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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科78巻10号

2024年10月発行

雑誌目次

今月の臨床 産科エコー 基本の“キ” 機器の基本操作

超音波機器の操作法―プローブ操作と画面設定

著者: 齊藤裕也

ページ範囲:P.862 - P.869

●プローブは母体腹壁に検者の手首を固定するように持つと安定するが,状況に応じて持ち方を変えて構わない.

●プローブ操作は,Sliding,Slicing,Rotating,Tilting,Rockingで表現し,客観性をもたせることを意識する.

●プリセットでも十分に綺麗な画像が得られることが多いが,超音波診断機の設定について理解しておくことが望ましい.

超音波機器の操作法―ドプラ法による胎児評価

著者: 長﨑澄人

ページ範囲:P.870 - P.876

●ISUOG,FIGOのFGRの診断基準には臍帯動脈・中大脳動脈・子宮動脈の血流評価が組み込まれている.

●各種設定方法は必要ではあるため,一度は理解することが重要である.

●習うより慣れろであり,検査を重ねることで確実に会得できる技術である.

胎児エコー検査の進め方

ISUOGガイドラインでの胎児観察のタイミングとポイント

著者: 五島裕之 ,   落合大吾

ページ範囲:P.877 - P.884

●妊娠初期には,胎児心拍数や多胎妊娠の確認,正確な分娩予定日の確定,染色体異常のスクリーニング,主要な胎児構造異常の同定,早産や妊娠高血圧症候群のスクリーニングが行われる.

●妊娠中期のスクリーニングは,主に胎児の解剖学的評価のために行われ,多くの胎児奇形や異常はこの時期に同定することができる.

●妊娠後期では,妊娠中期の胎児評価に加え,前置胎盤や癒着胎盤,胎児発育異常,羊水量異常,ハイリスク妊娠における血流ドプラ波形の評価を含める.

妊娠初期の胎児形態評価の基本

著者: 長尾健 ,   末光徳匡

ページ範囲:P.886 - P.893

●妊娠11週0日から13週6日の時期の超音波検査で胎児形態異常の約4割が診断可能との報告があり,希望する妊婦には妊娠初期の胎児形態評価が提供されるべきである.

●早期に胎児形態異常を診断することは,夫婦へのよりよいカウンセリングにつながる可能性がある.

●妊娠初期の胎児形態評価で鮮明な画像を描出するには,超音波の環境を整えることが重要である.

部位別 : 胎児エコーのポイント

胎盤・羊水観察時のポイント

著者: 古谷菜摘

ページ範囲:P.894 - P.899

●胎盤は母児間での酸素などの運搬に関与しており,胎盤・臍帯の異常は,母児の予後に大きな影響を与える可能性があるため,妊娠中に胎盤・臍帯因子のスクリーニングを行う.

●胎盤・臍帯のスクリーニングでは,Bモードだけでは描出しづらい場合があり,適宜カラードプラを併用することで観察しやすくなる場合がある.

●羊水量の評価では,スクリーニング方法としてはMVPが用いられるが,AFIのほうが再現性が優れているとされているため,状況に応じて使い分けることが推奨される.

*本論文中,関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年10月末日まで).

胎児頭部の観察ポイント

著者: 山田拓馬

ページ範囲:P.900 - P.905

●頭蓋骨を評価する際には,形態,欠損の有無,輝度の3つのポイントを評価する.輝度の評価は時に困難であり,超音波プローブによる圧迫を加えて評価するとよい.

●頭蓋内を評価する際の3つの断面(transventricular plane,transthalamic plane,transcerebellar plane)を理解しよう.

●染色体異常や先天異常は頭蓋の異常が契機で発見されることがある.頭蓋の異常所見を見たら,全身の念入りな精査を行おう.

胎児心臓超音波検査の基本―観察法と正常心断面

著者: 高水藍

ページ範囲:P.906 - P.911

●左右同定の方法を固定する.同じ方向の心臓(正常症例)を多く観察することで違和感や異常を発見しやすくなる.

●基本断面(四腔断面,左右流出路,three vessel view,three vessel trachea view)の正確な描出を習慣づける.

●基本断面は静止画のみで捉えず,連続する動画の一断面と考える.Cine画像を活用する.

*本論文中,関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年10月末日まで).

胎児腹部の観察―正常腹部基準断面と異常所見の鑑別

著者: 紀平力

ページ範囲:P.912 - P.917

●胎児腹部スクリーニング画像を簡単に描出できる「エコープローブ操作方法」を身につけよう.

●まず,水平断面での観察を行い,次に矢状断面で観察しよう.

●胎児腹部動画を保存し,腹腔内を立体的に観察しよう.

*本論文中,関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年10月末日まで).

胎児腎臓の観察―正常腎臓と水腎症・囊胞性腎疾患

著者: 後藤未奈子

ページ範囲:P.919 - P.928

●胎児腎臓を観察するにあたり,正常構造や解剖学的位置を理解することが肝要である.

●胎児水腎症は妊娠中期スクリーニングで高頻度に検出されるが,生理的な腎盂拡大と病的な先天性水腎症を判別する必要がある.

