臨床婦人科産科77巻11号

2023年11月発行

今月の臨床 胎児心臓を診る―この超音波所見を見逃すな！

四腔断面異常から診断できる先天性心疾患

総肺静脈還流異常症

著者： 石戸博隆¹

所属機関： ¹埼玉医科大学総合医療センター小児科小児循環器部門

ページ範囲：P.1092 - P.1098

文献概要

●胎児診断は難しいとされているが，「正常な肺静脈還流はあるか」「もしかしたら本疾患ではないか」と疑いながら見れば十分に発見可能である．

●スクリーニングの際には，「左房にツノが生えた所見」はあるか，左房後壁に接する空間がないか，左房後壁と下行大動脈との距離は遠くないか，の3点に着目すると見落としが少ない．

●治療方針および治療必要時期の推定のためには，垂直静脈の還流部位の違い，および肺静脈狭窄の有無が非常に重要である．

参考文献

1）保土田健太郎，他 : 総肺静脈還流異常．日本小児循環器学会（編） : 小児・成育循環器学．pp461-464，診断と治療社，2018

2）Darling RC, et al : Total pulmonary venous drainage into the right side of the heart. Lab Invest 6 : 44, 1957

3）Kawazu Y, et al : ‘Post-LA space index’ as a potential novel marker for the prenatal diagnosis of isolated total anomalous pulmonary venous connection. Ultrasound Obstet Gynecol 44 : 682-687, 2014

4）Ishido H, et al : Re : ‘Post-LA space index’ as a potential novel marker for the prenatal diagnosis of isolated total anomalous pulmonary venous connection. Ultrasound Obstet Gynecol 46 : 747-748, 2015

5）川瀧元良，他 : 総肺静脈還流異常症．川瀧元良（編） : 胎児エコーのすべて．pp243-256，メジカルビュー社，2017