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雑誌目次

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻4号

1954年04月発行

雑誌目次

原著

人工妊娠中絶の母體に及ぼす影響—第1報

著者: 塩見勉三 ,   坂本博道

ページ範囲:P.187 - P.193

I.緒言
 最近人工妊娠中絶は社会情勢並に法規の改正に依り,年々増加の傾向をたどつている。これに関する研究も亦枚挙に遑がない。余等は人工妊娠中絶が母体に及ぼす影響に就て研究し,いささか知り得たところがあるので以下その概要を報告する。
 実験材料は本院外来を訪れた患者43例である。手術は2%ラボナール,時に10%チクロパンを用いる静脈麻醉によつた。

腟液中のβグルクロニダーゼ量及び可変位相差顯微鏡其の他による子宮癌診断法に就いて

著者: 鍋倉正夫 ,   森田隆 ,   山內啓年

ページ範囲:P.195 - P.196

 近時子宮癌診断法としてPapanicoloauの腟内容塗抹法が臨床的に広く応用されるようになつた。
 然し本法は細胞学的に高度の修練を必要とし,従つて誤診例が多い事から,誰にでも容易に判定可能な診断法例えば化学試験が今日望まれている。この様な状態で現在注目を浴びたものにβグルクロニダーゼがある。(β—G)

水溶性造影剤による子宮卵管造影について

著者: 小池宣之 ,   姫路利春

ページ範囲:P.197 - P.200

1.緒言
 体腔内に造影剤を入れてレ線学的検査を行う事は,既に古くから試みられている。内女子性器及び其の周辺の状況を検索するために,子宮腔及び卵管内に造影剤を注入して之をレ線学的に呈像せしめる,所謂子宮卵管造影法も又,可成り早くから行われて来た。
 抑々此の試は,Rubinが子宮卵管を経て醋素を腹腔内に送つて,内性器を呈像せしめようとした事に始り,1910年Rindfleisch1)が硝酸蒼鉛水製泥剤を用い,1914年にはCary2)が,1916年にはGottlieb3),Dartigius4)及びRubin5)がCola—rgol等を用いて,初めて造影剤による子宮卵管造影を行つている。其の後,造影剤として臭素ナリリウム6)7),沃度ナトリウム,沃度カリ,沃度丁幾,硫酸バリウム,蒼鉛泥,Konstrastol, Argirol, Umbrenal,沃度リチウム等が試用されたが,何れも影像が充分でなく,而も刺戟が張い為に不適当であつた。

産婦人科領域に於ける血液の紫外部吸收スペクトルに關する研究

著者: 門田徹

ページ範囲:P.200 - P.204

まえがき
 癌組織に於ける核蛋白質の細胸化学的研究は最も新しいこころみととして多くの報告がある。我が産婦人科領域に於ても,子宮癌の探求は,最も重要なものの一つであり,又困難を伴うものである。さきに教室日高は,子宮癌物質代謝探求の目的として,子宮癌患者血清の紫外部吸收スペクトルに関する研究を行い,核酸との関連におい興味ある成果を発表した。私は日高氏の実験を追試しさらに治療による影響を吟味するため,実験中であるが,予期した結果といささか異つたデータとなつたので,今直ちに結論を云々することは尚お早いと思われる。

症例研究

Disgerminoma ovariiの1例

著者: 山本弘

ページ範囲:P.205 - P.208

緒言
 本邦に於ける未分化胚細胞腫の報告例は西村,鈴木の剖検例(昭9)を嚆矢とする。以来現在まで70余例(従来他の名称で報告されたものを再検査し本腫瘍と診断名を新たにしたものを含む)を算する。該腫瘍の発生頻度は若年者を最も多となすと云うことは諸家の等しく認めるところである。本邦に於ては田中(7年5ケ月,昭23),丸山,中村(10年3ケ月,昭11)等の報告例を最年少として知る。余の経験例(昭26)は満12歳6ケ月の少女に発生したもので,これは田中,丸山,中村等に次ぐ若い発生年令を示すものと認め,茲に報告する。

