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増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック Ⅱ. 婦人科編 ❸術後合併症への対応法
全身性炎症反応症候群に伴う急性呼吸窮迫症候群
著者: 寺田信一1 大道正英1
所属機関: 1大阪医科薬科大学産婦人科学教室
ページ範囲:P.130 - P.135
文献購入ページに移動当直中に,前日に手術をされた患者が突然の下腹部痛および発熱を認めるとのことで連絡があった.患者は69歳で卵巣癌に対して腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,骨盤・傍大動脈リンパ節郭清術,S状結腸合併切除術を施行した.訪床したところ意識は清明であったが強い下腹部痛の訴えがあり,バイタルサインは38.6℃の発熱,呼吸数25回/分,心拍数100回/分,血圧80/45mmHgと,quick SOFAスコアは2点であり敗血症を疑った.診察したところ下腹部は板状硬で圧痛および反跳痛を認め,ドレーンの排液は混濁していた.血液検査所見はWBC 25,200/μL,Hb 11.1g/dL,CRP 28.8mg/dLであった.腹部CTは腸管浮腫,腹水およびfree airを認めていた.以上から縫合不全による術後腸管穿孔による腹膜炎,敗血症の診断で外科に相談し緊急手術を施行した.再開腹したところ腸管穿孔を認め,人工肛門造設術およびドレナージ術を施行した.術後は気管内挿管下にICUに入室した.ICUではquick SOFAスコアは2点以上で,PaO2/FiO2比が250と低値で胸部X線検査では両側肺野の透過性の低下を認めており,心臓超音波検査で心不全は否定的であったため敗血症に伴う呼吸窮迫症候群と診断し,人工呼吸管理のもと治療を行い改善した.
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