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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻11号

1954年11月発行

原著

所謂Vagostigmin-testに関する研究

著者: 齋藤幹1 松井輝雄1 新海里子1 長野正男2

所属機関: 1東京医科歯科大学産婦人科学教室 2東京大学医学部産婦人科学教室

ページ範囲:P.635 - P.641

文献概要

I.緒言
 1940年,米のSoskin等はProstigmin-Methyl—sulfateの連続注射が月経遅延の治療に甚だ有効であることを発表した。この際月経遅延が妊娠に原因する時はProstigminを用いても月経様出血は起らないので妊娠の早期診断法としてこの注射を利用できると述べたことは既に多くの方が御承知のことと思う。妊娠初期の臨床診断が困難なことは更めて云うまでもなく,その為に既にFriedmanの家兎排卵試験やMaininiのガマ排精反応が用いられ殆んど100%に近い的中率を示している。しかし一般臨床医にとつては,これら反応の優秀性は充分わかつているのであるが尚且つその準備に手間を要するため,より簡便な臨床的妊娠鑑別法の出現が依然として要望されていたので早速Prostigmin注射に関する多数の追試が行われた。Elertは多年の文献より月経遅延例に対する奏効率91%と述べ金子は88%と報告し,その他の追試者の成績を見ても大体70〜90%の正確さで妊娠を診断することが出来ると云うようである。然しながらこれら妊娠診断の的中率を高める為には過去における月経歴が著るしく不順な内分泌機能不全症や子宮の局所疾患が予想されるような患者を除外して比較的に狭い範囲内で試験を行う必要がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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