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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻12号

1954年12月発行

文献概要

病理解剖

子宮腟部筋腫と自然分娩自験2例

著者: 矢内原啓太郎 井上啓一

所属機関:

ページ範囲:P.725 - P.727

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緒言
 産科の一般常識から云えば産道内に或る一定の大さと硬さの腫瘍例えば子宮頸部或は隆部筋腫又は小骨盤内に下降している卵巣腫瘍等の存在する時には之が分娩を障碍すると考えられ易い。成書の中にもそう書かれてあるものがある。小畑1)は「頸部に発生する筋腫である時は仮令筋腫は小さくとも障碍を起すことが多いから未期まで待つて帝切し核出或は全剔出或はPorro手術を行うことにしている。」と。而し筆者が手近の文献から知り得たことと自験例から思えば腟部及頸部筋腫は分娩障碍を起すことはむしろ例外に属することで多くは自然分娩を経過するらしい。実際Parks及びBarterの云える如く「多くは正規分娩を遂げるもので稀に起る重症例だけが報告されて正規分娩が忘れられておる」の感を深くする。
 川田は一般文献から子宮膣部筋腫は分娩障碍を起すことけ稀であるとし,狐塚は日本文献から子宮膣部筋腫30例を集めたがその中24例(80%)は経産3回以上,19例(63.3%)は5回以上で原発不妊は体部筋腫を合併した只1例であり又最終分娩後5年以内のもの5例ありその4例は正規産を遂げておりこのうち2例は分娩時腫瘍が膣外に脱出していたと云う。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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