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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科78巻4号

2024年04月発行

文献概要

増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック Ⅱ. 婦人科編 ❹オンコロジック・エマージェンシーへの対応法

腫瘍による脊髄圧迫

著者: 小林佑介1

所属機関: 1筑波大学医学医療系産科婦人科学

ページ範囲:P.177 - P.181

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 74歳,2妊2産,卵巣漿液性癌ⅢC期.4年前にprimary debulking surgeryが行われ,腹腔内播種や骨盤および傍大動脈リンパ節転移を認めたが播種巣を含め全切除できcomplete surgeryとなった.そののちに補助化学療法と維持療法により治療継続するも再発を認め,化学療法5th lineまで行い病勢制御を試みるも増悪していた.直近のCT検査では膵体部,肺,肝臓表面,頸椎・胸椎・両側肋骨・左恥骨・両側大腿骨の骨幹部に再発巣を認めていた.今後の治療方針を外来で相談していたが,背部痛が増強したため緊急入院し,オピオイド製剤で疼痛管理を行った.入院後3日目に排尿・排便障害が出現したため,緊急でMRI検査を行ったところ第4,第5胸椎後方に溶骨性変化を認めたことから脊椎転移腫瘍が脊柱管内に進展したことによる脊髄圧迫と診断した.オンコロジック・エマージェンシーと判断し,翌日より第2〜第7胸椎に対して緊急で姑息的放射線照射を行った.さらに,入院後7日目には両下肢の対麻痺が出現したため,ステロイドパルス療法も併用した.放射線療法および薬物療法により背部痛は軽減したが膀胱・直腸障害や麻痺症状は残存し,ADLの低下とともに細菌性肺炎を合併したことで永眠された.

参考文献

1)日本整形外科学会骨軟部腫瘍委員会(編): 全国骨腫瘍登録一覧表令和元年度.国立がん研究センター,2019
2)松田紀代子,他 : 骨転移による脊髄圧迫症状に対して緊急放射線照射を要した進行卵巣悪性腫瘍の1例.関東連合産科婦人科学会誌57 : 529-535, 2020
3)Liu A, et al : Postoperative survival and functional outcomes for patients with metastatic gynecological cancer to the spine : case series and review of the literature. J Neurosurg Spine 24 : 131-144, 2016
4)日本臨床腫瘍学会(編) : 骨転移診療ガイドライン改訂第2版.南江堂,2022
5)Abrahm JL, et al : Spinal cord compression in patients with advanced metastatic cancer : “all I care about is walking and living my life”. JAMA 299 : 937-946, 2008
6)Patchell RA, et al : Direct decompressive surgical resection in the treatment of spinal cord compression caused by metastatic cancer : a randomised trial. Lancet 366 : 643-648, 2005
7)Katagiri H, et al : New prognostic factors and scoring system for patients with skeletal metastasis. Cancer Med 3 : 1359-1367, 2014
8)Loblaw DA, et al : A 2011 updated systematic review and clinical practice guideline for the management of malignant extradural spinal cord compression. Int J Radiat Oncol Biol Phys 84 : 312-317, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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