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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科78巻12号

2024年12月発行

雑誌目次

今月の臨床 エネルギーデバイス アラカルト―知っておきたい使い方の留意点と技術革新

総論

Fundamental Use of Surgical Energy(FUSE)からみるエネルギーデバイス教育の重要性

著者: 渡邊祐介

ページ範囲:P.1070 - P.1075

●エネルギーデバイスは直感的に使用できるが,その原理など外科医の理解度は十分でなく,安全な手術の実施において重要な課題となっている.

●FUSEプログラムは,エネルギーデバイスの基本原理や有害事象の発生メカニズムについて体系的に学習するための包括的な教育プログラムである.

●デバイスの技術革新に伴い,デバイスに関する知識を深化させることが手術医療のさらなる発展において重要である.

電気メスによる切開と凝固の原理

著者: 山本泰弘

ページ範囲:P.1077 - P.1082

●電気メスの切開と凝固は,アクティブ電極からの通電や放電現象により発生した熱で細胞と組織が変化した結果,生じたものである.

●細胞と組織が熱によってどのような変化を起こすかを理解しておく.

●通電と放電現象の違いと,それに伴う注意事項を知ることが,安全な電気メスの使用の基本である.

モードの特性と使い分け

著者: 玉手雅人 ,   松浦基樹 ,   齋藤豪

ページ範囲:P.1083 - P.1090

●電気メスのモードと本体の使い分け : 電気メスの効果と性能は,モードと出力設定で変化するが,電気メスを接続する本体の種類によっても異なる.

●他の手術機器との使い分け,バイポーラ・アドバンスドバイポーラ・バイクランプの使い分け : 電気メス,バイポーラ,アドバンスドバイポーラ,超音波凝固切開装置の組み合わせは術式・手技・コストで考慮する.

●機械の特性を理解して,術者が自身の技量や手術スタイルに合わせてエネルギーデバイスを扱うことが重要と思われる.

各種デバイスの原理・有用性と使用上の注意点

ソフト凝固

著者: 棚瀬康仁

ページ範囲:P.1091 - P.1097

●ソフト凝固は,出力設定を上げても低電圧(200V未満)が維持され,放電が起こらず血管や組織を破綻させない,接触凝固に特化した無放電凝固モードである.

●原理としては,組織に電流が流れることでジュール熱が発生し,その結果,生じる比較的低温の蛋白変性によって止血効果を得る.

●ソフト凝固は有用できわめて汎用性の高いものであるが,その原理,特性を熟知して使用することが望ましく,万能ではないことを認識する必要がある.

バイクランプ

著者: 林茂徳

ページ範囲:P.1098 - P.1103

●バイクランプ(Erbe社)の種類,特徴,原理および一般的なバイポーラとの比較につき解説する.

●バイクランプはVIO3(Erbe社)というジェネレーターに接続して使用するため,VIO3のメカニズムにつき解説する.

●バイクランプを使用する場合,VIO3では2つの異なるモード(thermoSEAL/biCLAMP)から選択でき,それぞれに特徴があり,その点につき解説する.

シーリングデバイス

著者: 松浦基樹 ,   玉手雅人 ,   齋藤豪

ページ範囲:P.1104 - P.1111

●シーリングデバイスは直径7mmまでの血管や組織束がシール可能であり,超音波凝固切開装置より太い血管をシールすることができる.

●シーリングデバイスは高周波エネルギーを瞬時に供給して血管のシールを行うため,手術効率が向上するだけではなく,熱の拡散を極力抑えることで周囲の組織への影響を最小限に抑えることができる.

●外科医は各デバイスの原理や有用性・注意点などを習熟したうえで,これらのデバイスを使用するべきである.

超音波凝固切開装置を最大限に使いこなす

著者: 小堀宏之

ページ範囲:P.1113 - P.1120

●先端がファインな形状で止血力も高い超音波凝固切開装置は有用なデバイスである.

●使用直後は蓄熱しているため,取り扱いに留意する.

●切離部の状況に応じたトラクション管理により,より効果的な使用が可能となる.

超音波破砕吸引装置

著者: 髙橋伸卓

ページ範囲:P.1121 - P.1125

●超音波破砕吸引装置は組織選択性を有しており,血管や神経の温存が可能である.

●超音波破砕吸引装置はキャビテーションの現象を利用しており,操作を行うにはその原理を理解しておくことが重要である.

●超音波破砕吸引装置はさまざまな診療科で使用されている.各科で設定,使用するチップが異なることも知っておく必要がある.

