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雑誌目次

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臨床婦人科産科77巻9号

2023年09月発行

雑誌目次

今月の臨床 専攻医必携! 免疫チェックポイント阻害薬が変える子宮がん診療 総論

免疫チェックポイント阻害薬の作用機序

著者: 小笠原仁子 ,   長谷川幸清

ページ範囲:P.854 - P.859

●がん細胞は非自己として生体内で認識され,T細胞などの免疫細胞ががん細胞を攻撃する仕組みがある.この腫瘍免疫応答の仕組みから逃避できたがん細胞が増殖する.

●免疫チェックポイント分子はT細胞に発現し,そのシグナルはT細胞自体の活性を抑制し,結果として腫瘍は免疫応答から逃避する.

●免疫チェックポイント阻害薬は免疫チェックポイント分子あるいはそのリガンドに結合する抗体であり,抑制性のシグナルを阻害することでT細胞が活性化し,腫瘍を攻撃する免疫システムを再構築する.

子宮悪性腫瘍に対する免疫チェックポイント阻害薬の適応の変遷

著者: 山本香澄 ,   西川忠曉 ,   米盛勧

ページ範囲:P.860 - P.866

●MSI-HighまたはTMB-Highを有する婦人科がんに対してペムブロリズマブが有効である.

●2021年12月に,プラチナ製剤を含むがん化学療法後に増悪した進行・再発子宮体がんに対して,マイクロサテライトの安定性に関係なく,ペムブロリズマブとレンバチニブの併用療法が保険適用となった.

●2022年9月に,進行・再発子宮頸がんの一次治療として,殺細胞性抗がん薬±血管新生阻害薬とペムブロリズマブの併用・維持療法が保険適用となった.

子宮頸がん編

抗がん薬とペムブロリズマブの併用療法の適応と有効性

著者: 利部正裕 ,   馬場長

ページ範囲:P.868 - P.874

●子宮頸がんに対して本邦初の免疫チェックポイント阻害薬の適応が保険承認された.

●化学療法既往がない再発および切除不能患者に対して,抗がん薬とペムブロリズマブの併用療法の効果が証明された.

●化学療法既往のある患者に対する抗がん薬・ペムブロリズマブの併用療法の有効性は不明である.

ペムブロリズマブ使用時のPD-L1検査の意義・有効性

著者: 濵西潤三 ,   万代昌紀

ページ範囲:P.876 - P.881

●子宮頸がん症例の34〜96%でPD-L1発現が報告されている.

●子宮頸がん組織のPD-L1発現細胞率(CPS)は,ペムブロリズマブの適正使用に役立つ.

●CPSは,全腫瘍細胞数中のPD-L1陽性腫瘍細胞とPD-L1陽性免疫細胞の割合から算出する.

抗がん薬併用ペムブロリズマブへのベバシズマブ併用の有効性

著者: 太田剛

ページ範囲:P.882 - P.889

●ペムブロリズマブは,活性化T細胞上に発現するPD-1受容体を阻害することで,がん細胞の免疫逃避機能を解除する.

●ベバシズマブは,がん微小環境を免疫抑制状態に保つVEGFを阻害することで,がん細胞を攻撃するT細胞を活性化させる.

●ペムブロリズマブとベバシズマブを併用投与することで,免疫逃避機構と免疫抑制状態が解除され,抗腫瘍効果が高まる.

●進行・再発子宮頸がんに対してペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブは,従来の治療と比較して予後を改善した.

ペムブロリズマブ施行時の有害事象対策

著者: 池内香子 ,   松本光史

ページ範囲:P.890 - P.897

●免疫関連有害事象(irAE)を意識した事前の検査オーダー,コンサルト時期やコンサルト前の検査など,他科との相談を含めた事前の準備がきわめて重要である.

●irAEの症状は多彩であるが,発症を早期認知するために,主要な症状を知っておくべきである.また,軽度の変化にも注意する必要がある.

●多臓器にirAEが発現する可能性があり,致命的になりうる.他科とも連携し,迅速な対応が必要である.

子宮体がん編

高頻度マイクロサテライト不安定性によるぺムブロリズマブ単剤のコンパニオン診断とその適応

著者: 田中良道

ページ範囲:P.898 - P.902

●マイクロサテライト不安定性(MSI)はミスマッチ修復遺伝子(MLH1MSH2MSH6PMS2)の機能欠損により生じ,子宮体がんではおよそ17%に認められると報告されている.

