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増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック Ⅱ. 婦人科編 ❸術後合併症への対応法
コンパートメント症候群
著者: 恒遠啓示1 嶋洋明2 大道正英1
所属機関: 1大阪医科薬科大学産婦人科学教室 2大阪医科薬科大学整形外科学教室
ページ範囲:P.155 - P.159
文献購入ページに移動当直中,昨日手術された患者が,右側下肢の疼痛を訴えているという連絡が入った.その患者は38歳で未婚,BMIが34と肥満の方であった.多発子宮筋腫に腹腔鏡下筋腫核出術を施行した.手術時間が6時間半と長時間であった.出血量は840mLと多かったが,回収式自己血輸血で550mLほど返血している.確認のために訪床すると右側下肢が腫大し圧痛があり,運動障害も出ているようだ.本日の採血でCKが3,450U/L(基準値 : 30〜200U/L)と異常値を示している.コンパートメント症候群を疑い,直ちに整形外科医に相談した.整形外科医はすぐにコンパートメント内圧を測定したが,コンパートメント内圧が23mmHgであり,30mmHg以上と高くないので,筋膜切開は行わずに経過観察の方針を示した.診断を圧座症候群とした.症状は1週間後には改善し,歩行はできている.
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