文献詳細
症例研究
文献概要
I.緒言
機能性子宮出血の發生機産については今日尚不明の點が多い。周知の如くR.Schröder (1912)は子宮内膜の腺嚢性増殖症に着目し,その原因を卵巣の遺存卵胞に帰すことに依り明快に説明した。そのため機能性子宮出血即腺嚢性増殖症とする考え方が斯界を支配したが,R.Schröderの云う"me ropathia haemorrhagica"とその本體は軌を一にしながら組織學的にこれと相異つた像を呈する疾患群の存在することが次第に明らかとなつて來た。即ち,氏の云う卵胞遺存(Follikl-per-sistenz)と同樣な内分泌學的平衡失調を有しながら内膜に腺嚢性増殖を示さす,出血のみ出現するものが各研究者によつて認められた。Hamblen(1937),Fluhman (1947),Jones (1949)等の統計觀察もその一つと云えよう。氏等は出血は凡ゆる型の内膜組織から起り得ると云うが,このことは余等の日常經驗するところである。從つてSchröderの主張はその内膜組織と内分泌學的平衡失調との連關性を強調し過ぎた點に疑義なしとしないが,少くとも"卵胞遺存"なる概念は當時の乏しい内分泌學の中から生れたものとしては卓見と云わねばならない。しかしその本體が卵巣自體にあるとした從來の一方的な考え方は修正を余儀なくされた。
機能性子宮出血の發生機産については今日尚不明の點が多い。周知の如くR.Schröder (1912)は子宮内膜の腺嚢性増殖症に着目し,その原因を卵巣の遺存卵胞に帰すことに依り明快に説明した。そのため機能性子宮出血即腺嚢性増殖症とする考え方が斯界を支配したが,R.Schröderの云う"me ropathia haemorrhagica"とその本體は軌を一にしながら組織學的にこれと相異つた像を呈する疾患群の存在することが次第に明らかとなつて來た。即ち,氏の云う卵胞遺存(Follikl-per-sistenz)と同樣な内分泌學的平衡失調を有しながら内膜に腺嚢性増殖を示さす,出血のみ出現するものが各研究者によつて認められた。Hamblen(1937),Fluhman (1947),Jones (1949)等の統計觀察もその一つと云えよう。氏等は出血は凡ゆる型の内膜組織から起り得ると云うが,このことは余等の日常經驗するところである。從つてSchröderの主張はその内膜組織と内分泌學的平衡失調との連關性を強調し過ぎた點に疑義なしとしないが,少くとも"卵胞遺存"なる概念は當時の乏しい内分泌學の中から生れたものとしては卓見と云わねばならない。しかしその本體が卵巣自體にあるとした從來の一方的な考え方は修正を余儀なくされた。
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