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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科78巻4号

2024年04月発行

増刊号 産婦人科医のための緊急対応サバイバルブック

Ⅲ. 産科編 ❸分娩時・産褥期の緊急対応

肩甲難産

著者: 石川浩史1

所属機関: 1神奈川県立こども医療センター産婦人科

ページ範囲:P.245 - P.248

文献概要

遭遇しやすい典型ケース

 38歳,身長156cm,非妊時体重78kgの経産婦.妊娠中期に妊娠糖尿病を指摘されており,最終的な胎児推定体重は3,600gであった.妊娠41週2日に陣痛発来のため入院.分娩第1期は8時間,途中で希望により硬膜外麻酔を導入し効果は良好であった.分娩第2期は遷延しすでに2時間経過していた.母体疲労・第2期遷延の適応にて急速遂娩の方針とし,妊産婦および立ち会っていた夫に吸引分娩の方針とすることを説明した.児受けの看護師に新生児蘇生法(NCPR)の準備をするように指示.硬膜外麻酔の効果を確認.導尿し,内診にて子宮口全開大,児頭先進部St+3,回旋異常はなく,吸引分娩の要約を満たしていることを確認した.会陰切開を入れ,陣痛に合わせて吸引分娩3回目にて児頭が娩出したが,児頭が産道に後戻りしようとしており,助産師が児頭を牽引しても前在肩甲が娩出されない.医師に交代して児頭を牽引しても同様である.マクロバーツ法を試みたが効果はない.ウッズスクリュー法という方法の名前は知っているが,とっさのことで手技が思い出せない.児頭が徐々に青黒い色になってゆく.さあ,どうする…….

参考文献

1)日本産科婦人科学会(編・監):産科婦人科用語集・用語解説集改訂第4版.日本産科婦人科学会,2018
2)Beall MH, et al : Objective definition of shoulder dystocia : a prospective evaluation. Am J Obstet Gynecol 179 : 934-937, 1998
3)Gonik B, et al : Objective evaluation of the shoulder dystocia phenomenon : effect of maternal pelvic orientation on force reduction. Obstet Gynecol 74 : 44-48, 1989
4)日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会(編・監):産婦人科診療ガイドライン―産科編2023.日本産科婦人科学会,2023

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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