水圧式ナイフ

著者: 小木曾聡 ,   石井隆道 ,   波多野悦朗

ページ範囲:P.1126 - P.1130

●水圧式ナイフは水流の圧力により組織を切開するデバイスで,熱を発生させず,高い組織選択性をもつことが特徴である.

●水圧式ナイフの組織破砕力を高めつつ,水しぶきの発生を避けるためには,対象組織のごく近傍にハンドピース先端のノズルを置くことが肝要である.ハンドピースは細かく動かさず,水流による組織破砕が進むのを適宜待ちながら剝離操作を進める.

●脈管や腫瘍被膜の損傷を避けて愛護的に剝離を行いたい場合に特に有用である.

応用

エネルギーデバイスで効果的に止血するためには

著者: 瓦林靖広

ページ範囲:P.1131 - P.1136

●エネルギーデバイスで止血する際は,放電凝固による炭化・乾燥や接触通電による蛋白変性など,どのような組織効果が適しているのかを考えて,モードや出力の設定,通電方法を使い分ける.

●止血する前に血液や滲出液は吸引したりガーゼで拭い取り,周囲の癒着や結合組織による引き攣れも解除しておく.

●エネルギーデバイスによる止血に拘らず,状況に応じてガーゼ圧迫や止血剤の使用も考慮する.

電気メス使用時の電極の形状による違い

著者: 羽田智則 ,   都築陽欧子 ,   大石博子

ページ範囲:P.1137 - P.1144

●モノポーラは電極のあて方で組織効果が変わる.切開時にはいかに電極から点で放電させて切開能を引き出すかがポイントであり,凝固は接触通電による白色凝固と非接触通電による放電凝固で現象が異なる.

●対象組織に対する先端電極の点・線・面でのあて方により組織効果が変わることを理解したうえで,自分の手術に適した先端電極の形状を選択する.

●エネルギーデバイスは熱によって生じる組織効果を利用した機器である.切開・凝固の反応を利用しつつ,常に熱損傷のリスクも考え,低出力・短時間使用の意識をもつ.

薬の臨床

Chemotherapy induced anemiaに対するカルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)の有効性に関する検討

著者: 川口龍二 ,   前花知果 ,   西川恭平 ,   福井陽介 ,   杉本澄美玲 ,   河原直紀 ,   岩井加奈 ,   山田有紀 ,   木村文則

ページ範囲:P.1147 - P.1152

▶要旨

 静注鉄剤であるカルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)のがん化学療法による貧血(chemotherapy induced anemia : CIA)に対する有効性について,後ろ向きに検討を行った.2023年9月から2024年1月までに当科で婦人科がんに対してがん化学療法を行い,貧血のためフェインジェクト®の投与を行った11例を対象として,フェインジェクト®最終投与から15日目までのヘモグロビン値の変化,予定の抗がん剤投与中の輸血の有無,抗がん剤の休薬・減量・延期の有無について,後ろ向きに検討を行った.フェインジェクト®投与群のヘモグロビン値の推移は,投与前7.6±0.6(Mean±SD)g/dL,投与8日目で7.7±0.9g/dL,投与15日目で8.4±1.1g/dLであり,投与8日目に比べ15日目で有意にヘモグロビン値は上昇した.輸血を要した症例は2例で,貧血のため抗がん剤の休薬・減量・延期を有した症例は1例のみであった.CIAに対してフェインジェクト®は有効な薬剤である可能性が示唆された.

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基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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78巻12号(2024年12月発行)

今月の臨床 エネルギーデバイス アラカルト―知っておきたい使い方の留意点と技術革新

78巻11号(2024年11月発行)

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今月の臨床 ―外来担当医として知っておきたい―婦人科腫瘍の卵巣機能・妊孕性温存療法

78巻8号(2024年8月発行)

今月の臨床 婦人科領域のホルモン治療―思春期から更年期まで

78巻7号(2024年7月発行)

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76巻7号(2022年7月発行)

今月の臨床 子宮内膜症の最新知識―この1冊で重要ポイントを網羅する

76巻6号(2022年6月発行)

今月の臨床 生殖医療・周産期にかかわる法と倫理―親子関係・医療制度・虐待をめぐって

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76巻3号(2022年4月発行)

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76巻2号(2022年3月発行)

今月の臨床 妊娠初期の経過異常とその対処―流産・異所性妊娠・絨毛性疾患の診断と治療

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73巻7号(2019年7月発行)

今月の臨床 卵巣刺激・排卵誘発のすべて―どんな症例に,どのように行うのか

73巻6号(2019年6月発行)

