icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科78巻4号

2024年04月発行

文献概要

増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック Ⅱ. 婦人科編 ❸術後合併症への対応法

コンパートメント症候群

著者: 恒遠啓示1 嶋洋明2 大道正英1

所属機関: 1大阪医科薬科大学産婦人科学教室 2大阪医科薬科大学整形外科学教室

ページ範囲:P.155 - P.159

文献購入ページに移動
遭遇しやすい典型ケース

 当直中,昨日手術された患者が,右側下肢の疼痛を訴えているという連絡が入った.その患者は38歳で未婚,BMIが34と肥満の方であった.多発子宮筋腫に腹腔鏡下筋腫核出術を施行した.手術時間が6時間半と長時間であった.出血量は840mLと多かったが,回収式自己血輸血で550mLほど返血している.確認のために訪床すると右側下肢が腫大し圧痛があり,運動障害も出ているようだ.本日の採血でCKが3,450U/L(基準値 : 30〜200U/L)と異常値を示している.コンパートメント症候群を疑い,直ちに整形外科医に相談した.整形外科医はすぐにコンパートメント内圧を測定したが,コンパートメント内圧が23mmHgであり,30mmHg以上と高くないので,筋膜切開は行わずに経過観察の方針を示した.診断を圧座症候群とした.症状は1週間後には改善し,歩行はできている.

参考文献

1)Leff RG, et al : Lower extremity complications of the lithotomy position : prevention and management. J Urol 122 : 138-139, 1979
2)Simms MS, et al : Well leg compartment syndrome after pelvic and perineal surgery in the lithotomy position. Postgrad Med J 81 : 534-546, 2005
3)von Keudell AG, et al : Diagnosis and treatment of acute extremity compartment syndrome. Lancet 386 : 1299-1310, 2015
4)O'Sullivan MJ, et al : Compartment syndrome without pain! Ir Med J 95 : 22, 2002
5)Shadgan B, et al : Diagnostic techniques in acute compartment syndrome of the leg. J Orthop Trauma 22 : 581-587, 2008
6)Mubarak SJ, et al : Acute compartment syndromes : diagnosis and treatment with the aid of the wick catheter. J Bone Joint Surg Am 60 : 1091-1095, 1978

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?