●多囊胞性異形成腎(MCDK)は通常は無機能腎であり,両側性の場合には羊水過少による肺低形成のため,一般的に児の予後は不良である.

*本論文中,関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年10月末日まで).

胎児長管骨の観察時の工夫

著者: 室月淳

ページ範囲:P.929 - P.934

●胎児長管骨の超音波観察のときは,胎児期の骨の発達,特に長管骨のどの部分がすでに骨化していて,どの部分が成長軟骨でありまだ骨化していないかといった知識が必要である.

●骨と超音波は相性が悪く,実際に描出されている胎児大腿骨は,超音波ビームが入射している骨表面(骨膜に相当)の輪郭である.

●骨のX線診断学は確立しており,X線による診断的特徴を超音波画像でどの程度再現できるかがポイントである.

妊婦・産婦管理へのエコー活用法

妊娠中の子宮頸部評価の基本

著者: 林周作

ページ範囲:P.935 - P.941

●子宮頸管長計測は妊婦の排尿後に十分な観察時間をとって行い,過大評価や子宮頸管の動的変化の見逃しを避ける.

●子宮峡部が閉じている症例の子宮頸管長計測では,内子宮口測定点を頸管腺領域の上端に設定する.

●子宮頸管が屈曲している症例の子宮頸管長計測では,2直線法を用いると1直線法よりも実際の長さを反映した計測値が得られる.

分娩中の経会陰超音波検査の基本的手技と観察法

著者: 中山敏男

ページ範囲:P.942 - P.948

●経会陰超音波は非常に簡単で,侵襲がなく,客観性に優れた技術であり,より正確な分娩進行が評価できるツールとして分娩管理に欠かせないものとなってきている.

●産瘤が大きく出現している場合は,内診による下降の判断は非常に難しい.経会陰超音波による経時変化を客観的に比較することで,児頭の下降がより把握しやすくなる.

●回旋異常は正常分娩経過を逸脱する大きな要因になる.産瘤が大きい場合や泉門が触れない場合,疼痛により内診困難な場合,経会陰超音波を用いることで回旋を正確に判断できる.

*本論文中,関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年10月末日まで).

FOCUS 自律神経温存広汎子宮全摘出術②

膀胱子宮靱帯後層の解剖学と分離・切断手技

著者: 金内優典 ,   加藤達矢 ,   半田康 ,   小舘英明 ,   星信哉 ,   渡利英道 ,   櫻木範明

ページ範囲:P.950 - P.955

はじめに

 がん手術が安全に行われるためには,解剖学的知見と手術理論との間のギャップを埋める手術解剖学が必要である.近年,骨盤自律神経の解剖学的研究が進み,また未固定解剖体を用いた手術手技のシミュレーションによるトレーニングが子宮頸がん手術にも応用されている.しかし,解剖体における臓器間の位置関係は,臓器を牽引してカウンタートラクションにより臓器間の膜構造を緊張させて行う実際の手術とは異なる点に留意が必要である.また,実際の手術での出血リスクを解剖体で評価することも困難である.新しい手術手技を一般化するためには,術式の標準化,手術操作の定型化が必要である.

 本稿では,広汎子宮全摘出術における膀胱子宮靱帯後層(膀胱腟靱帯)の処理に焦点を絞り,実際の手術と未固定解剖体の検討に基づき子宮頸がんの手術解剖学の解説を試みる.

症例

月経時の発熱と腹痛を主訴に来院した家族性地中海熱の1症例

著者: 牛嶋順子 ,   宮本純孝

ページ範囲:P.956 - P.960

▶要旨

 家族性地中海熱(familiar Mediterranean fever : FMF)は周期性発熱と漿膜炎を主徴とする遺伝性自己炎症性疾患である.

 30歳・未経産の女性が,原因不明の繰り返す月経時の発熱・腹痛・前胸部痛と挙児希望を主訴に,産婦人科外来に紹介された.骨盤腹膜炎や子宮内膜症を疑う所見はなく,自己免疫性疾患や自己炎症性疾患の可能性を疑って総合内科へ紹介し,FMFと診断された.コルヒチン内服によってFMFの症状は消失した.症状消失後に不妊治療を行って,妊娠,正期産での分娩に至った.

 FMFの症状は,月経時に出現することが多く,骨盤腹膜炎や月経困難症の症状と類似しているため,診断のついていないFMFの患者が原因検索のために産婦人科を受診する可能性がある.短期間で自然軽快する発熱や腹痛が反復する場合には,FMFの可能性も念頭に置く必要がある.

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目次

ページ範囲:P.858 - P.859

読者アンケートのお願い

ページ範囲:P.949 - P.949

バックナンバー

ページ範囲:P.961 - P.961

次号予告・奥付

ページ範囲:P.964 - P.964

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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73巻10号(2019年10月発行)

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73巻9号(2019年9月発行)

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73巻6号(2019年6月発行)

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72巻7号(2018年7月発行)

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72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

今月の臨床 ホルモン補充療法ベストプラクティス─いつから始める? いつまで続ける? 何に注意する?

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71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

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今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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