●免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーとなりうるMSI-high,TMB-high,PD-L1発現の相互関係の理解も重要である.

●免疫チェックポイント阻害薬の使用頻度は今後ますます増加することが予想される.

腫瘍遺伝子変異量高スコアによるペムブロリズマブ単剤のコンパニオン診断とその適応

著者: 清水裕介 ,   梶山広明

ページ範囲:P.904 - P.911

●FoundationOne® CDxがんゲノムプロファイリングがペムブロリズマブのコンパニオン診断薬として承認された.

●化学療法後に増悪したTMB-Highを有する進行・再発の固形がん(標準的な治療が困難な場合に限る)に対して,ペムブロリズマブが適応承認された.

●ペムブロリズマブをはじめ,子宮体がんの診療が大きく変わりつづけるなか,常に情報を更新し最良の治療方針を検討しつづけることが重要である.

分子標的薬レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法の適応

著者: 松宮寛子 ,   渡利英道

ページ範囲:P.912 - P.916

●進行・再発子宮体がんに対するレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法が保険収載された.

●レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法は,MMRステータスにかかわらず全生存期間と無増悪生存期間を延長した.

●MSI検査は,コンパニオン診断としてではなく,レンバチニブとペムブロリズマブ併用療法の有効性評価の指標として有用である可能性がある.

分子標的薬レンバチニブとペムブロリズマブの併用療法の有害事象対策

著者: 西川忠曉

ページ範囲:P.917 - P.923

●子宮体がん(悪性上皮性腫瘍)を対象としたKEYNOTE-775/309試験で,マルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブと免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブの併用療法の有効性が示された.

●マルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブの有害事象と免疫チェックポイント阻害薬であるペムブロリズマブの有害事象が混在する治療法であり,各有害事象を正確に理解することがポイントとなる.

●子宮体がんに対するプラチナ化学療法後に有効性を示した治療法であり,その有効性を最大限に得るためにも有害事象対策が重要である.

今後の展望―注目される臨床試験など

著者: 西尾真

ページ範囲:P.924 - P.929

●GY018試験とRUBY試験の良好な結果を受け,一次治療にも免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)の導入が見込まれる.

●また,ICIsとPARP阻害薬を併用した試験結果も期待される.

●さらにdMMR/MSI-highを対象として,化学療法vs. ICIsの試験も行われている.

症例

腹腔内大量出血を伴う卵巣出血に対して血管塞栓術にて止血を得た1例

著者: 春石真菜 ,   廣瀬雅紀 ,   鈴木利直 ,   岡安慶太 ,   竹原直希 ,   安部真希子 ,   木村博昭

ページ範囲:P.931 - P.936

▶要旨

 卵巣出血は,結紮や電気メス凝固などによる止血が必要となることがある.今回,腹腔内大量出血をきたした卵巣出血に対して血管塞栓術で止血を得た1例を経験した.

 症例は27歳,G3P0.性交渉後に腹痛を自覚したためA医院を受診したところ,腹腔内出血を疑われ,当院へ搬送となった.超音波検査で7cm大の右付属器腫瘤と上腹部へ及ぶ腹腔内液体貯留を認めた.造影CT検査で右付属器近傍に造影剤の血管外漏出像を認め,右卵巣出血による腹腔内出血を疑った.全身状態は安定しており,血管塞栓術による止血を図った.右卵巣動脈をゼラチンスポンジで塞栓し,止血を得た.術後経過は良好で,入院7日目に退院となった.超音波検査で右卵巣の排卵の有無を観察予定であったが,外来受診を自己中断された.

 腹腔内大量出血を伴う卵巣出血に対して,血管塞栓術を行うことで手術を回避できた.卵巣出血に対する血管塞栓術は開腹手術や腹腔鏡手術以外の治療の選択肢の1つとなりうる.

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目次

ページ範囲:P.850 - P.851

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.938 - P.938

バックナンバー

ページ範囲:P.939 - P.939

次号予告・奥付

ページ範囲:P.942 - P.942

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

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69巻4号(2015年4月発行)

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今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

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