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文献詳細

雑誌文献

臨床婦人科産科8巻6号

1954年06月発行

原著

人工放射性同位元素による子宮癌の治療

著者: 藤森速水1 山田文夫1

所属機関: 1大阪市立医科大学産婦人科学教室

ページ範囲:P.311 - P.314

文献概要

緒言
 子宮癌の治療には従来よりラジウム,レントゲン線等が単独に,将亦手術的療法に併せて利用されて来たが,吾国に於ては子宮癌の手術的療法が発達普及している為と,強大なレントゲン線発生装置や多量のラジウムを得難い等の理由で,放射線療法はさほど広範囲には応用されず,吾教室の治療方針原則としても子宮癌は,手術可能なればまず手術的処置を行い,のち後照射としてレントゲン線,ラジウムを用いるか,或は全く手術不能癌に之を応用するに止つている。而してナイトロミンの如き化学療法剤も本症への応用は未だ充分の効果をみられない現状にあるが,第二次大戦以来とみに広範な利用の途が拓かれた人工放射性同位元素の中には子宮癌治療に対し有効適切な放射能を有するものが少くなく,しかも従来の放射線源に比して幾多の利点を有するものが容易に入手される様になり,之が利用は期して待つべきものありと考えられる。
 吾々は原子力の平和的応用の1つとして,之ら人工放射性同位元素の若干のものを子宮癌の診断並に治療に利用すべく研究中であり,その成績の批判は勿論即断を許さないが,現在迄に得たる成果は第6回日本産科婦人科学会に於て発表した如くで,人工放射性同位元素による子宮癌の治療は将来その効期して待つべきものありと考えられる。よつて此処に最近ようやく開拓され始めた人工放射性同位元素療法の概要を記述すると共に吾吾の成績の一部をも紹介せんとするものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1294

印刷版ISSN:0386-9865

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