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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻2号

1954年02月発行

文献概要

速報

ステロイドコントロールに於ける椎骨動脈の意義

著者: 小林隆1 坂元正一1

所属機関: 1東京大學醫學部産婦人科教室

ページ範囲:P.115 - P.118

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 間腦下垂體卵巣系として表現される一連の機能系に於て,卵巣に周期的變化を惹起させるには,間腦,下垂體からのみの刺戟では不十分であつて,卵巣からの性ステロイドホルモンが適當な侵襲を之等中樞に及ぼすのでなければ,自然の性周期機能の磯現は望み得ないと云う事は今日内分泌學上の常識である。この末梢性腺が前葉機能を調節する事をステロイドコントロールと呼ぶのであつて,夫が如何なる經路を經て,中樞のどの部に働き,生體にどの樣な變化を生するかを研究する事が今日の重要な課題の一つとして注目を浴びている。1952年小林,小林等が家兎に於ける銅鹽排卵實驗に於て,銅鹽が血行を介して性中樞を刺戟するのは椎骨動脈に負う所が多い新事實を見出した事は,生理的なステロイドの中樞作用に於てもこの動脈が重要な役割を演ずるであろう事を示唆したものであつた。此處に於て我々は未だ嘗て試みられた事のない全く新しい方法である本動脈を結紮する事により性ステロイドの中樞に對する量的遮斷を行おうと試み,雌性白鼠に於ける兩側椎骨動脈結紮に成功し,甚だ興味ある結果を得たので,その一部を大略豫報する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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