始める施設も着実に増えている.このような現状に鑑みて,硬膜外無痛分娩の安全性を高める情報提供は必須である.そしてこの5年間にも,産科麻酔診療に関連する複数のガイドラインや診療指針,国際コンセンサスが発表された.前回特集をアップデートする必要性を感じたため,「最新」の情報提供を目的として本特集を企画した.

 産科麻酔の臨床は,硬膜外無痛分娩と帝王切開術の麻酔にとどまるものではなく,妊娠前の不妊治療の麻酔に始まり,子宮内容除去術,頸管縫縮術,妊娠中の非産科手術などの麻酔も対象となる.妊娠中の手術では,その時期に応じた母体と胎児への考慮が求められる.本特集では,それらの産科麻酔の広い領域を網羅し,最新の知見を紹介した.

妊娠前の麻酔

不妊治療の麻酔

著者: 渡辺楓

ページ範囲:P.6 - P.13

●採卵は通常日帰りで行われる処置であり,麻酔法には安全性と術後の速やかな回復が求められる.安全のため十分な術前管理を行い,緊急時のバックアップ体制を構築する必要がある.

●麻酔方法は鎮静,全身麻酔,区域麻酔が行われ,適切に管理すれば患者満足度や妊娠成功率はどの麻酔法も同等といえる.麻酔に使用する薬剤が卵子へ与える影響を考慮する.

●術後は出血,疼痛,嘔気などの合併症に注意を払い,バイタルサインの安定と麻酔からの回復を確認する.嘔気予防とマルチモーダル鎮痛を行うことが望ましい.

妊娠初期の麻酔

子宮内容除去術

著者: 吉冨智幸

ページ範囲:P.14 - P.18

●臨床的に確認された妊娠の約15%が流産に至るとされており,流産への対応は産婦人科診療において必須のものである.

●日帰り手術で行うという特殊性から,よりいっそうの安全対策,システム作りが重要となる.

●産婦人科の知識・技術のみならず,麻酔を行ううえでの知識や技術を必須とし,安全確保のためには産婦人科・麻酔科どちらの修練も必要である.

異所性妊娠手術

著者: 石川源

ページ範囲:P.19 - P.24

●異所性妊娠のほとんどは卵管妊娠で,近年では破裂前の無症状の時期に発見される症例が増えており,腹腔鏡手術による治療が主流となっている.

●麻酔においては,腹腔鏡手術の一般的注意のほか,バソプレシン使用例では平滑筋収縮作用や抗利尿作用などによる副作用に注意する.

●未破裂症例に対する手術が主流になっているが,不意に卵管破裂をきたし急速大量出血からショックに陥る場合もあるため,異所性妊娠は妊産婦死亡に至る疾患であると認識して対応する.

妊娠中期・末期の麻酔

妊娠中の腹腔鏡手術

著者: 紀之本茜

ページ範囲:P.25 - P.29

●妊娠中であっても母体に必要な手術は必要な時期に行うべきであり,適応があれば腹腔鏡手術も可能である.

●妊娠中の腹腔鏡手術では特に母体の血圧,PaO2,PaCO2(ETCO2),気腹圧の管理を適切に行う必要がある.

●術後鎮痛はNSAIDsを避け,区域麻酔やアセトアミノフェン,フェンタニルIV-PCAなどmultimodal analgesiaを考慮する.

頸管縫縮術

著者: 杉田道子

ページ範囲:P.30 - P.34

●治療時期や頸管の状態により予防的頸管縫縮術,治療的頸管縫縮術,緊急頸管縫縮術に分類される.

●適切かつ十分な鎮痛を図り,低血圧やそれに伴う嘔気嘔吐による腹腔内圧・子宮内圧の上昇は絶対に避けなければならない.

●特に胎胞膨隆例では,産科医とのコミュニケーションが重要である.状況に応じて術中体位,麻酔薬,子宮弛緩薬を確認する.

胎児治療の麻酔

著者: 大橋夕樹

ページ範囲:P.35 - P.40

●胎児治療では治療の侵襲度に合わせた胎児,母体それぞれの麻酔を安全に提供する必要がある.

