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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科78巻12号

2024年12月発行

薬の臨床

Chemotherapy induced anemiaに対するカルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)の有効性に関する検討

著者: 川口龍二1 前花知果1 西川恭平1 福井陽介1 杉本澄美玲1 河原直紀1 岩井加奈1 山田有紀1 木村文則1

所属機関: 1奈良県立医科大学産婦人科学講座

ページ範囲:P.1147 - P.1152

文献概要

▶要旨

 静注鉄剤であるカルボキシマルトース第二鉄(フェインジェクト®)のがん化学療法による貧血(chemotherapy induced anemia : CIA)に対する有効性について,後ろ向きに検討を行った.2023年9月から2024年1月までに当科で婦人科がんに対してがん化学療法を行い,貧血のためフェインジェクト®の投与を行った11例を対象として,フェインジェクト®最終投与から15日目までのヘモグロビン値の変化,予定の抗がん剤投与中の輸血の有無,抗がん剤の休薬・減量・延期の有無について,後ろ向きに検討を行った.フェインジェクト®投与群のヘモグロビン値の推移は,投与前7.6±0.6(Mean±SD)g/dL,投与8日目で7.7±0.9g/dL,投与15日目で8.4±1.1g/dLであり,投与8日目に比べ15日目で有意にヘモグロビン値は上昇した.輸血を要した症例は2例で,貧血のため抗がん剤の休薬・減量・延期を有した症例は1例のみであった.CIAに対してフェインジェクト®は有効な薬剤である可能性が示唆された.

参考文献

1)日本鉄バイオサイエンス学会治療指針作成委員会(編) : 鉄剤の適正使用による貧血治療指針,改訂第3版.2015 https://jbis.bio/wp-content/uploads/pdf/zyouzaiv3.pdf
2)Knight K, Wade S, Balducci L : Prevalence and outcomes of anemia in cancer : a systematic review of the literature. Am J Med 116 (Suppl 7A) : 11S-26S, 2004
3)田中朝志,吉野一郎,牧野茂義,他 : がん化学療法に伴う貧血に関する実態調査報告.日輸血細胞治療会誌 59 : 48-57, 2013
4)Common Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE), version 5.0. https://ctep.cancer.gov/protocolDevelopment/electronic_applications/ctc.htm#ctc_50
5)Hematopoietic growth factors. National Comprehensive Cancer Network(NCCN)Guidelines, Versions 2. 202
6)Nemeth E, Tuttle MS, Vaughn MB, et al : Hepcidin regulates cellular iron efflux by binding to ferroportin and inducing its internalization. Science 306 : 2090-2093, 2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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