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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻3号

1954年03月発行

原著

人胎盤エムルヂオン注射非妊家兎に於ける各種靜注麻醉劑の腎機能に及ぼす影響

著者: 中嶋宏1 西川淸定1

所属機関: 1京都府立医科大学産婦人科教室

ページ範囲:P.137 - P.141

文献概要

I.緒言
 Weese (1932)に依て始めてEvipan-Natrium静注麻醉が臨床的に応用されて以来此種麻醉剤の使用技術の研究,副作用に対する処置,非手術的応用等が著しい発達を来した。殊に戦後国内に於ける此等静注麻醉剤の製産が化学並に藥理学の急速なる進歩に伴つて箸しく増加し,此等に就ての臨床的観察が多くなされて来た。然しながら此等静注麻醉剤の実験的研究は今尚乏しく,殊に妊娠なる特殊条件下に起る晩期妊娠中毒症時に於ける本剤の影響に就ては皆無と言つても過言でない。然も妊娠中毒症の場合に之等静注麻醉を必要とする場合が少くない。ここに於て余等は先づ各種静注麻醉剤の正常時腎機能に及ぼす影響を,次で胎盤エムルヂオン注射時に於ける該機能のうくる影響を実験的に検索し,以て晩期妊娠中毒症に於ける本剤応用時の状態を窺知せんと試みた。
 蓋し動物を妊娠中毒症と同様の状態にあらしめる事はその本態の不明なる今日に於ては難事であるが,従来動物の子癇様状態に関する研究に屡々人胎盤物質を使用して行われている実験に則り余等も亦動物に人胎盤エムルヂオンを注射して妊娠中毒症様の症状を起さしめ,その腎機能の受くる影響を観察したのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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