●胎児治療の麻酔は確立されていないが,母体,胎児の循環動態の低下を回避し安全な麻酔を提供するための麻酔方法が提案されている.

●胎児治療中はどのような侵襲度の治療においても,さまざまな要因で胎児徐脈の可能性があるため,胎児心拍の評価や蘇生の準備が重要となる場合がある.

分娩時の麻酔―帝王切開術の麻酔

帝王切開術における麻酔法の選択

著者: 照井克生

ページ範囲:P.41 - P.47

●帝王切開術の麻酔は,母体安全性・児への影響の少なさ・出産の記憶に有利な脊髄幹麻酔(脊髄くも膜下麻酔,硬膜外麻酔)が第一選択となる.

●全身麻酔が必要となるのは,①超緊急,②脊髄幹麻酔が禁忌,③脊髄幹麻酔が不成功・不十分(手技失敗,麻酔の広がり不足,作用持続時間不足など)の場合である.

●脊髄幹麻酔時の安易な鎮静や鎮痛薬追加は,母体の呼吸停止や誤嚥,気道確保困難により母体死亡につながりうる.

区域麻酔の標準的実施法

著者: 伊藤真理子 ,   川真田樹人

ページ範囲:P.48 - P.53

●帝王切開術の麻酔方法としての区域麻酔は,全身麻酔による母児の重篤な合併症を回避し,術中術後の適切な鎮痛に重要な役割を果たす.

●妊娠高血圧腎症やHELLP症候群など,血小板減少や血小板機能障害を伴う病態では,抗凝固療法併用による硬膜外血腫のリスクに注意する.

●区域麻酔による重大な合併症の早期発見のためには,術後の呼吸状態や神経症状の観察,評価が重要である.

区域麻酔中に痛みを訴えた際の対応

著者: 鹿原史寿子

ページ範囲:P.54 - P.58

●帝王切開中の痛みや不快感は妊婦にとって辛い経験であり,産後の精神状態に悪影響を与える可能性があるため,適切な対処が必要である.

●対処法は「緊急性」と「手術開始前か後か」を考慮して全身麻酔,区域麻酔の再試行,鎮痛薬投与,浸潤麻酔などを選択するが,患者の意思も尊重されるべきである.

●区域麻酔中の痛みに対し安易に鎮静薬を投与すると,不穏や興奮,過鎮静や呼吸抑制によって危機的状況に陥る可能性がある.

全身麻酔法と気道確保困難の対応

著者: 小松明日香 ,   重松ロカテッリ万里恵 ,   河野崇

ページ範囲:P.59 - P.64

●妊婦の生理学的な変化により,妊婦は非妊婦と比較して,周術期における気道合併症のリスクが高くなる.

●全身麻酔下帝王切開術を安全に実施するためには,適切な術前評価,準備,手術チーム間の情報共有が重要である.

●気道確保困難が生じた場合は,OAA/DAS Obstetric Airway Guideline 2015のアルゴリズムに基づいて対応する.

局所浸潤麻酔法

著者: 松井尚彦

ページ範囲:P.65 - P.69

●妊婦の頭側に看護師がついて妊婦の精神的支えになってもらう.開腹まで妊婦が意識ある状態で処置を行うため,不快感や圧力を感じると説明する.

●使用する局所麻酔薬は濃度が薄く即効性があるもの(0.5%キシロカイン®など)を使用する.また,局注前に必ず吸引テストを行い,血液の逆流がないことをその都度確認する.

●局所麻酔薬中毒には十分注意し,早期発見と治療法について熟知しておく.脂肪製剤(イントラリポス®)は常備しておく.

産科病態と麻酔上の考慮点

著者: 藤田那恵

ページ範囲:P.70 - P.78

●妊娠高血圧症候群は,全身性の血管内皮障害と血管攣縮による多臓器疾患である.急激に困難気道や凝固障害が悪化するので,迅速で的確なリスク評価による麻酔管理が必要である.

