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増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック Ⅲ. 産科編 ❶症状・所見からみた疾患鑑別
妊婦が胸痛・動悸・息切れを訴えて来院した!(循環器系症状)
著者: 金川武司1
所属機関: 1国立循環器病研究センター産婦人科
ページ範囲:P.201 - P.204
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37歳,初産婦.既往歴なし.体外受精で妊娠が成立した.非妊娠時体重58kg(BMI 24).妊娠38週に血圧が140/94mmHgの上昇を認めていたが,尿蛋白は陰性であった.体重は67kgであった.妊娠40週2日に陣痛が発来し経腟分娩に至った.分娩後は呼吸困難の症状なく産褥5日目に退院した.退院時体重は67kgであった.
退院後より体調が優れず,退院後翌日より呼吸困難感が出現した.同日の産褥6日目に救急外来を受診した.受診時の評価で血圧141/119mmHg,心拍数156回/分,呼吸数30回/分,体温36.8℃,酸素飽和度95%(酸素3L/分)であった.胸部X線写真で心拡大,胸水,肺うっ血を認めた(図1).心エコーでは左室駆出率は20〜30%.急性心不全の診断がなされ,フロセミドとカルペリチドが開始されたが,改善されないため循環器専門病院に搬送された.
37歳,初産婦.既往歴なし.体外受精で妊娠が成立した.非妊娠時体重58kg(BMI 24).妊娠38週に血圧が140/94mmHgの上昇を認めていたが,尿蛋白は陰性であった.体重は67kgであった.妊娠40週2日に陣痛が発来し経腟分娩に至った.分娩後は呼吸困難の症状なく産褥5日目に退院した.退院時体重は67kgであった.
退院後より体調が優れず,退院後翌日より呼吸困難感が出現した.同日の産褥6日目に救急外来を受診した.受診時の評価で血圧141/119mmHg,心拍数156回/分,呼吸数30回/分,体温36.8℃,酸素飽和度95%(酸素3L/分)であった.胸部X線写真で心拡大,胸水,肺うっ血を認めた(図1).心エコーでは左室駆出率は20〜30%.急性心不全の診断がなされ,フロセミドとカルペリチドが開始されたが,改善されないため循環器専門病院に搬送された.
参考文献
1)貞広智仁,他 : バイタルサインと異常の早期発見.日本の妊産婦を救うために2020,日本産婦人科医会医療安全部会妊産婦死亡症例検討評価委員会(監).pp 54-59,東京医学社,2020
2)厚生労働科学研究(難治性疾患政策研究事業)「周産期(産褥性)心筋症の,早期診断検査確立研究の継続と診断ガイドライン作成」班,「特発性心筋症に関する調査研究」班(編): 周産期心筋症診療の手引き.中外医学社,2019
3)Kamiya CA, et al : Different characteristics of peripartum cardiomyopathy between patients complicated with and without hypertensive disorders. -Results from the Japanese Nationwide survey of peripartum cardiomyopathy. Circ J 75 : 1975-1981, 2011
4)小林隆夫,他 : 産婦人科血栓症調査結果2001-2005.産婦新生児血会誌18 : S3-S4, 2008
5)Wells PS, et al : Does this patient have deep vein thrombosis? JAMA 295 : 199-207, 2006
6)Kucher N, et al : Novel management strategy for patients with suspected pulmonary embolism. Eur Heart J 24 : 366-376, 2003
7)van der Pol LM, et al : Pregnancy-Adapted YEARS Algorithm for Diagnosis of Suspected Pulmonary Embolism. N Engl J Med 380 : 1139-1149, 2019
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