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今月の臨床 胎児心臓を診る―この超音波所見を見逃すな! 大血管断面異常から診断できる先天性心疾患
完全大血管転位症
著者: 石井陽一郎1
所属機関: 1大阪母子医療センター小児循環器科
ページ範囲:P.1129 - P.1135
文献購入ページに移動●完全大血管転位症(TGA)は,妊娠第5週に大動脈と肺動脈の分割時に形成される,円錐動脈幹中隔のらせん形成不全により発生する.先天性心疾患(CHD)の2%を占めるチアノーゼ性CHDである.
●胎児期の診断のために,①右心室から大動脈が,左心室から肺動脈が起始することの確認とともに,②心室中隔欠損(VSD)の有無,③肺動脈狭窄の有無による病型分類の確認が必要である.
●出生直後よりチアノーゼ・呼吸困難を生じるCHDであるため,重症度分類のために,①卵円孔の狭窄・閉鎖の有無,②動脈管の狭窄・閉鎖の有無を評価する必要がある.これらは妊娠経過中に進行する可能性があるため,経時的に評価する必要がある.
●胎児期の診断のために,①右心室から大動脈が,左心室から肺動脈が起始することの確認とともに,②心室中隔欠損(VSD)の有無,③肺動脈狭窄の有無による病型分類の確認が必要である.
●出生直後よりチアノーゼ・呼吸困難を生じるCHDであるため,重症度分類のために,①卵円孔の狭窄・閉鎖の有無,②動脈管の狭窄・閉鎖の有無を評価する必要がある.これらは妊娠経過中に進行する可能性があるため,経時的に評価する必要がある.
参考文献
1)Ishii, Y et al : ‘I-shaped’ sign in the upper mediastinum : a novel potential marker for antenatal diagnosis of d-transposition of the great arteries. Ultrasound Obstet Gynecol 41 : 667-671, 2013
2)Maeno YV, et al : Prenatal features of ductus arteriosus constriction and restrictive foramen ovale in d-transposition of the great arteries. Circulation 9 : 1209-1214, 1999
3)Gottschalk I, et al : D-Transposition of the great arteries with restrictive foramen ovale in the fetus : the dilemma of predicting the need for postnatal urgent balloon atrial septostomy. Arch Gynecol Obstet, 2023 (in press)
4)Haligheri, G et al : Prenatal delineation of coronary anatomy in dextro-transposition of great arteries. J Cardiovasc Echogr 31 : 171-174, 2021
5)日本循環器学会,他(班長:市田蕗子) : 成人先天性心疾患診療ガイドライン(2017年改訂版).pp95-99,2018
6)日本循環器学会,他(班長:大内秀雄,河田政明) : 先天性心疾患術後遠隔期の管理・侵襲的治療に関するガイドライン(2022年改訂版).pp89-91,2022
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