●前置癒着胎盤は,大量出血リスクの高い疾患である.時間的余裕があるうちの多職種による情報共有と綿密な計画が出血への備えと安全な管理へつながる.

●常位胎盤早期剝離は,突然発症し,母児ともに一刻を争うことも多い疾患である.迅速対応できるよう,常時から緊急度に応じた帝王切開対応を多部門でシミュレートししておく.

帝王切開・経腟分娩後の疼痛管理

著者: 上村友二 ,   田中基

ページ範囲:P.79 - P.86

●帝王切開・経腟分娩後は,強い疼痛が継続するため身体機能の回復の遅れや産後うつのリスクを上昇させ,育児にも悪影響を与える可能性がある.

●2021年に脊髄幹麻酔で施行した選択的帝王切開の術後鎮痛に関するガイドライン(PROSPECTガイドライン)が改訂された.

●出産後の早期回復を目指した鎮痛やオンデマンド鎮痛など,新たなアプローチが試みられはじめている.

術中悪心嘔吐・術後悪心嘔吐の予防と治療

著者: 杉山貴康

ページ範囲:P.87 - P.93

●術中,術後の嘔気嘔吐は術後のリカバリーに大きな影響を与える.

●術中,術後の嘔気嘔吐に関するさまざまなトリガーを理解し,多角的にアプローチすることでリスクを最小限にすることができる.

Enhance Recovery After Surgery

著者: 松田祐典

ページ範囲:P.94 - P.102

●術後回復力強化(ERAS)は,患者アウトカム改善を目的とするケア・バンドルである.

●帝王切開におけるERAS実行には,術後鎮痛改善,入院期間短縮,医療コスト削減,患者満足度向上など,さまざまなメリットがある.

●患者アウトカムを改善するには,Plan-Do-Study/Check-Act(PDSA or PDCA)サイクルを回しながら,チームで取り組む必要がある.

分娩時の麻酔―硬膜外無痛分娩

硬膜外無痛分娩の実際

著者: 田辺瀬良美

ページ範囲:P.103 - P.110

●無痛分娩の目標は,主に脊髄幹鎮痛法を用いて「良好な鎮痛を提供し,分娩を妨げず,母児ともに安全な分娩を達成する」ことである.

●無痛分娩の脊髄幹鎮痛法で最も重要なのは「緊急帝王切開の麻酔に使用できる硬膜外カテーテルを留置する」ことである.

●安全で質の高い無痛分娩を実施するためには,麻酔科医,産科医,助産師の良好なコミュニケーションと,急変に対応できる体制の確立が重要である.

重篤な麻酔合併症の予防と治療

著者: 若田竜一 ,   笠井馨美

ページ範囲:P.111 - P.117

●局所麻酔薬中毒と高位神経幹麻酔は,母体死亡や胎児死亡という重篤な結果に繋がる麻酔合併症である.

●硬膜外カテーテルがくも膜下腔や血管内に迷入する可能性は常に存在する.ボーラス投与前に必ず吸引試験を行い,3〜5mLずつ分割して薬液の投与を行う.

●合併症を認めた際には直ちに局所麻酔薬の投与を中止しバイタルサインを確認する.局所麻酔薬中毒に対しては20%脂肪製剤の投与も有効である.

硬膜穿刺後頭痛の予防と治療

著者: 石川慎一

ページ範囲:P.118 - P.126

●硬膜穿刺後頭痛は,硬膜穿刺後に起こる脳脊髄液漏出が原因である.臥床安静と補液によって1週間以内に軽快することが多い.頭痛の再燃や増強時は鑑別診断を含めた精査を検討する.

●無痛分娩などの硬膜外麻酔手技に伴う“不意の硬膜穿刺”では,漏出の程度が大きく頭蓋内硬膜下血腫を合併しやすいため注意が必要である.硬膜外自家血注入治療が必須となることが多い.

●遷延する硬膜穿刺後頭痛が慢性頭痛や産後うつの原因となる可能性が指摘されている.説明と同意を含めた患者教育と,“産後の肥立ちが悪い”として見逃さないことが重要である.

