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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科78巻8号

2024年08月発行

文献概要

今月の臨床 婦人科領域のホルモン治療―思春期から更年期まで 基本編 : マストな疾患を押さえる

更年期障害

著者: 篠原康一1

所属機関: 1愛知医科大学産婦人科学講座

ページ範囲:P.714 - P.718

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●更年期障害の主な原因は卵巣機能の低下であり,さまざまな身体的・精神的変化を引き起こす.一方で更年期は,女性にとってさまざまな節目を迎える時期でもあり,年齢に伴う身体的・精神的・心理的な要因や社会環境の変化が影響して,多種多様な精神症状を出現させるため,身体的症状のみならず,社会的背景も診断・治療において重要である.

●また,更年期には「手や足のしびれ」「朝起きたときの手のこわばり」などの症状がみられるが,関節リウマチでも「手のこわばり」という症状が認められることが知られており,症状が重篤な場合や悪化していく場合は,関節リウマチを含めた膠原病の精査を忘れないよう注意が必要である.

●甲状腺機能低下による易疲労感や冷え,不整脈,三半規管の異常によるめまい,整形外科疾患による手足のしびれ,あるいは起死念慮を伴ううつ病などを除外するために迅速な対応が必要なケースもあり,複数の診療科の受診が必要になることもある.

●患者説明のポイント : 周閉経期の女性へのHRTは,脂質異常や骨粗鬆症に対する効果もあり,メリットが大きいため,ごく小さなリスクを過大に評価しすぎないことが重要と考える.

●専門医へのコンサルト : 「イライラ感」「眠れない」といった精神神経症状を認める場合は,ホルモン補充療法が有効な場合もあるが,精神神経症状が強い場合には「不安神経症」「睡眠障害(不眠症)」の鑑別が必要であり,婦人科のみならず心療内科や精神神経科での加療を必要とする場合もある.

参考文献

1)日本産科婦人科学会,他(編・監修) : ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版.日本産科婦人科学会,2017
2)日本産科婦人科学会,他(編・監修) : 産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2017.日本産科婦人科学会,2017
3)日本女性医学学会「女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2018年度版」作成委員会(編) : 女性の動脈硬化性疾患発症予防のための管理指針2018年版.日本女性医学学会,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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