臨床婦人科産科8巻2号

1954年02月発行

原著

トリクロールエチレンによる和痛分娩

著者： 小澤五一郎¹ 茂垣怜¹ 久布白兼和¹ 阿美健治¹ 梅內正利¹

所属機関： ¹國立世田谷病院

ページ範囲：P.66 - P.69

文献概要

緒言
　所謂無痛分娩に關しては終戰後我國にも種々の方法藥劑器具が歐米から流入し尾島，長内氏を始め八木，藤井，安井，織田氏等諸氏の業績報告は数多あるが，從來の方法に於ては使用する器具が非常に高價であつたり，或は程度の差こそあれ技術を必要とし，又分娩経過や母児に及ぼす影響もあり，誰でも簡易に且つ危險なしに實施し得るとは云い難いようである。
　私達は最近簡易安全で特別の技術を必要としないアメリカンコマーシヤル會杜製によるサイプレーン（Cyprane）なる吸入麻醉器にトリクロールエチレンを用いて和痛分娩を實施する機會を得たので未だ少數例であるがその概要を報告する。