文献詳細
薬の臨床
Chemotherapy induced anemiaに対するカルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)の有効性に関する検討
著者: 川口龍二1 前花知果1 西川恭平1 福井陽介1 杉本澄美玲1 河原直紀1 岩井加奈1 山田有紀1 木村文則1
所属機関: 1奈良県立医科大学産婦人科学講座
ページ範囲:P.1147 - P.1152
文献概要
静注鉄剤であるカルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)のがん化学療法による貧血(chemotherapy induced anemia : CIA)に対する有効性について,後ろ向きに検討を行った.2023年9月から2024年1月までに当科で婦人科がんに対してがん化学療法を行い,貧血のためフェインジェクト®の投与を行った11例を対象として,フェインジェクト®最終投与から15日目までのヘモグロビン値の変化,予定の抗がん剤投与中の輸血の有無,抗がん剤の休薬・減量・延期の有無について,後ろ向きに検討を行った.フェインジェクト®投与群のヘモグロビン値の推移は,投与前7.6±0.6(Mean±SD)g/dL,投与8日目で7.7±0.9g/dL,投与15日目で8.4±1.1g/dLであり,投与8日目に比べ15日目で有意にヘモグロビン値は上昇した.輸血を要した症例は2例で,貧血のため抗がん剤の休薬・減量・延期を有した症例は1例のみであった.CIAに対してフェインジェクト®は有効な薬剤である可能性が示唆された.
参考文献
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