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今月の臨床 妊婦の腫瘍性疾患の管理―見つけたらどう対応するか

73巻4号(2019年4月発行)

増刊号 産婦人科救急・当直対応マニュアル

73巻3号(2019年4月発行)

今月の臨床 いまさら聞けない 体外受精法と胚培養の基礎知識

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今月の臨床 糖代謝異常合併妊娠のベストマネジメント─成因から管理法,母児の予後まで

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今月の臨床 スペシャリストに聞く 産婦人科でのアレルギー対応法

72巻7号(2018年7月発行)

今月の臨床 完全マスター! 妊娠高血圧症候群─PIHからHDPへ

72巻6号(2018年6月発行)

今月の臨床 がん免疫療法の新展開─「知らない」ではすまない今のトレンド

72巻5号(2018年5月発行)

今月の臨床 精子・卵子保存法の現在─「産む」選択肢をあきらめないために

72巻4号(2018年4月発行)

増刊号 産婦人科外来パーフェクトガイド─いまのトレンドを逃さずチェック!

72巻3号(2018年4月発行)

今月の臨床 ここが知りたい! 早産の予知・予防の最前線

72巻2号(2018年3月発行)

今月の臨床 ホルモン補充療法ベストプラクティス─いつから始める? いつまで続ける? 何に注意する?

72巻1号(2018年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 産婦人科感染症の診断・管理─その秘訣とピットフォール

71巻12号(2017年12月発行)

今月の臨床 あなたと患者を守る! 産婦人科診療に必要な法律・訴訟の知識

71巻11号(2017年11月発行)

今月の臨床 遺伝子診療の最前線─着床前,胎児から婦人科がんまで

71巻10号(2017年10月発行)

今月の臨床 最新! 婦人科がん薬物療法─化学療法薬から分子標的薬・免疫療法薬まで

71巻9号(2017年9月発行)

今月の臨床 着床不全・流産をいかに防ぐか─PGS時代の不妊・不育症診療ストラテジー

71巻8号(2017年8月発行)

今月の臨床 「産婦人科診療ガイドライン─産科編 2017」の新規項目と改正点

71巻7号(2017年7月発行)

今月の臨床 若年女性のスポーツ障害へのトータルヘルスケア─こんなときどうする?

71巻6号(2017年6月発行)

今月の臨床 周産期メンタルヘルスケアの最前線─ハイリスク妊産婦管理加算を見据えた対応をめざして

71巻5号(2017年5月発行)

今月の臨床 万能幹細胞・幹細胞とゲノム編集─再生医療の進歩が医療を変える

71巻4号(2017年4月発行)

増刊号 産婦人科画像診断トレーニング─この所見をどう読むか?

71巻3号(2017年4月発行)

今月の臨床 婦人科がん低侵襲治療の現状と展望〈特別付録web動画〉

71巻2号(2017年3月発行)

今月の臨床 産科麻酔パーフェクトガイド

71巻1号(2017年1月発行)

合併増大号 今月の臨床 性ステロイドホルモン研究の最前線と臨床応用

69巻12号(2015年12月発行)

今月の臨床 婦人科がん診療を支えるトータルマネジメント─各領域のエキスパートに聞く

69巻11号(2015年11月発行)

今月の臨床 婦人科腹腔鏡手術の進歩と“落とし穴”

69巻10号(2015年10月発行)

今月の臨床 婦人科疾患の妊娠・産褥期マネジメント

69巻9号(2015年9月発行)

今月の臨床 がん妊孕性温存治療の適応と注意点─腫瘍学と生殖医学の接点

69巻8号(2015年8月発行)

今月の臨床 体外受精治療の行方─問題点と将来展望

69巻7号(2015年7月発行)

今月の臨床 専攻医必読─基礎から学ぶ周産期超音波診断のポイント

69巻6号(2015年6月発行)

今月の臨床 産婦人科医必読─乳がん予防と検診Up to date

69巻5号(2015年5月発行)

今月の臨床 月経異常・不妊症の診断力を磨く

69巻4号(2015年4月発行)

増刊号 妊婦健診のすべて─週数別・大事なことを見逃さないためのチェックポイント

69巻3号(2015年4月発行)

今月の臨床 早産の予知・予防の新たな展開

69巻2号(2015年3月発行)

今月の臨床 総合診療における産婦人科医の役割─あらゆるライフステージにある女性へのヘルスケア

69巻1号(2015年1月発行)

今月の臨床 ゲノム時代の婦人科がん診療を展望する─がんの個性に応じたpersonalizationへの道

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