表面乳嘴腫の1例

著者: 篠田糺 ,   鈴木雅州

ページ範囲:P.208 - P.210

緒言
 著者等は,極めて稀な表面乳嘴腫の1例を経験した。本例は多量の腹水を伴い,結核性腹膜炎様症状を呈し,此と誤り加療された。

間質部妊娠の1例

著者: 久保久光

ページ範囲:P.213 - P.214

 子宮外妊娠中比較的稀とされる間質部妊娠の1例を経験し,幸に破裂前に診断,治療し得たので報告する。

双角子宮の同時兩側妊娠例

著者: 小坂平三郎

ページ範囲:P.215 - P.216

 畸形子宮の妊娠殊に重複子宮の妊娠並に分娩に就ては,是迄報告されてはいるけれども,その多くは重複妊娠の片側のものであつて,双角子宮の両側が同時に妊娠せるものはあまり聞き及んでいないので,最近私の経験せる興味ある1例に就て簡単に記述したいと思う。

診療室

甲状腺剤を混合したエストロゲンの効果

著者: 長內国臣 ,   綿引洋平

ページ範囲:P.217 - P.221

 甲状腺機能と,女子性機能との関係については明らかでないところが多いが,かなり緊密な関係(甲状腺性腺間関係)のあることは多くの認めるところで,1920年より1930年に亘る諸家(Adler,Cushing, Evans, Smith, Collip, Aron等)の研究がこれを証明している。
 その第1は女子機能の甲状腺に及ぼす作用として,初経時・月経時・性的興奮・妊娠及び授乳・閉経期等には,一次的に甲状腺肥大を起すこと。

速報

子宮内膜腺上皮に見らるゝ所謂明澄細胞系(Hellenzellensystem)に就いて

著者: 林基之

ページ範囲:P.223 - P.225

まえがき
 子宮腺増殖症の腺上皮細胞を入念に観察して行く中に,明るい細胞質を持つたクロマチンに富んだ核を有し,一見して周囲の細胞群と区別のつく細胞を散見したが,恐らくグリコゲーン蓄積か,退行変性に依るものであろう位に考えて居た所,最近偶然ドイツ婦人科学会でこれが所謂Hellen—zellensystem明澄細胞系として,問題になつて居ることを知つた。
 或る学者は,内分泌機能を持つとさえ発表し,酵素系との関連でも,注目されるに至つて居る。依て余の観察例と,最近のドイツ文献の概略とを述べて置きたいと思う。

プロゲステロン・エストラヂオール併用療法の子宮出血誘發効果並に其の臨床應用に就いて

著者: 高木繁夫 ,   小倉裕

ページ範囲:P.225 - P.229

緒言
 黄体ホルモン(以下"ホ"と略)の急墜に際しても卵胞"ホ"のそれの場合と同様の所謂急墜性或は消褪性出血(ithdrawal bleeding)があることは,古くClauberg (1930),C. Kaufmann(1932),Engle (1935)等により報告せられている。例えば去勢囚人に就いて,Clauberg, C.Kaufmann等は卵胞"ホ"で前処置し,次いで黄体"ホ"を注射する時には子宮内膜は分泌相化し月経が発来すると報じたが,Hübschnerも老人子宮に就いて之を確認した。更にLoeser (1932)は強度の発育不全子宮に於て,40万単位の卵胞"ホ"と40K.E.の黄体"ホ"とにより同様の現象を招来せしめ得て,今日の黄体"ホ"療法の基礎を確立したが,之等の現象は何れも黄体"ホ"投与の中止に基く所謂消褪性出血としての内膜血管よりの出血を示唆すると同様に,エストロゲンのそれとは異り分泌相内膜からの出血という点で注目せられた。

検室査

頸癌塗抹診としての擦過法

著者: 和田一男

ページ範囲:P.231 - P.232

 子宮癌の早期診断は,婦人科領域に於ける最も重要な問題の一つであり,従来よりSehillerの沃度試験,Hinselmannのコルポスコピー,血清学的診断法等数多くの方法があるが何れも単なる補助的なもので,結局は生体組織診により診断されてきた。
 Papanicolaou及びTrautにより塗抹細胞診が発表されて以来多大の反響を呼び各方面に於て盛んに追試検討され,その診断の確実さから現在婦人科領域に於ては日常欠くべからざる重要な診断法となつている。

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産科婦人科領域に於る新しい術語の解説—第6回 日本産科婦人科学会総会 展示会

ページ範囲:P.237 - P.243

A
 アブレル氏法(アブレルシホウ) Aburel's method
 1934年仏国のAburelが発表した妊娠中絶法で,主として妊娠5カ月以後のものに対して行われ,腹壁から穿刺して羊水中に滅菌飽和食塩水を注入して陣痛開始を企てるものである。

基本情報

臨床婦人科産科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1294

印刷版ISSN 0386-9865

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