産後神経障害の評価と治療

著者: 佐藤聖子 ,   秋吉浩三郎

ページ範囲:P.127 - P.132

●産後の神経障害は分娩時の神経の圧迫や牽引が主な原因であるが,予後は良好であり,数日から半年程度で改善することが多い.

●背部痛や運動・感覚神経障害が急激に悪化する場合には,硬膜外血腫や感染症を疑い,緊急MRIを施行し迅速に対応する.

●分娩施行時に区域麻酔を施行する場合には,本人・家族に神経障害のリスクを十分に説明する.

●予防が重要であり,適切な手技を心がける.

硬膜外鎮痛と産後うつ・母乳哺育

著者: 秋永智永子

ページ範囲:P.133 - P.137

●硬膜外無痛分娩の産後うつに対する影響はいまだ明らかではない.

●硬膜外無痛分娩の母乳哺育に対する影響はいまだ明らかではない.

●母乳哺育困難が予想される患者に対しては,より注意深いサポートが必要である.

硬膜外鎮痛による児の長期的影響

著者: 中畑克俊

ページ範囲:P.138 - P.144

●脊髄幹麻酔は,児の学習障害のリスクを増加させない.

●分娩時の硬膜外鎮痛は,出生後の児の発達に悪影響を及ぼさない.

●硬膜外無痛分娩と自閉スペクトラム症との関係を示唆する報告が話題となっているが,これを支持する強いエビデンスはない.

硬膜外無痛分娩の安全性向上のためのJALAの活動

著者: 海野信也

ページ範囲:P.145 - P.155

●無痛分娩は妊産婦自身の自由な選択に基づいて実施されるものであり,リスク・ベネフィットに関する適切かつ具体的な情報提供を前提とした文書による同意取得が重要である.

●JALAは,安全な無痛分娩が適切に提供されるために必要で,整備不十分な医療機能を社会実装することをその任務としている.

●すべての無痛分娩取扱施設には,特別研究班提言を前提とした診療体制の整備が求められている.

分娩時の麻酔―その他の産痛緩和法

自己管理鎮痛法(IV-PCA)

著者: 佐藤正規

ページ範囲:P.156 - P.161

●産痛緩和方法としては硬膜外麻酔が王道であるが,適応外かつ産痛緩和を希望する妊婦に対して,オプションとして別の鎮痛緩和法を提供する体制を構築しておくよい.

●無痛分娩を行っている施設でも,IV-PCAによる無痛分娩を行うことは年に数回ほどと稀であり,施設ごとに分娩管理体制や投薬プロトコル,患者モニタリングマニュアルなどを決める必要がある.

●重篤な合併症として,母体に呼吸停止・心停止の報告がなされており,助産師(または医師・看護師などの医療従事者)の常時1対1の安全管理体制が必須である.

神経ブロック

著者: 正岡駿 ,   竹田純

ページ範囲:P.162 - P.166

●神経ブロックは子宮内容除去術や子宮頸管拡張,分娩時など産婦人科的な処置に有用である.

●傍頸管ブロックは1%リドカインを2〜2.5mLずつ,2,4,8,10時の4か所に,深さ25〜30mmに注入する.

●陰部神経ブロックは,坐骨棘から尾側約2cm程度のところから坐骨棘の裏側を狙って,1%リドカインを左右10mLずつ注入する.

●神経ブロックでは局所麻酔中毒,薬剤アレルギー,神経損傷,血管損傷に注意する必要がある.

妊婦の疼痛緩和法

妊婦のペインクリニック

著者: 山口重樹 ,   山中恵里子 ,   木村嘉之

ページ範囲:P.167 - P.175

●妊婦が分娩に関連する痛み以外の痛みを自覚することは稀でなく,不適切な痛みの管理は妊娠継続に影響を及ぼす.

●妊婦が自覚する痛みの多くは,生活改善,理学療法,インターベンション治療などの非薬物療法によって管理されるべきで,管理可能でもある.

●妊婦の自覚する痛みの緩和のための薬物療法では,アセトアミノフェンを第一選択とする.

●アセトアミノフェン以外の薬の選択は,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限定する.

妊産婦急変対応

アナフィラキシー

著者: 佐藤英恵 ,   岩崎肇

ページ範囲:P.176 - P.180

●母体のアナフィラキシーは胎児の危機である.

●羊水塞栓症との鑑別が必要である.

●アナフィラキシーの対応は通常どおり行えばよい.

産科危機的出血

著者: 坊垣昌彦

ページ範囲:P.181 - P.186

●大量出血は依然として妊産婦死亡の主要な原因である.出血リスクを事前に評価しておき,早めに対応することで危機的出血状態に陥らないようにすることが最重要である.

●2010年に作成された「産科危機的出血への対応ガイドライン」は周産期医療の進歩に即して2017年と2022年に「産科危機的出血への対応指針」として改定されている.

●産科危機的出血の発生時に適切に対応できるように「産科危機的出血への対応指針」を参考に各施設であらかじめシミュレーションをしておくことが望ましい.

塞栓症

著者: 浅田雅子 ,   﨑村正太郎 ,   山浦健

ページ範囲:P.187 - P.192

●周産期の静脈血栓塞栓症はその予防が重要であり,発症を疑った場合は診断を進めるとともに呼吸・循環管理を並行して行う必要がある.

●破水後より生じた分娩中の急変時は羊水塞栓症を鑑別し,マンパワーを確保するとともに迅速な心肺蘇生,呼吸・循環管理,凝固因子を含めた輸血管理が重要となる.

●帝王切開は空気塞栓を発症するリスクが高く,術中に胸部絞扼感や息切れ,SpO2低下などにより空気塞栓症を疑った場合は体位変換や輸液負荷よる循環血液量の適正化を行う.

妊産婦の心肺蘇生

著者: 木村貴一 ,   金澤伴幸 ,   森松博史

ページ範囲:P.193 - P.199

●妊産婦の心肺蘇生は,一般成人に対する心肺蘇生法を基本とするが,妊産婦特有の生理的,解剖学的変化を踏まえたうえで実施する必要がある.

●妊産婦は仰臥位での子宮による大血管圧迫や気道確保困難リスクの上昇など,心肺蘇生において不利な条件が付加されている.

●心肺蘇生中の子宮左方移動,死戦期帝王切開など,妊産婦特有の事項について,スタッフに対する教育,関連科の意思統一,実施のための綿密なシミュレーションが必要である.

FOCUS 〔シリーズ〕産婦人科と「働き方改革」【第5回】

医療提供体制をリフォームする方法

著者: 岩瀬明 ,   日下田大輔 ,   北原慈和

ページ範囲:P.200 - P.204

●医療提供体制のリフォームには,各ステージ・範囲ごとの意識共有が必要である.

●医師の働き方改革への対応以外に,各地域の特性を含めた議論を包括的に行う.

●よりスムースな分娩施設の集約化には行政との連携が不可欠である.

症例

21水酸化酵素欠損症合併妊娠の2例

著者: 後藤美希 ,   竹入洋太郎 ,   今井志織 ,   大村美穂 ,   神野雄一 ,   竹内真 ,   吉田光代 ,   矢野倫子 ,   東梅久子 ,   有本貴英 ,   伊藤純子

ページ範囲:P.205 - P.209

▶要旨

21水酸化酵素欠損症(21-OHD)の女性は妊娠出産率が低いといわれているが,自然妊娠して特に大きな合併症なく分娩に至った21-OHD合併の2症例3分娩を経験した.幼少期から成長に合わせてホルモンコントロールを行い,成長の時期に合わせて家族と本人に疾患に対する適切な情報提供,カウンセリングを施行し,妊娠中と分娩前後に細かなホルモン調整を行うことで良好な妊娠分娩経過が得られた.

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目次

ページ範囲:P.2 - P.3

次号予告・奥付

ページ範囲:P.212 - P.212

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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